直径約6メートル、高さ約25メートルの巨大な熱交換器を、ロボットアームが火花を散らしながら輪切りにしていく。ロボットの操作は、熱交換器がある建屋とは別棟の作業室。端末を操作する作業員は、「今後の作業を円滑に行うために、操作のノウハウを積み重ねているところだ」と説明した。 日本で初めて営業運転を開始した日本原子力発電の東海発電所(茨城県東海村)では、4台ある熱交換器のうち、2台目の撤去作業に向け準備が進められている。東日本大震災に伴う事故で廃炉が決まった東京電力福島第1原子力発電所と異なる『もう一つの廃炉』の姿がここにある。 熱交換器の周りの放射線量は低いため、人手でも解体作業はできる。あえて遠隔操作のロボットで解体するのは、高い放射線量下で行われる将来の廃炉作業を視野に入れたものだ。 安全性と耐久性を最優先して造られる原発は解体・撤去を前提として設計されていない。廃炉に伴う技術の蓄積は将来