ブックマーク / blog.tatsuru.com (7)

  • フリーライダーの効用 - 内田樹の研究室

    高齢者の集団自決が高齢化対策の秘策であると公言した若い経済学者の発言が話題を呼んでいる。 彼の言う「人間は引き際が重要だと思う」ということにも「過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる」という事実の摘示にも私は同意する。でも、使えないやつは有害無益だから、集団から追い出すべきだという論には同意しない。人道的な立場からというよりは組織人としての経験に基づいてそう思うのである。 組織に寄生して、何も価値を生み出さず、むしろ新しい活動の妨害をする「フリーライダー」はどのような集団にも一定数含まれる。この「無駄飯い」の比率を下げることはたしかに集団のパフォーマンスを向上させることにある程度までは役立つだろう。ただし、「ある程度」までである。というのは「無駄飯いの排除」作業に割く手間暇がある限度を超えると、その作業自体が集団のパフォーマンスを著しく低下させるからである。 組

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    laranjeiras 2024/03/11
    今の社会の多くがそうなっているということは、今日までの人類史の結果として高齢者や弱者を支える社会がそうでない社会よりも”強く”、そうでない社会を駆逐してきたということかと。
  • 法治から人治へ - 内田樹の研究室

    安倍政権は集団的自衛権の行使について、行使の範囲を明確にしない方向をあきらかにした。 「行使を容認できるケースを『放置すれば日の安全に重大な影響が及ぶ場合』と定義し、これが自衛権を発動できる『わが国を防衛するための必要最小限度の範囲』に入ると新たに解釈する。『重大な影響』『必要最小限度』の基準が何を指すかは解釈変更後の政策判断や法整備に委ねる。 今の政府解釈は、武力行使が許される必要最小限度の範囲を『わが国が攻撃(侵害)された場合に限られる』と明示し、個別的自衛権だけ認めている。政府原案は、これに集団的自衛権の一部が含まれると新たに解釈するものだ。政府は解釈変更後に個別の法律で行使の範囲を示し、法で縛ることで行使は限定されると説明する方針。だが、憲法上の解釈が『安全に重大な影響』と曖昧では、時の政府の判断で範囲が際限なく広がる可能性があり、歯止めはなくなる。 政府原案では、憲法九条の下で

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    laranjeiras 2014/04/18
    日本が中国や北朝鮮に近づいているというよりも、近年の日本が立憲主義国家だったのが”異常事態”で、中華文明を頂点とするアジア周辺国家に”戻る”と言った方がいいかも。
  • 「疎開」のすすめ - 内田樹の研究室

    「疎開」を勧めている。 政府や自治体の方からいずれ公式にアナウンスがあると思うけれども、東北関東の大震災の被災地への救援活動を効率的に実施するためにも、被災地や支援拠点となる東北関東の都市部から、移動できる人は可能な限り西日へ移動することを勧めたいと思う。 いま被災地と、その周辺には限られた資源しかない。特に燃料の不足が顕著である。東日一円では自動車による移動がしだいにむずかしくなりつつある。東海地方にまで地震が広がって、新幹線をふくむ交通インフラの運転も安定していない。 できれば、移動手段に十分な余力があるうちに、移動できる人は西に移動することが望ましいと思う。 福島の原発については、危機的状況をすみやかに脱することを私も願っているが、主観的願望と客観的状勢判断は混同すべきではない。万が一、放射性物質の広域への飛散が始まったときに起こるパニックを想定すれば、「パニックがまだ起こらない

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    laranjeiras 2011/03/16
    「インフラが整うまで子供達を疎開させては」という意見。東北で盛んだった出稼ぎの逆パターン。今回の震災で、個人ベースで同じ事をやっている人を複数知っている。
  • 才能の枯渇について - 内田樹の研究室

    クリエイティヴ・ライティングの今年最後の授業で、「才能」について考える。 天賦の才能というものがある。 自己努力の成果として獲得した知識や技術とは違う、「なんだか知らないけれど、できちゃうこと」が人間にはある。 「天賦」という言葉が示すように、それは天から与えられたものである。 外部からの贈り物である。 私たちは才能を「自分の中深くにあったものが発現した」というふうな言い方でとらえるけれど、それは正確ではない。 才能は「贈り物」である。 外来のもので、たまたま今は私の手元に預けられているだけである。 それは一時的に私に負託され、それを「うまく」使うことが私に委ねられている。 どう使うのが「うまく使う」ことであるかを私は自分で考えなければならない。 私はそのように考えている。 才能を「うまく使う」というのは、それから最大の利益を引き出すということではない。 私がこれまで見聞きしてきた限りのこ

