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数年前から顕在化した難しい話「災害時の死者・行方不明者の氏名を公表するかどうか」という件.草津白根山の噴火に伴う災害でもあらためて課題となったことが報じられている.
今回の豪雨は,「広い範囲に大量の雨が長時間にわたり降り続けた」事が大きな特徴と言える.たとえば2017年7月九州北部豪雨では,1時間降水量など短時間の降水量が非常に大きかったが,強い雨が継続したのは10時間前後で,今回とは様相が異なる.今回は,72時間降水量など,長時間の降水量が大きかったところが多く,気象庁AMeDAS観測所(統計期間10年以上)のうち7月7日に最大値を更新した観測所は116箇所となった. なお,72時間降水量も値自体が特別大きいわけではない.最大は高知県魚梁瀬で,まだ欠測の関係で値が不詳だが1400mm程度と思われ,これは全AMeDASの上位3位に相当する可能性.しかし他の観測所はいずれも1000mm以下で,全AMeDASの上位10位よりはかなり小さい. また,絶対値としての降水量が大きかった地域で大きな被害が出ているわけではない.被害が集中した広島市付近,倉敷市付近の
「避難とは避難場所へ行くこと」との単純な理解に様々な問題があることが近年指摘されている.内閣府「避難勧告等に関するガイドライン」では,「『避難行動』は、数分から数時間後に起こるかもしれない自然災害から『命を守るための行動』である」とし,形態として,①指定緊急避難場所への立退き避難,②「近隣の安全な場所」への立退き避難,③「屋内安全確保」を挙げている.命を守るための行動が重要であり,「避難場所へ行くこと」はその手段の一つに過ぎない. 「避難所」の意味についても整理が進んでいる.現在の制度では,指定避難所「災害により住宅を失った場合等において一定期間避難生活をする場所」,指定緊急避難場所「切迫した災害の危険から命を守るために避難する場所」の2種がある.「命を守るための行動」で向かうのは主に指定緊急避難場所と言えるが,指定避難所と指定緊急避難場所が位置的に同一なことも多く,「避難所へ行くのは間違
大川小学校災害に関する控訴審判決は,東日本大震災後に大きく変化した現代の感覚で,当時の人の行為を裁いたもので,きわめて強い違和感を覚えた.判決が求めている判断は,現代においてもかなり高度なものであり,今後社会全体として対応していくことが現実的に可能なのか,強い疑問を感じた.
判決は,東日本大震災発生前の段階で大川小学校関係者が,学校周辺への津波の可能性を認識しておらず具体的な避難場所等を決めておかなかったことや,地震発生から15時半頃までの間に校庭にとどまったという判断については,注意義務違反ではなかったとした.15時半頃,石巻市の広報車が伝えた北上川河口付近の松林を津波が越えているという情報に接して以降は,大規模な津波が到達することを予見できたとしており,この広報車による情報に重きを置いている. このように,震災前から地震直後と,津波到達直前で分け,予見可能性をやや限定的に判断していることは,現に15時半以降に児童らの避難行動が行われていることも考えると,一定の理解ができる.たとえば「(震災前の時点でも)想定外の事態にも当然備えなければならなかった」「地震発生直後に当然大きな津波は予見できたはずだ」といった,幅広い予見可能性が認められたわけではないことは,率
防災対策には「ハード対策」と「ソフト対策」があり,両者は根本的に異なる性質を持っていることを理解することも,きわめて重要である.ハード対策は,英語でstructural measuresと言われるように,「なんらかの構造物による被害軽減手法」ととらえることができる.たとえば,ダム,堤防,防潮堤,耐震補強などが挙げられる.いっぽうソフト対策は,英語ではnon-structural measuresであり,「構造物によらない被害軽減手法」といえる.たとえば,土地利用規制,耐震基準,保険,観測システム,情報システム,ハザードマップ,防災教育,訓練,避難システムなど,さまざまな例が挙げられる. 日本においては,戦後復興期から阪神・淡路大震災頃までの間,防災対策は,おおむねハード対策を中心に考えられてきたといってよい.しかし,ハード対策には次のような問題がある. 一般的に,多くの費用が必要. 多額の
2月27日付け静岡新聞「時評」欄に掲載された筆者の寄稿記事です.いつにもまして極めて上から目線な論調,と受け止められることでしょう・・・ ------------------------------ 時評=「すべきだ」防災からの卒業-当事者意識で行動を (牛山素行=うしやまもとゆき/静岡大防災総合センター副センター長・教授) シンポジウム,新聞投書欄,ネット上など,様々な媒体で,いろいろな人が,防災について「○○をすべきだ」という発言をしている場面をよく見る.「○○」にはいろいろな文言が入る.「手厚い補助」,「もっと高い堤防」といった予算・物的な要望,「もっと詳しい被害想定」,「この問題についての考慮」,「防災意識の向上」などの広い意味での情報に関わる要望などが代表例だろう.あるいは「私は××なのだから,私をもっと活用すべきだ」などといった要望も見聞きすることがある. 防災に関して「べきだ
