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ブックマーク / takekuma.cocolog-nifty.com (49)

  • 死ぬことは生きること…今敏氏の逝去を悼む: たけくまメモ

    ここに掲げた写真は4年前の暮れ、私が脳梗塞で入院していた時のものである。『パプリカ』の監督である今敏氏と、原作の筒井康隆氏より、入院お見舞いとしていただいたものだ。筒井氏には一回取材者としてお会いしたことがあるが、たぶん先方には記憶がないだろう程度の接触だったし、今敏氏とはこの時も以降も面識はない。 では、なぜこのような戴き物があるのかというと、私が入院直前までに『パプリカ』を映画館で2回見たと知ったソニー・ピクチャーズ(『パプリカ』の製作元)の社員F氏が、社内のプロデューサーに掛け合って広報用パンフレットにサインをもらい、病院にまで届けてくれたものである。Fさん、その節は当にありがとうございました。 サインには「早く元気になってください」(筒井氏)のほかに「お大事に」(今氏)とある。その今敏氏が、この8月24日、私より早くこの世を去られたことには、どういう言葉を出せばいいのか、思いつか

  • iPadにマンガを入れてみた: たけくまメモ

    インターネット上に著作権の切れた書籍(主に小説)をすべてテキスト化して無料公開している「青空文庫」という有名サイトがありますが、これをiPhoneiPadで読むための「i文庫」というアプリがあります(iPad用はi文庫HD)。アプリ自体は有料(iPhone用が300円、iPad用が700円)なんですが、一度入れてしまえば、夏目漱石や芥川龍之介など、青空文庫に登録されている死後50年を経て著作権(著作財産権)が消滅した小説データを、何冊でも無料ダウンロードして読むことができます。 実はこのソフト、自分でpdfファイルを登録して読むこともでき、当然マンガ閲覧にも対応しています。iPad上で、まるで紙のをめくるようにしてマンガを読むことができるのです。 上の写真のように指の腹でパネル上を軽く撫でるだけで、ページをめくることが可能です。iPadの場合、デバイスを縦にすれば雑誌サイズとほぼ同じ大

    moondriver
    moondriver 2010/06/20
    "しかし90年代初頭で3000万円かけたよりも高度なシステムが、現在なら30万あれば整います。この話をされるときの六田先生の「遠い目」は必見であります"
  • マンガ原稿紛失とその賠償額について: たけくまメモ

    ↑魔法なんて信じない。でも君は信じる。 () えー、これは珍しいですよ。どう珍しいかと言いますと、マンガ家が入稿前の生原稿を編集者に紛失され、その顛末をマンガにして出版したという、たぶんマンガ史上初めてのだからです。 俺がくどくど説明するよりも、アマゾンに掲載されてある担当編集者(このの)が書いた内容解説を添付したほうがてっとり早いと思います。 【内容紹介】 描き下ろしマンガ原稿が、出版前に67ページまるまる紛失!! この史上最大規模の原稿紛失事件の当事者が、顛末そのものをマンガ化!!!!! さらに気鋭の批評家・大谷能生氏による論考も併せて、この事件から見えてきた「マンガ」というメディアの質に迫る!!!! ●マンガはどのような要素によって描かれているのか? ●コピーされることによって広まる/力を得る作品の特徴 ●20世紀のポピュラー文化の再考と、そのなかに位置づけられるものと

  • 雑誌が“休刊”するとき: たけくまメモ

    http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091026_sho5_6/ ↑小学館の学習雑誌「小学五年生」「小学六年生」が休刊、87年の歴史に幕を閉じる http://sankei.jp.msn.com/culture/books/091026/bks0910261352002-n1.htm ↑「小学五年生」「小学六年生」が休刊 小学館(産経新聞) http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091026k0000e040071000c.html ↑小学館:「小学五年生」と「小学六年生」今年度で休刊(毎日新聞) http://www.asahi.com/culture/update/1026/TKY200910260317.html ↑「小学五年生」「小学六年生」休刊へ 小学館が発表(朝日新聞) すでに一昨

