高額な手数料でトルコの少数民族クルド人の欧米への密航を手引きする違法なネットワークの存在が、現地調査で明らかになった。浮かび上がるのは、トルコ政府からの迫害から逃げ延びてきた難民というより、経済的な観点からトルコを出て北米や日本へ移り住もうとするクルド人もいるという、日本国内の議論では語られない「実情」だ。 仕事求め「トルコ経済は最悪。弟は高収入を求めて国外に飛んだんだ」 トルコ国内に住む40代のクルド人男性は、匿名を条件に、弟がトルコから北米へ密航した詳細を産経新聞に打ち明けた。 この男性の弟は30代。2022年末、トルコの最低賃金の3年半分にあたる約1万5千ドル(229万円相当)を遠くメキシコのある組織に支払い、国外への切符を手にした。用意されたのは、大量の偽造書類だったという。 トルコではここ数年、インフレが恒常化。今年3月の消費者物価指数が前年同月比で70%近く上昇したほか、昨年2