竹島、徴用工や慰安婦問題など韓国で通説となっている歴史認識を検証した『反日種族主義』。今夏刊行された韓国では曺国前法相が批判するなど物議を醸し11万部超、11月発売の日本版は36万部に。日韓で賛否両論、波紋を呼ぶ本書を識者が論じる。 ◆◆◆ 書かれている内容は、既存の研究で明らかにされてきたものが大半です。 日本が「朝鮮民族の精気を抹殺する」ために鉄杭を打ち込んだという荒唐無稽な主張や、朝鮮総督府の建物を解体した金泳三政権の倒錯した姿勢、「反日ならなんでもあり」の小説家や政治家への批判……。これらは世宗大学の朴裕河教授が2000年に上梓した、『誰が日本を歪曲するのか』(邦訳は『反日ナショナリズムを超えて』)で言及しています。目新しい歴史的発見は、本書には記されていません。 「進歩派」を攻撃するための一手 ではなぜ著者の李栄薫氏らはこの本を出したのか。 それは文在寅大統領ら進歩派を攻撃するた