「私たちのとうびょうき」は、弁護士・青木志帆さんと新聞記者・谷田朋美さんによるウェブ連載。慢性疾患と共に生きる二人が、生きづらさを言葉に紡いでいきます。今回は、お二人の自己紹介です。 私が6歳だったある日、幼稚園の園庭で仲の良かった男児を追いかけまわしていたところ、顔面蒼白の母が突然現れ、私は大学病院へ連行されました。その後、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)という脳腫瘍と診断され、開頭手術を受けました。 頭の中って一度傷つくと再生しないんですよ。腫瘍によって「下垂体」という部位が傷ついたせいで、汎下垂体機能低下症という病名をつけられました。今のところ、たぶん死ぬまで汎下垂体機能低下症の人として生きる予定です。 幼少期に大病を経験した子にありがちなように、「医者になりたい」とか、「研究者になって自分の病気を治すんや」と一瞬思ったこともありました。ところが、想像を絶するほど数的処理能力がなかっ