  • 吉祥寺アニメ映画祭個人的“裏入選作”発表【グロ注意】: たけくまメモ

    先日開催されました「第四回・吉祥寺アニメーション映画祭」ですが、俺は受賞作の発表の際、特別に「裏入選作」も発表するというようなことをチラリと書きました。それをこれから発表したいと思います。以下書く内容は、審査員の一人である竹熊の「独断」によって、あくまで「たけくまメモ」のみで発表するもので、吉祥寺アニメーション映画祭の事務局や他の審査員の意見とはまったく関係がないことを強くお断りしておきます。 ●裏入選作『チェーンソー・メイド』(長尾武奈) ★グロ注意★ ↑ニコニコ動画にもあります。 今回、長尾さんの作品は『クレイジー・クレイ・レスリング(CCW)』がギャグ部門にノミネートされましたが、それはこれが内容的に一番無難であったことが大きいです(もちろんこれもとても面白い作品でした)。これ以外にも長尾さんは旧作からいくつか応募されてきたんですが、そのすべてがグログロのスプラッタ・クレイ作品。チェ

  • オリンピックは全部CGにしろ: たけくまメモ

    中国政府が国家の威信をかけて実行している北京五輪ですが、威信をかけ過ぎたか、早くもさまざまなヤラセ演出が暴露されております。 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080812_firework_footprints_faked/ ↑北京オリンピック開会式の花火による「巨人の足跡」は当にCGだったのかどうかを検証してみた(gigazin) http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080812_olympic_bsod/ ↑北京オリンピックの開会式にブルースクリーンが登場していた http://www.cnn.co.jp/world/CNN200808130007.html ↑歌は口パク、花火はCG合成 北京五輪開会式の「偽装」判明 もうテレビでさんざん報道されているので皆さんもご

    moondriver
    moondriver 2008/10/08
    ”メインスタジアムを東京湾に浮かぶ超巨大な多層建造物にしたらどうかと思うわけです(通称“方舟”)” で我慢できなくなって吹いたw
  • 27年ぶりコミケにサークル参加(希望): たけくまメモ

    日(19日)、コミケの参加申し込み用紙を郵送しました。コミケはちょくちょく行っていたんですが、自分のサークルで参加を申し込むのは1981年以来ですから、恐ろしいことに27年ぶりということになります! 昨年・一昨年と桑沢ゼミで作った同人誌で参加していますが、桑沢は俺のサークルというわけでもないし、申し込みしたのは学生で、手続きのことは俺は何もやってませんでした。今年俺は桑沢のゼミを降ろさせてもらったので、今回の同人誌は単独でサークル作って参加ということになります。描いていただく人選も多摩美の女子大生を中心に一応決まっているんですが、もう少し内容が固まるまで内緒にしてください。 ひとつだけ書いておくと、以前「たけくまメモ」で紹介した文乃綺(ふみの・あや)さんの「城」も載ります。ただし彼女としてはいくつか描き直したい箇所があるそうなので、今度のは最新完全版になります。それからもちろん新作も描い

  • いろいろもう死んでいる(雑誌編): たけくまメモ

    この5月に『ヤングサンデー』の休刊が話題になったばかりですが、夏の終わりから秋にかけて、続々と雑誌休刊が報じられています。その中には大手の老舗雑誌が多数含まれていて驚きますが、いよいよかねてから噂されていた事態が「始まった」のかもしれません。 http://www.cyzo.com/2008/06/post_606.htmlリベラルはもう受けない?「論座」休刊へ(日刊サイゾー) http://www.zakzak.co.jp/top/200808/t2008083001_all.html ↑講談社月刊現代休刊…読者の著しい高齢化で販売低迷(zakzak) http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008090100665 ↑月刊「現代」など休刊=講談社(時事ドットコム) http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/ente

  • 続・オタクはいつから差別されていたのか?: たけくまメモ

    昨日、ミクシイのメッセージでDさんという方から、「アニメマニアについて扱った、古いテレビ番組をネットで見つけました。これについて伺いたいことがあります」と、ニコニコ動画のURLを送ってきました。そのURLが以下のものです。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1541995 ↑ニコニコ動画「元祖腐女子・高画質版」 これは1983年3月12日(おそらく)の「ズームイン朝」からのもので、前半が劇場アニメ『クラッシャージョウ』初日に前日から徹夜した若者たちにマイクを向けたもの、後半が前年開店したばかりの大阪SFマニア・ショップ「ゼネラルプロダクツ」に訪問取材しているものです。 店内には1981年制作の「DAICONⅢ」のキャラクターグッズが映っています。これを制作した団体が今のGAINAXの前身であるDAICON FILM。これとゼネプロの代表はどちらも岡田斗司夫氏

