『なめらかな世界と、その敵』の著者にして、古今東西のSFを愛する紹介者としてついに少年ジャンプにまで登場したSF作家・伴名練さん。 その伴名さんが自ら編者となって、今この時代に最も読んでほしいSF作品を届ける《日本SFの臨界点》シリーズ。その最新刊である『日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽』の巻末解説から、収録作品紹介を公開します。 ―――――――――― 【収録作品紹介】(作品のネタバレを含みます) ◆「山の上の交響楽」〈SFマガジン〉八七年一〇月号初出、第一短篇集『山の上の交響楽』表題作。八八年度星雲賞日本短編部門受賞作。 演奏に数千年かかる交響楽を、既に二百年以上に渡って演奏し続けている巨大楽団。その舞台裏を、楽曲の難所に備えるため奔走する、事務局員の視点から描く。壮大な奇想を軽妙に語るマスターピース。 本篇を表題作にした短篇集は長い間絶版になっていたものの、SFマガジンのオー