ダニー・スチュワートさんはその日、急いでいた。ボーイフレンドとの夕食デートに向かうため、ニューヨークの地下鉄駅構内を走っていたが、床に何かが置かれているのが目に入った。ダニーさんはやがて、その「何か」を心から大切に思うようになる(文中敬称略)。 2000年8月28日の午後8時ごろのことだった。ニューヨークのラッシュアワーの混乱がようやく静まったころで、マンハッタン・チェルシー地区の14番丁目駅に、地下鉄が滑り込んできた。
兵庫県西宮市の集合住宅で3月、36歳の女性が遺体で見つかった。遺体はごみの山に埋もれ、下半身の服が脱げている状態だったという。筋力が徐々に低下する難病「筋ジストロフィー」を患い、一緒に暮らす母に介護されていた女性。死体遺棄罪に問われた母の判決が18日にあり、裁判官は執行猶予付きの有罪を言い渡した。母子に何が起きたのか。公判では、家族4人が筋ジス患者になった壮絶な介護の経験が明かされた。 「眠れない日が続いて、心身共にボロボロだった。でも娘が『お母さんのそばにいたい』と言うので、施設には入れなかった」 逮捕、起訴された女(68)は神戸地裁尼崎支部の公判で、検察官や弁護人の質問に答える形で、次女の遺体を遺棄するまでに至った経緯を語った。 女は、いずれも筋ジスを患う夫、長女、次女、三女の4人を1人で介護していた。食事や風呂の介助、病院の付き添い…。少しずつ症状の重くなる家族を懸命に支えた。 しか
母親を殺したいと思うことも 薬物依存症だった母親 依存症にならないためにできること テレビのコメンテーターなどで活躍する医師、おおたわ史絵(ふみえ)さん。3年前から刑務所で受刑者の医療措置や健康管理を行う「矯正医療」に携わっています。その背景には自身の過酷な生育環境があるといいます。昨年9月に出版した『母を捨てるということ』(朝日新聞出版)では、薬物依存症に陥った母親との長年の確執を明らかにし、母親に「死んでほしい」と願うまでに追い詰められた心境をつづっています。依存症と向き合うにはどうしたらよいのか、笑下村塾のたかまつななが話を聞きました。 おおたわ史絵(おおたわ・ふみえ) 総合内科専門医。法務省矯正局医師。東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て現職。刑務所受刑者たちの診療に携わり、日本でも数少ないプリズンドクターを務める。ラジオ、テレビ、雑誌など、各メディア
「各国の議会で女性議員が占める割合、日本は世界で166位」 この春、報じられた残念な調査結果を聞きながら考えました。日本の女性が参政権を獲得し、初めて選挙で投票してからことしで75年。当時と今。何が変わり、何が変わっていないのか。75年前に1票を投じた女性たちに話を聞いてみることにしました。(ラジオセンター 瀬古久美子/社会部記者 松田伸子) 「実はあまり覚えていないのよ」 初めての投票はさぞ感慨深かっただろうと思いきや、意外な答えが返ってきました。 もろさわ ようこさん、96歳。 昭和21年4月10日、戦後初の総選挙で投票した女性の1人です。 75年前に投票したということは一番若くても今は95歳。 すでに亡くなったり体調を崩したりしている人が少なくない中、過去の地方紙を検索したところ、もろさわさんのインタビュー記事を見つけました。 肩書きは「女性史研究家」とあります。 連絡をとった私たち
『VRおじさんの初恋』がロスジェネ世代に突き刺さる「オタク、ネクラ、キモい、だって俺その通りなんだもんな」暴力とも子に聞く 40歳独身男性のナオキ。家でひとりVR世界に入っていたところ、ある女性アバターのホナミという存在に出会う。アバターを利用しているのが誰なのかはわからないが、ふたりの間には特別な感情が芽生え始める。 ギャグではなく、ロスジェネ世代の現実のシビアさとVR空間での純愛を正面から描く『VRおじさんの初恋』がツイッターとnoteで何度もバズり、オンライン書店では品切れしっぱなしなほど大人気だ。 なぜ題材がおじさんなのか、なぜVRなのか。VTuber文化に詳しいライター・たまごまごが、作者の暴力とも子に作品の根幹にある考え方を聞いた(一部作品のネタバレを含みます)。