  • パンダとポニョ(3): たけくまメモ

    ←鳥山石燕『画図百鬼夜行』より (※前回から続く) ところで、以前のエントリ(→★)でも書きましたが、ポニョは「さかなの子」と主題歌で歌われているにも関わらず、とても魚には見えないという問題があります。どちらかといえばそれは、江戸時代の画にある妖怪の人魚にしか見えないわけです。(左図) ←人魚図 江戸時代の瓦版 笹間良彦『図説・日未確認生物事典』より しかし、主人公の宗介はポニョを見て開口一番「あ、金魚だ」と言いますし、お母さんのリサも、保育園の友達も「可愛い金魚」と言います。このことから、私たち観客は、これは人間のような目鼻がついており、髪まで生えていてどうも金魚には見えないけど、そこは「マンガのウソ」というやつで、こう見えても金魚なのだろう。金魚に違いない。と、うっかり考えてしまいます。 それはあたかも、二足で歩いて人間の言葉をしゃべるミッキーマウスを見て、とてもネズミには見えない

    moondriver
    moondriver 2008/08/11
    ”このようなアバンギャルドを、現代日本の興行ルートに「ご家族向け映画」として乗せてしまうことは、ただ宮崎駿にのみ許された何かの間違い”
  • パンダとポニョ(2): たけくまメモ

    (※前回からの続き) なぜ宮崎駿に限って例外的な映画作り(極端な作家的独裁)が許されるのかといえば、もちろん大ヒットするからであって、それ以上でも以下でもありません。しかしなぜヒットするのか、その理由について、俺はこれまで納得のいく説明を読んだことがありません。絵が綺麗だとか、動きが素晴らしいとか、高いテーマ性があるからとか、音楽がいいとか、いくらでも説明はあるのだけれども、それだけが理由だとは、どうも思えないのです。 なぜなら宮崎アニメ以外にも、高いテーマ性をもっていたり、映像や音楽が素晴らしい作品はいくらでもあるからです。もちろん宮崎駿が天才であって、高い芸術性と娯楽性を併せ持った巨匠だということは分かっています。そんなこと、小学生でも知っている。しかし、具体的にどこがよくて、何がヒットの原因なのか説明しろと言われると、とたんによくわからなくなるのです。 宮崎アニメについては昔から言わ

    moondriver
    moondriver 2008/08/11
    ”宮崎アニメでは、監督本人も結末がわからないまま、制作に入ってしまうのです””そもそも「ドラマのつじつまを合わせる」ことへの興味が最初からないとしか思えません”
  • パンダとポニョ(1): たけくまメモ

    日はまず『カンフー・パンダ』について書きたいと思います。先日、俺はこの作品について「見る気が起きない」ということをうっかり書いてしまいましたが(→★)、その後いろいろな人から「結構面白いですよ」とのご指摘があり、思い切って見ることにしました。 結論から言えば、見てよかったです。映画として面白かったことはもちろんですけど、それ以上に、『ポニョ』という作品を考えるうえでも『カンフー・パンダ』は見ておいてよかったと思いました。どういうことかといいますと、あらゆる側面から考えて、『パンダ』と『ポニョ』は正反対の場所に位置する作品だと思うからであります。 かつてレオナルド・ディカプリオが記者会見の席上、自分が出演した映画の話そっちのけで『千と千尋の神隠し』を絶賛したことがあります(横にいたスピルバーグ監督まで『千尋』を絶賛)。このときのレオ様の言いぐさが 「まるで別の惑星で作られた映画を見ているか

