新型コロナウイルスはアジア以外にも拡散し、世界的なパンデミックの懸念が強くなってきた。感染率や死亡率などが必ずしもはっきりしていない状況ではあるが、感染防止のための自助努力は怠るべきではないだろう。 さて、政府は小中高校に対して3月2日からの一斉休校を要請した1。学校を休みにするかどうかは公立の学校であれば、各自治体の教育委員会の権限である2。今回は政府が事実上の要請を行うことによって、感染症予防を企図した3。しかし、感染症予防のために国民の権利を制限し、義務を課すには一般的には法的な根拠が必要となる。安倍首相は3月2日の参議院予算委員会でさらなる感染症予防の観点から、既存の新型インフルエンザ等対策特別措置法を新型コロナウイルスにも適用できるよう改正を目指す旨の発言を行った。 そこで、本稿では、現行の法令の下で、何ができて何ができないのかを見てみることとしたい。 まずは、水際対策である。す
概念 社会生活は、人との共同関係を前提として成り立ちます。 したがって、基本的人権を無制限に認めるわけにはいきません。 そこで、日本国憲法は公共の福祉による制約を認めています。 公共の福祉とは、人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理をいいます。 つまり、人権は他の人権との関係で制約を免れませんが、それは公共の福祉により公平に調整されます。公共の福祉が人権の濫用を制御するイメージです。 内容 憲法11条に、人権を「侵すことのできない永久の権利」としています。 しかし、これは人権が無制限という意味ではありません。 なぜなら、憲法12条では、国民は人権を「常に公共の福祉のためにこれを利用する権利」を負うとし、13条の人権は「公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としています。 つまり、全ての人権は、他人の人権侵害を防止するために内在的制約を受ける
1.本政令の趣旨 国民生活安定緊急措置法(以下、「法」という。)第26条第1項では、生活関連物資等の供給が著しく不足するなど国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じるおそれがあると認められるときは、当該生活関連物資等を政令で指定し、譲渡の禁止などに関し必要な事項を定めることができる旨が規定されています。 本政令は、法の規定に基づき、衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から購入した衛生マスクの譲渡を禁止する等の必要があるため、必要な措置を講ずるものです。 2.本政令の概要 法第26条第1項及び第37条の規定に基づき、以下を定めます。 法第26条第1項の政令で指定する生活関連物資等は、衛生マスクとすること。 衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクの購入をした者は、当該購入をした衛生マスクの譲渡(不特定又は多数の者に対し、当該衛生マスクの売買契約の締結の申
日本の科学技術関連予算は減っていないけど、現場は何故大変なのか?〜Nature記事のNHK報道から考えてみた〜 日本の科学技術関連予算は総額で減っていないし、論文の質も下がっていない。という文科省統計と相反するNature index 2017 Japanの記事がNHKで報道されていた。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170323/k10010921091000.html ・研究予算額の推移。 ・研究予算の伸び率と他の予算の伸び率の比較。 ・論文一本当たりの予算額と論文の質を表す被引用度の主要国間比較。 現場の研究者の多くは、運営費交付金(組織ごとに当てられる経常経費・定年制職員人件費が大きい)が年々減っている、という現実に照らし合わせて、NHK記事に納得する面もある。 一方で、その減った分以上に競争的資金(科研費や委託など、任期制職員人件費も含むプロ
「自粛と給付はセットだろ」は法的に正しいのか? 弁護士・行政法研究者が解説政府や自治体による大規模イベント等の中止・延期等の要請や「不急不要」の外出自粛要請、そのような自粛を呼びかける報道等により、美術・演劇・音楽等、文化芸術活動を行うアーティストや関係者らがイベント中止等により損失を受けている。こうした損失は、法的に補償されるものなのか? 「自粛と給付」はセットかという問題について、文化芸術活動への助成に関する訴訟にも携わっている弁護士兼行政法研究者が解説する。 文=平裕介(弁護士・行政法研究者) 国会議事堂 出典=ウィキメディア・コモンズ 政府や自治体による大規模イベント等の中止・延期等の要請や「不急不要」の外出自粛要請、そのような自粛を呼びかける報道等により、美術・演劇・音楽等、文化芸術活動を行うアーティストや関係者らがイベント中止等により損失を受けている。 政府は、28日の首相記者
平成28年9月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成28年(ネ)第25号 メールマガジン記事削除等請求控訴事件 (原審東京地方裁判所平成25年(ワ)第18564号) 口頭弁論終結日平成28年7月14日 判決 東京都千代田区永田町2丁目2番1号 衆議院第一誌員会館512 控訴人 菅直人 訴訟代理人弁護士 喜田村洋一 東京都千代田区永田町2丁目2番1号 衆議院第一議員会館1212 被控訴人 安倍晋三 訴訟代理人弁護士 古屋正隆 同 橋爪雄彦 同 岩佐孝仁 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の主旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、被控訴人が管理するメールマガジンに、原判決別紙謝罪記事目録記載の記事を掲載し、これを2年以上掲載し続けよ。 3 被控訴人は
原子力災害対策本部での議事録未作成に関する質問主意書 東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、政府が設置した、事故対策等の重要政策を決める原子力災害対策本部にて、会議の議事録が作成されていないことが明らかになった。 昨年五月の時点で、議事録が作られていないことが指摘され、把握していたにも関わらず、その後も事務局である経済産業省原子力安全・保安院は議事録を作成することはなかった。公文書管理と情報公開に関する、政府のずさんな対応が問われている。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 報道によると、昨年十一月にNHKが議事録の情報公開請求を行った後、今になって議事録を作成していなかった事実を発表した。保安院の回答は余りにも遅すぎるが、何故ここまで発表が遅れたのか、理由を示されたい。 二 政府は昨年五月の時点で議事録が作成されていないことを把握しており、当時の枝野官房長官は「危機対応なので議事録をとる
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