慰安婦問題が世界的な注目を集めていることを理解するために、三つの観点から考えてみたい。 第一に、慰安婦は国際法の分野で女性の権利侵害の歴史的な実例として1990年代から広く言及されてきた。ボスニア紛争などで起きた大量虐殺と集団レイプは、98年に合意された国際刑事裁判所の設立に影響を与え、レイプや強制売春は人道に対する罪として国際法のもとで裁かれるようになった。国際法の文献で慰安婦が第2次大戦中の性的犯罪として触れられるのは通常のこととなり、慰安婦問題は女性の権利に関わる国際的問題となった。 NGOや女性団体の活動が拡大し、その国際的な協力が飛躍したことがもう一つの原因だ。韓国では80年代に始まり、日本の女性活動家たちが加わった。90年代にほかのアジア諸国と韓国系の米国人やカナダ人が声を上げるようになった。慰安婦問題は90年代の米国でのいわゆる「アイデンティティー・ポリティクス」の一部となり