国内医療機関がサイバー被害を被るリスクが急速に高まっている。クラウド活用が進む半面、経営層や医療従事者の意識やリテラシーが低いままだからだ。サイバー被害が医療体制の逼迫に拍車をかけかねない。 実際に攻撃に遭った一例が愛知県がんセンターだ。同センターは2021年9月8日、同年7月に不正アクセスに遭い、患者の病状などの要配慮個人情報を含む、延べ183人の患者情報が流出した可能性があると公表した。 何者かが、同センターの職員が使う米マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft 365(旧:Office 365)」に不正アクセスした。医師1人のアカウントのパスワードを盗み、メールを閲覧。このメールの中に患者情報があった。 パスワード認証のみだった 同センターは数年前から職員向けにMicrosoft 365のアカウントを発行し、メールや共有ドライブなどを利用できるようにしている。2021年7