〽 心に燃えて いたけれど 口には言えぬ 頃だった‥‥ この歌詞は、NHKラジオ歌謡「りんどうの花咲けば」出だしの一節である。 同級生のK子(妻)と、心安く話ができるようになったのは高校2年夏のころ。 図書室で本を読んだり、校庭に続く里山をそぞろ歩いたり、いつしか胸の内に彼女の 存在を、強く意識するようになっていった。 彼女の気持ちも同じであった、と打ち明けられたのはずうっと後日、婚約してからの こと。 ときめくような学園生活の日々は、あっという間に過ぎて行く。 好きだ――と言えぬまま、卒業式。「さよなら」ひと言いうチャンスもなく、校門を 後にしたのであった――。 「あれから40年」(綾小路きみまろ)――いえいえ、さらにプラス30年――。 妻「きょう何日?、何曜日?」 私「22日、火曜」 妻「今日なんか、ある」 私「通院も、来客予定も、何もないよ」 1分もたたないうち 妻「きょう何日?、何