幼児を救った大型カートで食器などを運ぶ日野ゆり子所長(左)ら=宮城県石巻市長浜町で2011年3月28日午後2時27分、須藤唯哉撮影 宮城県石巻市長浜町の「市立はまなす保育所」では、職員が幼児を大型カート2台に乗せて津波から逃げた。海岸から約50メートル離れた保育所は大津波で壊滅したが、幼児8人と職員17人は無事だった。「幼い子供のよちよち歩きでは津波が到達する前に避難場所に着かない」と用意したカートが小さな命を救った。 地震が発生した11日、保育所では0~6歳の幼児約70人の大半が午後の昼寝の時間だった。強い揺れに襲われると日野ゆり子所長(58)は、布団をかぶって身を守る幼児に「大丈夫だよ」と声をかけ安心させた。 揺れが静まると、十数分の間に保護者が次々と迎えに来たが、1~5歳の8人が残った。町内では大津波警報の発令を知らせる防災無線が鳴り響いていた。日野所長は保育所から約500メートル離