駒澤大学経済学部准教授 井上 智洋 氏 将棋や囲碁のトップ棋士を下すなどして、驚異の能力を世界中に見せつけている人工知能(AI)。開発競争の激化にともなって、性能向上のスピードも加速しているが、人工知能が実際に社会にどのような影響を与えるのかについては、まだわからない部分が多い。人工知能は人類を幸せにするのか、それとも仕事を奪うのか―「人工知能×経済」分野のトップランナーである井上智洋・駒澤大学経済学部准教授が、5月に福岡市で行った講演をまとめた。 日常にあふれている人工知能 ▲質問に答える井上智洋氏 今日は人工知能と経済の未来というテーマで、お話をさせていただきます。まずは、人工知能(AI)とは何かという話から始めます。AIというのは、研究者によってその定義はさまざまですが、私は「ITのなかでも比較的賢いものがAIである」というぐらいに広く捉えています。 我々の身の回りにはいろいろなAI