<プラスチック危機はただのごみ問題ではない。温暖化にも影響する深刻な環境問題の解決策をデータから考えると――。本誌「プラスチック・クライシス」特集より> 海岸にあふれ、海洋を汚染するプラスチックごみが大きな問題になっている。メディアが危機的な状況を伝え、各国政府はレジ袋など使い捨てプラスチックの規制に乗り出した。 これに異を唱えるのはプラスチック業界だ。プラスチックは私たちの生活に欠かせない有用な素材であり、問題は消費者のポイ捨てや一部自治体のごみ処理のずさんさにあると、彼らは主張する。寝たきりの病人や高齢者にはプラスチックのストローは必需品だし、スーパーの棚に並ぶ生鮮食品用のラップが使用禁止になれば大量の肉や野菜が腐って廃棄されることになる、というのだ。 途上国、さらには多くの先進国でも、ごみの収集・処理システムの整備が焦眉の課題であることは事実だ。そうであっても、豊かな国が「リサイクル