化石燃料や金属などの「資源投入」だけでなく、金融や資本など世界の「経済産出装置」も限界に直面しつつある。さらに市場外に蓄積されたCO2排出などの外部不経済が人類や生命をいよいよ圧迫し始める。西洋で始まり世界に広がった工業文明の行き着く先を占う。 工業文明の基盤である現代の資本主義経済は、自然から採取した化石燃料や金属などの資源を市場経済に投入し、経済活動を通して国民総生産(GDP)を増やす循環を繰り返すことで成長してきた。一方で、市場経済の外部に公害やCO2排出などの「不利益」や「損害」が必然のようにつきまとう。 つまり、資本主義経済は、(1)「資源投入」、(2)「経済産出装置」(投資や金融など利益を生み出す仕組み)、(3)「環境破壊」(外部不経済)という結合的な因果関係をもつ根幹的構造によって成り立っている。今回はこれら3つの要素が絡み合いながら変転する「文明」を展望する。 IEA(国際