  • スカイ・クロラ見てきた: たけくまメモ

    先日『スカイ・クロラ』見てきましたが、その前の日に会った人が、押井ファンを自認していたにも関わらず口を極めて「つまらない」と連呼していましたので、どれだけアレなのかガクブル気分で見てきましたが、事前に原作も読まず一切の情報を入れず、期待値を下げて行ったのが功を奏したのか、わりと面白く見られました。 つうか、画面もカラーなのにモノクロみたいにわざと彩度を落とした色遣いで、コントラストがハッキリしない薄ぼんやりと霞がかかったような映像が続きますので、前半は確かに退屈な感じがしました。戦闘シーンはさすがに迫力がありましたが、基的には会話劇で、ところどころに地味ながらよくわからないセリフやシーンがある。こんな調子でこのまま終わるのかなあと思っていたら、後半になって、前半のわからない所が実は伏線だったりすることがわかってくる。それで最後にネタバレの長ゼリフがあって伏線が綺麗に回収されて終わるので、

    moondriver
    moondriver 2008/08/06
    「空でクロレラ作ってる」というイメージの人が意外に多くて安心した
  • ポニョ2回目: たけくまメモ

    ポニョの2回目を見てきました。感想を書こうとおもうんですが、その前に全然関係ないんですけど、今やっている『カンフー・パンダ』をどうにも見る気がしません。ポニョ見に行ったらイヤでもポスターが目に付くじゃないですか。たぶん、見たら面白いだろうとは思うんですよ。制作もドリームワークスだし、少なくとも退屈しないだろうと思うんです。 でも俺としてはどうも、パンダがカンフーしているだけで『らんま1/2』を思い出してしまって。内容が違うのはわかってるんですけどね。パンダがカンフーして何も悪いことはないんですよ。コロコロと太ったパンダがアチョーとか飛んだり跳ねたりしたらお子様は大喜びでしょう。しかしそろそろ48歳にもなる中年男が、一人で映画館行って「パンダ一枚」と1800円出す姿が、どうしても思い浮かばないんです。 そんなこと言って、おとといもチケット売り場で「ポニョ。大人一枚」って買って中に入りました。

  • 宮崎駿のアヴァンギャルドな悪夢: たけくまメモ

    昨日の土曜日、宮崎アニメの新作『崖の上のポニョ』を見てきました。一応、ネタバレにならない範囲で感想を書きますと、見たことがない種類のアニメーション映画でした。アニメーションとしても映画としても、似た作品を俺は思い当たらないし、過去のどの宮崎アニメとも似ていません。 もちろんキャラクターとか、ディティールの演出やセリフはいかにも「宮崎駿」なんですよ。確かに宮崎アニメに違いないが、見ている最中の「違和感」は、これまで感じたことがないほどのものです。まるで、はっと気がついたら父親が人間モドキに変わっていたような感じ。 『魔女の宅急便』を試写で見たときに、それまでの宮崎アニメと雰囲気が違うので少しとまどったことがありますが、二度目に見たときには大好きになりました。『ポニョ』も複数回見れば、印象が変わるのでしょうか。たぶん、そうなのでしょうが、今度ばかりは「理解した」と思えるまでに時間がかかるかもし

  • いつからマンガ家の住所は秘密になったのか?: たけくまメモ

    ←「少年マガジン」1972年3月12日号表紙 ええと、このエントリを読んでいる皆さんは、マンガ家の連絡先がどの出版社でもトップシークレットになっていることはご存じですよね。特に近年はプライバシーの保護に社会全体が厳しいですから、作家の連絡先が秘密になることは当然ではないかとお考えの人は多いと思います。でも、かつてはどのマンガ雑誌にも堂々と作家の連絡先が掲載されていたといったら、若い人は驚くでしょうか。 ←同じ号の65P「あしたのジョー」の欄外には、堂々とちば先生の住所が! 左の図版をご覧ください。たまたま俺の部屋にあった「少年マガジン」1972年の12号(3月12日号)を見ると、誌面に堂々とちばてつや先生の連絡先が載っています。ちば先生だけではありません。梶原一騎先生も、赤塚不二夫先生も、作家の連絡先は全部誌面に載っているのです。 72年といえば俺は小学校6年生でしたが、少なくともこの頃ま

