原爆投下後の広島を描いた漫画「はだしのゲン」を教育現場から撤去するよう求める請願や陳情が昨年九月以降、東京都と都内の区市の教育委員会・議会に計十四件提出されたことが、東京新聞の調査で分かった。松江市の小中学校で閲覧制限問題が発覚して以降、作品を子どもたちから遠ざけようという動きが浮かび上がる。全国の道府県教委も調べたところ、都以外では請願は出されていない。東京での議論が全国の平和教育のありように影響を与える可能性もある。 (飯田孝幸、樋口薫、大平樹) 一月から二月にかけ都と島しょ部を除く都内五十三市区町村を調査した。十四件の内訳は都教委が三件、練馬区が三件、千代田区が二件、港、新宿、大田、中野、足立区と西東京市が一件。 請願は「旧日本軍の残虐行為を捏造(ねつぞう)している」「天皇に対する侮辱や国歌の否定が含まれる」として、学校図書館などからの撤去を求めている。練馬区教委などに請願を出した「
自分ではがした作品の一部の紙を手にする中垣克久さん=18日、東京・上野公園の東京都美術館で(淡路久喜撮影) 東京都美術館(東京都台東区上野公園)で展示中の造形作品が政治的だとして、美術館側が作家に作品の撤去や手直しを求めていたことが分かった。作家は手直しに応じざるを得ず「表現の自由を侵す行為で、民主主義の危機だ」と強く反発している。 (大平樹) 撤去を求められたのは、神奈川県海老名市の造形作家中垣克久さん(70)の作品「時代(とき)の肖像-絶滅危惧種」。竹を直径一・八メートル、高さ一・五メートルのドーム状に組み上げ、星条旗や日の丸をあしらった。特定秘密保護法の新聞の切り抜きや、「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと書いた紙を貼り付けた。代表を務める「現代日本彫刻作家連盟」の定期展として十五日、都美術館地下のギャラリーに展示した。 美術館の小室明子副館長が作品
東京都美術館(台東区)で開催中の現代日本彫刻作家展で、安倍政権の靖国参拝などを批判した作品の撤去を同館が求めていた。主催者は「表現の自由を侵害する」と反発したが、同館は「政治的な宣伝という苦情が出かねない」とし、協議の末に作品の一部が削除された。 作家展は15~21日、約60点を展示。同館が指摘したのは、主催した現代日本彫刻作家連盟の中垣克久代表の「時代(とき)の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA円墳―」。高さ1・5メートルのドーム状の形で、作品として「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止して、もっと知的な思慮深い政治を求めよう」と手書きの紙を貼っていた。 館の運営要綱では、「政治活動をするためのものと認められるとき」は、施設使用を認めないと定めている。同館は16日、中垣さんに撤去を求め、「折り合いがつかなければ、展示会の中止や来年度以降の施設使用の見直
熊本市の慈恵病院は16日、芦田愛菜(9)主演で15日にスタートした日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」(水曜午後10時)について、「養護施設の子供や職員への誤解偏見を与え、人権侵害だ」として放送中止を申し入れると会見で明らかにした。 同作は、児童養護施設で暮らす子供たちが、彼らを見守る大人たちの中で母親の愛を求めて生きていく姿を描き、芦田と、NHK大河ドラマ「八重の桜」で注目を集めた人気子役、鈴木梨央(8)の共演で話題作として注目されていた。 慈恵病院は、親が育てられない子供を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置している国内唯一の病院として知られる。 芦田演じる赤ちゃんポストに預けられた子供が「ポスト」と呼ばれるなど、同院は「精神的な虐待、人権侵害にあたる」と批判。 養護施設の描き方も、「職員が子どもに暴言を吐き、泣くことを強要するなど現実と懸け離れたシーン
『風立ちぬ』のエンディングが、土壇場で変更されたことは、宮崎監督の会見でも語られていて有名な話ですが、どのように変更されたのかは、本人の口からは語られていませんでした。 しかし、先日発売された、鈴木敏夫プロデューサーの著書『風に吹かれて』のなかで明かされています。以下の引用文は、ネタバレですので、『風立ちぬ』を観た後にお読みください。 変更されたエンディング 「宮さんの考えた『風立ちぬ』の最後って違っていたんですよ。三人とも死んでいるんです。それで最後に『生きて』っていうでしょう。あれ、最初は『来て』だったんです。これ、悩んだんですよ。つまりカプローニと二郎は死んでいて煉獄にいるんですよ。そうすると、その『来て』で行こうとする。そのときにカプローニが、『おいしいワインがあるんだ。それを飲んでから行け』って。そういうラストだったんですよ。それを今のかたちに変えるんですね。さて、どっちがよかっ
話題の「はだしのゲン」、作中の「過激な描写」に「簡単に子供が閲覧できる状況にしてほしくなかった」という松江市教委福島律子前教育長の言葉をニュースで拝見しました。 著者の故中沢啓治さんが、表現上の工夫や配慮をこらして描こうとした内容にあえて触れずに、とにかく「過激な描写」だからと図書室の閉架に押しこめたわけですね。 「過激な描写」に弱い教育委員会のみなさまも、皇軍が大活躍するこんな絵本ならば、史実でなくてもまったくOKだったのではないでしょうか。 『支那事変大手柄絵話』大日本雄弁会講談社、1938年 ▼太田特務兵の大手柄 ▼馬詰准尉の三十六人斬り ▼アッパレ徳安上等兵 『漢口攻略 皇軍奮戦画報』大日本雄弁会講談社、1939年 ▼柳上等兵の五十二人斬り ▼村上上等兵の一番乗り ▼敵将と一騎打ち ▼トーチカをけむり攻め ▼長島部隊の大奮戦 ……まだまだあるのですが、キリがありません。 つい70年
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