オーストラリア、シドニーに「Tetsuya's」というレストランがあります。シェフの和久田哲也氏が創作した料理は世界中から注目され、多くのレストランがこぞって真似しました。 この店の有名なスペシャリテは「タスマニアサーモンのコンフィ」。 「サーモンステーキの中心のレアな部分、あれをもっと食べたいと思った」 和久田さんは創作のきっかけをこんな風に語っています。たしかに上手につくったサーモンステーキ の中心部は柔らかくジューシー。生とは違ったとろけるような食感はどうやって出しているでしょうか。 それには温度が関係しています。魚のタンパク質は20°Cから変成がはじま り、タンパク質の構造がほどけだし、そこに結合している水が離れはじめます。その変化は温度の上昇とともに進み、45°Cを超すと少しずつ硬くなりはじめます。 和久田シェフのサーモンコンフィはそんな40°C〜45℃をキープし、まさに『火が通