人工呼吸器の管理やたん吸引などの医療的ケアが必要な子どもへの支援を強化する法案を、自民、立憲民主など超党派の国会議員らでつくる「永田町子ども未来会議」が今国会に提出する。学校配置の看護師不足で子どもが通学を断念したり、学校への付き添いや送迎で親が働けなかったりといった医療的ケア児を取り巻く課題の解消を目指す。(坂田奈央) 都内の特別支援学校中学部1年生の山田萌々華さん(12)は、看護師不足が原因で週2回しか通学できない。「毎日通いたい」と訴えるが、寝たきりで人工呼吸器を使うため、看護師が対応できない日は保護者の付き添いが必要。共働きの両親にはそれが難しい。母の美樹さんは「法律で、毎日学校に通えるような環境整備につなげてほしい」と話す。 医療的ケア児の数は、厚生労働省の推計(2019年)で約2万人。医療技術の進歩に伴って助かる命が増えたことなどから、過去10年間で倍増した。法案は、医療的ケア
ずっと勘違いされてきた“正しい犬のしつけ方” No, Your Dog Doesn't Think You're the "Alpha" 猫、うさぎ、ハムスター……。私たちがペットとして共に暮らす動物は、たくさん存在します。中でも、大昔から人間と良い関係を築いてきたといえるのが、犬。日本でも、多くの人が犬と一緒に楽しい毎日を送っていると思います。ところがこの“犬のしつけ”について、長い間、間違った方法が正しいと信じられていた事実をご存知でしたか? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、そんな“勘違いされてきた、正しい犬のしつけ方”について解説します。 長年、勘違いされてきた“正しい犬のしつけ方” オリビア・ゴードン氏:愛嬌があって、よくしつけられているわんちゃんって、いますよね。そんなわんちゃんは、ハイタッチしてくれたり、後ろ足で歩いたりできます。 ところ
今月3月16日にアトランタの複数のマッサージ店で起きた銃撃事件は、被害者8人のうち6人が韓国系または中国系の女性ということもあり、米国在住のアジア系の間では大いに緊張感が高まっている。 アジア・太平洋諸島系に対する暴力や嫌がらせについて調査している団体「Stop AAPI Hate」によると、2020年から2021年までの1年間に報告された3,795件のヘイト犯罪のうち、女性による報告が68%を占めているという。ここでは、アジア系に対するヘイト犯罪とはどういうものなのか、そしてなぜ女性に対するものが多いのか、カリフォルニアに14年暮らし、日系アメリカ人の夫をもつ日本人女性である筆者が考えてみたい。 最近の米国内のアジア系への攻撃の増加 トランプ政権になってからヘイト犯罪は全般的に増加傾向にはあったが、 Covid-19ウィルス上陸以来、 アジア系市民への犯罪が増加している。2020年は前年
日本の大学の最高峰「東京大学」に初めて女子が入学したのは1946年のこと。時代と共に歩んできた「東大卒の女性たち」の生き様に迫ります。第7回は、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授で、シェイクスピア・舞台芸術史・フェミニズム批評が専門の北村紗衣さん(2006年、教養学部卒業)です。 日頃からツイッターで積極的に発信している北村さんが、呉座勇一・国際日本文化研究センター(日文研)助教から誹謗中傷を受け、メディアで大々的に報じられたこと、「東大男子問題」への受け止めについてもお話を伺いました。/聞き手・秋山千佳(ジャーナリスト) (※この記事の取材日は、前半が2月26日、後半が3月27日です) 北村紗衣さん◆ ◆ ◆ ――北村さんのご著書『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』に、「内なるマギー」という言葉があります。マギーとは、英国史上初の女性首相となった“鉄の女”ことマーガレット・サッチャー。
2015.08.29 16:00 「アイドルを消費する」日本に、『マッドマックス』が投下したもの 西森路代×ハン・トンヒョン 2015年6月の公開以降、繰り返し上映期間が延期され、いまだ大好評上映中の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。本作はアクション映画としてだけでなく、奴隷となった主人公のマックスと、「産む機械」として扱われている5人の女性たち(ワイブス)を解放するために立ち上がったフュリオサが、独裁者イモータン・ジョーから逃れるために、男女を越えて連帯しているという、フェミニズム的な視点からも高く評価されています。 一方、『マッドマックス』に対する評価は多様でもあります。例えばライターの西森路代さんは、本作を「男性によるホモソーシャル」ではなく「男女によるホモソーシャル」のようだと考え、社会学者のハン・トンヒョンさんは「女性によるシスターフッド」ではなく「男女によるシスターフッド
