神林龍『正規の世界・非正規の世界』 - 西東京日記 IN はてな

近年、論文が業績の中心となり、テクニカルな内容も増えている経済学の中で、「○○の世界」というタイトルの本はあまり見ないような気がします（社会学だとありそうですが）。 しかも、1972年生まれの著者にとってこれが初の単著。ずいぶん思い切ったタイトルだなと感じたのですが、そのタイトルにふさわしい内容とボリュームです。『あゝ野麦峠』の話から戦前の日本の職業紹介の制度を分析するという、「これが経済学の本なのか？」というテーマから始まり、「正規から非正規へと言われるが、実は正規雇用は大して減っておらず、自営が減って非正規が増えているのだ」という分析を中心として、日本の雇用を巡る問題を幅広く論じています。 第58回（2017年度）エコノミスト賞を受賞しているようにすでに評価の高い本ですが、評判通りの面白さだと思います。 目次は以下の通り。 序 章:本書の目的と構成 第Ⅰ部:制度の慣性 第1章:戦前日本

[haruhiwai18]

"自営業セクターから労働力が移動して非正規の世界が形成されてきた""自営業セクターからの労働力の流出が止まれば、非正規の世界の膨張を支える建材が枯渇するのは当然の理""真の人手不足が始まる"　→予言

[akupiyo]

"日本において「正規の世界」と「非正規の世界」を分かつ分水嶺は、労働契約上有期契約なのか無期契約なのかではなく、職場で正社員と呼ばれるかどうか"

[wkatu]

『このグラフは本当に素晴らしいのでぜひ現物を見てほしいのですが、以下にあげる東京都の男性のグラフだけを見ても、最低賃金の引き上げが低賃金層の賃金を押し上げて圧縮しているさまがわかると思います』

[Humisawa]

長期雇用を前提とした雇用慣行が残存するなかで、最長3年の短期間での技能の継承や蓄積は無理　“日本的雇用の特徴である時間外労働への柔軟な対応やOJT中心の人材育成は派遣の仕組みと相性が良くなかったのです。”

[zeeko3]

非正規雇用が増えたぶん減っているのは、正規雇用ではなく自営業者らしい

[maturi]

最低賃金の引上がいかなる影響を与えているのかを示した図9-2。ぜひ現物を見てほしい（サムネ）｜自営業世帯や親族・家族は、いわば、社会の細かな不都合を丸く収める緩衝材のような存在だったと解釈できるだろう。