深い森の奥に、深い、とても澄んだ湖がある。 そのほとりに、わたしは立っている。 もう、ずっとここに。 そして、これからも一生ここに。 子どもの頃は、空を飛びたかった。 わたしの枝を訪ねる小鳥たちのように、わたしもどこか知らないところへ行ってみたかったし、この森を、遠くから、上から眺めてみたかった。 一度でもいいから。 叶わぬ夢。 そう、木に生まれたわたしには、どんなに頑張っても、叶わぬ夢だとわかっていたくせに、それでもどこかに魔法の呪文があると信じていた子どもの頃。 心の声で小鳥に話しかけてみる。 「ねぇねぇ。小鳥さん。どうやって飛んでいるの?」 小鳥は美しい声を出して答えてくれる。 「ち、ち、ち。そうだなぁ。考えたことはないけれども。 次に行きたい枝をじっと見るのだよ。 それで、えいやって身体を持ち上げてみれば、その枝に着いてるんだ。」 すれ違う鳥に、いつも尋ねてみたけれど、返事はいつも
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