平成とは、どのような時代だったのか――。 その手がかりを、各年を象徴する曲に探る「平成ヒット曲史」。 プロデューサーの時代、タイアップ全盛、「自分らしさ」、史上一番CDが売れた年……ヒット曲は諸行無常の調べ。音楽ジャーナリストが、ポップ・ミュージックを通して“平成”という時代に迫ります。 第7回は、小沢健二の「強い気持ち・強い愛」です。 時代のターニングポイントとなった1995年 小沢健二「強い気持ち・強い愛」 平成とは、どんな時代だったのか。それが明らかになってきたのが1995年という年だ。 戦後50年の節目となったこの年は、日本の一つのターニングポイントだった。バブル崩壊からもしばらく引きずっていた昭和の高度経済成長期のムードが立ち消え、社会の空気が一変した。 きっかけになったのは阪神大震災と地下鉄サリン事件だった。1月17日に起こった阪神・淡路大震災の死者は6千人以上、負傷者は4万人