新海誠監督『君の名は。』を見た。新海誠の監督作を見たのはこれがはじめてである。 もう大ヒット作であまりあらすじとかは書かなくてもいいと思うのだが、時空を越えた愛というタイムトラベルSFの王道テーマに男女の入れ替わりを絡めた超ロマンティックな作品である。ややこしくなりがちな展開をすっきりと上手に処理しており、美しい絵柄もあいまって大変よくできた恋愛ものになっている(展開はいろいろ突っ込みどころもあるが)。 この映画の特徴としては、子ども時代の時空というのが極めて若々しく、無垢で、キラキラした無限の多様性を秘めたある種クィアなものとして提示されていることがあると思う(クィアという言葉の意味については既に連載でけっこう書いたりしているのであまり詳しくは触れないが、要はいわゆる「ふつう」と違う、何かちょっと逸脱があるようなセクシュアリティのことである)。前半部分で入れ替わる三葉と瀧のセクシュアリテ