  • ふくしま政美先生の逆襲: たけくまメモ

    ←女犯坊 1 (1) (マンサンコミックス) 先々週の土曜日に、新宿ロフトプラスワンでふくしま政美先生『女犯坊』の新刊発売記念イベントがありました。 このブログではちょうど「マンガ界崩壊を止めるには」のエントリ連載の最中で、それの執筆で手一杯だったため、報告するのが遅れてしまいました。ふくしま先生にお詫び申し上げるとともに、ようやくの紹介ができてほっとしています。 ちょうど10年前に太田出版から『女犯坊』(滝沢解原作オリジナル版)が復刻され、やはりこのロフトで「ふくしま政美復活祭」が開かれたのでしたが、そこから先生も山あり谷ありの幾星霜、ついに「漫画サンデー」で新原作者(坂六有)とともに、あの劇画史上最悪最強と呼ばれた竜水和尚が復活したのであります。なんでもこの作品が載ったことで、漫サンの売り上げが3パーセント伸びたという噂まであります。 実は前の復活祭の時には、俺が調子に乗って「先生

    moondriver
    moondriver 2008/07/01
    ”絶対に原作を無視しては勝手にマンガを描かないことです。もちろん変えるんですけど、必ず原作者に書き直しを要求し、自分が納得する原作になるまで付き合ってくださる” 原作者必要なんだろうかw
  • たけくまメモ : マンガ界崩壊を止めるためには(補足)

    前回の「マンガ界崩壊を止めるためには(6)」で書いた「マンガ・プロデューサー」についてですが、結局、マンガ界を活性化させるためには、社員編集者を独立させて作家と同じ競争原理に晒してしまったらどうか、というのが俺の提案のポイントだったりします。 それでは出版社が企業として立ちゆかなくなるかもしれないから、「半分はカンパニーエディターで、半分はフリーに」というのが長崎さんの提案なのだろう、と俺は解釈しました。つまり「サラリーマン」をやりたい人は会社に残れ、「マンガ編集」がやりたい奴は会社を出たほうがいいよ、というメッセージなのではないかと。実際、俺の印象としても、優秀な編集者ほど「作家」に近いメンタリティを持っているものです。出世して、当にイヤそうにしている人っているんですよね。現場から離れてしまうことが。 それで、重要なポイントを書き忘れていました。 マンガ・プロデューサーは「新人のスカウ

  • たけくまメモ : マンガ界崩壊を止めるためには(6)

    ●限界に来たマンガのビジネスモデル 以上、述べて来ましたように、マンガ界はこれまでのビジネスモデルが限界に達しつつあり、早くなんらかの手を打たないと、大手出版社を始めとして版元も作家も共倒れになる危険性があります。 もちろんこれはマンガ界単独の問題では実はなくて、「版元―取次―書店」といった出版流通の構造が限界に達しているということで、全出版流通の三割を占めるマンガ(雑誌・単行)が売れなくなってきているということが、事態をより深刻にしているわけです。 ブックオフやマンガ喫茶の隆盛を見る限りでは、マンガ読者が減っているのではなく、マンガを(新刊で)買う人が減っているだけだということがわかります。ここから考えても、マンガ表現そのものは、これからも生き残るだろうと思います。 実際、出版流通の中心から目を転じてみるならば、コミケなど同人誌即売会の隆盛は年々大きな存在感をしめしており、インターネッ

  • たけくまメモ : マンガ界崩壊を止めるためには(5)

    ●樹林伸vs長崎尚志対談 ←KINO VOL.7 (7) 前回の「マンガ界崩壊を止めるためには(4)」において、俺は「日型マンガ・エージェント」のありかたとして「マンガ・プロデューサー」を挙げ、現実に講談社を独立した樹林伸氏や、小学館を独立した長崎尚志氏のようなベテラン編集者が、「原作者」という名目でフリー活動を始めていることを紹介しました(長崎氏は浦沢直樹氏の『PLUTO』では「プロデューサー」としてクレジットされています)。 実は俺が今年から講義を始めた京都精華大学では、「KINO」というマンガ評論誌を発行しているんですが、今発売中の第7号で「21世紀のマンガ コミック雑誌の消滅する日」という刺激的なタイトルの特集が組まれており、巻頭でまさに樹林伸氏と長崎尚志氏の対談記事がカラーで掲載されています。 この特集には、俺と「マンガ産業論」の中野晴行氏との対談も載っているんですが、この仕