民主党が大勝した平成19年夏の参院選後、党の政策責任者である政調会長に就任した。だが、党内にはその手腕を疑問視する声が少なくなかった。 「本当に直嶋さんで大丈夫なのか」 歴代政調会長には、仙谷由人(現行政刷新担当相)、枝野幸男、海江田万里の各衆院議員ら比較的知名度のある論客が並ぶ。これに対して、直嶋氏はほぼ無名。参院議員が政調会長に就任するのも前例がない。文字通りの大抜擢(ばつてき)だった。 ある民主党関係者は次のように証言する。 「当時の小沢一郎代表が『地味で実直で優しい感じが、今の時代に合う』との理由で選んだ」 約2年間の政調会長在任中、後期高齢者医療制度や労働者派遣法の見直しについて、社民、国民新両党との調整を重ねた。カウンターパートの一人だった社民党の阿部知子政審会長は、「相手の立場も踏まえた上で話ができる、誠実でバランス感覚がある人。交渉相手として信頼できた」と語る。野党時代の政