田浪亜央江 ◆イスラエルの政策の帰結としての〈10.7〉 私はこの10年あまりは、展望がまったく見えないパレスチナの状況下で、武装闘争とは異なる闘争のかたちとしてパレスチナ人が選び取っている、文化による闘争・抵抗に関心をもって、現地にいる間はその動向を追うことに多くの時間を割いてきました。 「10月7日にハマス(ハマース)によるイスラエル攻撃が始まった」という言い方で現在の事態について話を始めることが一般化しています。10月7日を始点とするならばそう表現するしかないわけですが、私自身はいまの事態を「パレスチナを占領するイスラエルが、パレスチナにおける最終的な民族浄化(パレスチナ人口の消滅)を目指し、時間をかけて着々とパレスチナ社会を追いつめて来た政策の帰着」と表現するしかないと思っています。ハマースによる越境攻撃というかたちで始まることは想定外でも、「いつか起こること」でした。タイミングと