3年前の記事が読まれ続けているということは、「3年前から社会の状況が変わっていない」ということではないかと思います。 昨年くらいから世間は少し「生理ブーム」で、生理をテーマにしたマンガが注目されたり生理にフォーカスした百貨店の売り場が世間を賑わせたり、若手起業家が生理に着目した製品を開発したりユニチャームや花王の生理キャンペーンが注目されたりしました。 ようやくかよ…というのが私の感想です。太古の昔から女性にあった生理が西暦も2020年になろうという今、ようやく人々の口に上り始めたのです。 しかしこの生理ブームを横目で見ながら私は思っていたのです。 「私、生理ないしな…」 3年前に閉経を迎えた私は生理がないので、乗ろうと思ってももうブームには乗れません。しかし「更年期ブーム」はこれからも来そうにないのです。なぜならそこには「毎月の経血」や「生理ナプキン」といったわかりやすい現象やプロダクト
愚痴だ。 色覚異常の話をするが、これはうちの上司の話であって色覚異常の人々自体は何も悪くない。 自分の父が色覚異常な事もあって、仕事していて「あー、この上司も赤系が全然分からない人だろうな」とすぐに分かった。 先日取引先から物凄いカラフルな書類が届き、直感でこれは半分ぐらい判別できないと分かったので 軽い気持ちで少し書類が見やすいように気を回して置いておいた。 上司からは特に何も言われなかった。 でもその日以来、何か色の違いが絡む業務とか資料とかが出てくる度に、上司がこちらをジーっとずっと見ている。 仕方ないのでいかにも別の話を振ったかのようなフリして「この緑の書類とピンクの書類は」と具体的に色名を口に出して説明している。 上司はホッとしたような顔をする。 という感じだ。 正直疲れる。 頼られるのは悪い気はしないんだが、露骨にゴゴゴゴゴ…みたいな威圧感をかけてくる割には どうしても「別に俺
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東京都は、銭湯などで小さい子どもが混浴できる年齢を、今の9歳以下から6歳以下に引き下げる方針を固めた。 東京都では、銭湯などの公衆浴場で、母親が息子、父親が娘を連れて入る、いわゆる混浴ができる年齢を、9歳以下と定めているが、国の方針に合わせて、混浴年齢を6歳以下に引き下げる方針を固めたという。 背景として、利用者などから、「小学校に入ったら男女を分けた方がいいのでは」、「同級生が入ってきてびっくりした」といった声が上がっていたという。 6月の都議会で条例が改正され、その6カ月後をめどに施行される見通し。
まさか、ふつうに暮らせない…?とザワつく、21歳マイノリティの「苦しい胸の内」 居場所の発見と孤独(1) いまの私が、過去の私を救っている 「橘さんは、今まで大変な場面を自力でなんとか切り抜けてきたとのことですが…どうして、誰かに”提供する”側へ回ろうと思えたんですか?」 都内で「対話型”レズ”風俗 Relieve ~リリーヴ~」という女性間風俗店(*) を営む筆者は、「風俗」の響きとかけ離れた「対話」のコンセプトに興味を持たれ、取材を受けることが多い。 2020年5月。店を立ち上げるまでの私的な苦難と、様々な悩みを抱えたお客様のエピソードをまとめたノンフィクションが出版された際に、取材者から聞かれた質問だった。 どういう意味で尋ねられたのか図りかねていると、補足してくれる。 「トラブルや悩みを自分で解決するしかなかった人って、すごく自己責任論が強化されるというか…他の人が誰かのおかげで助
ソ連軍侵攻から敗戦へと「満州国」が崩壊した後、暴民の襲撃、ソ連兵の強姦などによって、日本人開拓団は追い詰められていった。そのとき、逃げ場を失った集団を守るために、ソ連軍上層部らの「性接待」役として差し出された乙女たちがいた――。 70年の歳月を経てその重い口を開いた彼女たちの告白を、ノンフィクション作家・平井美帆氏が綴る。 (前編はこちらから http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52608) 口を閉ざす人々 照子さんは八路軍(のちの中国人民解放軍)によって留用され、1953年に日本へ帰ることができた。看護婦として働かされた漢口の陸軍病院では、兵士の誤射によって被弾し、左足に傷跡がうっすらと残る。八路軍の幹部は、「日本人は女を出した」と黒川開拓団の性接待を知っていたという。なぜ、あんなことをしたのか……。八路軍兵士からそう言われたことが照子さんの胸に深く刻
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