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    laranjeiras 2010/12/27
    「国立大学に通うような人は、世間から有形無形の援助をたくさん受けている。社会に出たら人並み以上に世間に恩返しすることが国立大学出身者の義務」という先輩の言葉を思いだした。
  • 『七人の侍』の組織論 - 内田樹の研究室

    どういうタイプの共同体が歴史の風雪に耐えて生き延びることができるか。 これはなかなか興味深い問いである。 前に、住宅についてのシンポジウムの席で、「コレクティブ・ハウス」を実践している人から質問があった。 その人は20世帯くらいで住まいをシェアしている。子どものいる若い夫婦同士はお互いに育児を支援し合って、とても助かるのだが、高齢者の夫婦などはいずれこちらが介護せねばならず、若い人たちは「他人に介護してもらうためにコレクティブハウスに参加したのではないか・・・」という猜疑のまなざしで老人たちを見つめている、という話をうかがった。 どうすればこの共同体を継続できるのでしょうというお訊ねだったので、「残念ながら、そういう共同体は継続できません」とお答えした。 あらゆる共同体では「オーバーアチーブする人」と「アンダーアチーブする人」がいる。 必ずいる。 全員が標準的なアチーブメントをする集団など

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    laranjeiras 2010/11/23
    都市がやろうとしているのは長い歴史に淘汰されて田舎に残る作法を科学的に拡大再構築することか。無意識に歩く田舎に対して、手足の動きを緻密に計算して巨大ロボを歩かせる都市。
  • 廃県置藩について - 内田樹の研究室

    歯の治療がそろそろ佳境に入りかかっている。 このあと上の三の歯の基盤つくりのために、副鼻腔の「掃除」というのをして(何をするのかわからないだけにちょっと怖い)、下の歯の左奧にインプラント手術。これは最初のインプラントがうまく定着しなかったので、やり直しらしい。 先日、歯の先端が欠けて、しばらく舌が痛かった(尖った先端で、舌の横を「ヤスリ掛け」していたせいである)。 べると痛いし、しゃべっても痛い。 だったら早く歯医者に行けばいいじゃないかとおっしゃる向きもあるだろうが、歯が割れたのが15日のことである。センター入試を「お休み」してよろしいなら私も早速に歯医者に行きたかったところである。 だから 18 日に平松大阪市長を囲んで、鷲田先生、釈先生、江さんらと会したときも、歯が欠けたままだったので、実はしゃべるのがけっこう大変だったのである。 そろそろと舌で歯の尖ったところを探って、「クリ

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    laranjeiras 2010/01/22
    長距離トラックドライバーはこの身体感覚を持っているのではないかと常々思っています。いちどやってみたい仕事です。
  • みんな知ってる「密約」って何? - 内田樹の研究室

    1969年11月、沖縄返還の交渉過程で、当時の佐藤栄作首相とニクソンアメリカ大統領のあいだで交わされた沖縄への有事の際の核持ち込みを認める密約文書を、元首相の遺族が公開した。 沖縄返還は公式には「核抜き」での合意であったが、同時に密約で沖縄への核兵器再持ち込みが許容されていた。 核持ち込みは事前協議の対象案件だが、これについても「遅滞なく必要を満たす」とあり、事前協議が事実上空洞化していたことが明らかになった。 という新聞記事を読んで「びっくりした」という日人が何人いるであろう。 佐藤元首相は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」といういわゆる「非核三原則」を掲げて世界平和に貢献したという理由で1974年にノーベル平和賞を受賞した。 私はそのニュースのときの方がよほど「びっくり」した。 55歳以上のおおかたの日人も私と同じような反応を示したのではないかと思う。 ノーベル賞のときにはび

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    laranjeiras 2009/12/28
    「私は驚いている」オバマよりも喜色満面の佐藤栄作の方が一枚上ってことか
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