2013年10月17日大島町現地踏査写真 http://goo.gl/gV3MWF 今回の大島町での対応に関しての私の雑感.災害発生前に「避難勧告」が出ていなかったこと自体は「よくあること」で、強く批判する気持ちにはなれない.ただ、警報、土砂警に加え、23時台に大島付近に特化した府県気象情報が出て、記録雨が出て、都や気象庁からのホットラインも来て、という状況下で、避難や特に危険な状況であることを告げる情報が一切出ていなかったことは「残念」と言わざるを得ない. 「夜間の(かつ暴風雨のでの)無理な避難は被害を拡大することを恐れた」という認識自体はおかしくない.私自身、各地で強く言っていることでもある.しかし、だから避難にかかわる情報を一切出さないというのは何か違うと思う.自治体側はいろいろな状況を考慮し、ためらい、勧告を出さない、という判断に至った、このことはよい.しかし、何も情報が出ないと、
このたび古今書院から「防災に役立つ地域の調べ方講座」という本を出すことになりました. http://www.kokon.co.jp/h7115.htm 全国配本は11月中旬頃の見込み.近日中に著者割引に関する情報を流しますが,刊行に先立って,本書刊行の背景について説明しておきたいと思います.同書の「あとがき」をそのまま掲示します. --------------------------- 2011年3月11日は,筆者にとって一生忘れることができない日になった.筆者は14時46分地震発生の瞬間を,出先から大学に戻ろうと車に乗り込んだところで迎えた.はじめは,車が少し揺れ,大型車でも通ったのかなと思った.しかし,その揺れは異様に長く続き,遠いところでかなり規模の大きな地震が起きたのではないかと気がつき,カーラジオのスイッチを入れた.番組はすでに地震報道に切り替わっており,宮城県で震度6強,すぐに
静岡大学防災総合センター牛山研究室では,岩手県陸前高田市役所の協力を得て,東日本大震災にともなう同市内の人的被害(犠牲者)に関する解析を進めている.今回,犠牲者居住地に関する集計結果が得られたので,速報として報告する.なお,データについては現在精査を進めており,今後集計結果が変化する可能性がある. 陸前高田市における人的被害の特徴(速報)[PDF] 主な結果を要約すると以下の通りである. 陸前高田市の死者・行方不明者数は1月13日現在1852人.浸水域人口に対する犠牲者率は11.13%で,宮城県女川町(11.63%)に次いで多い.この犠牲者率は近年の日本の自然災害としては極端に高いが,岩手県内では明治三陸地震津波時の犠牲者率よりは低い傾向にあり,陸前高田市も同様である. 標高が低く(平均標高5m以下),人口密度の高い(おおむね1000人/km2以上)地区で犠牲者率が高い(おおむね20%以上
5月に, 陸前高田市・津波到達直前の防災無線の内容とその時間を推定 http://goo.gl/6ac3H という資料を挙げていますが,この表を改訂しました。これまで15:22~15:27のみだったものが15:11~15:27になりました。今回の改訂の根拠となったのは、この http://www.youtube.com/watch?v=qe4xjezFi4A 動画です。この動画の存在は知っていたのですが、広田半島の先端部で撮られたもので、高田町付近の動画や画像との対照ができないのでこれまでよく見ていなかったのですが、途中に明確な余震の揺れ(たぶん15:15のM7.4余震、大船渡で震度3)が確認でき、撮影者の声による時刻の吹き込みとあわせて時刻の特定ができたので、利用することにしました。 なお、この動画では15:20頃以降の防災無線の音声を聞くことができません。広田半島内では、市役所付近に津
2011年7月新潟・福島豪雨による遭難者(死者・行方不明者)は,8/9現在で死者4名,行方不明者2名,計6名となっています.これら遭難者について,おもに報道記事を元に遭難状況を集計しました.これは,筆者が最近7年ほど行っている同様な調査の一環です.調査方法やこれまでの論文などについては http://disaster-i.net/research4.html に示してあります. 今回の遭難者が発生した箇所のおおよその位置を下図の赤マークで示します. http://goo.gl/VZ83z 位置はアドレスマッチングで自動判定したもので,正確ではありません.この場所で遭難したことを意味しません.点の情報になってしまいますが,あくまでも地名から判定したおおよその位置です.地名でいうと,十日町市(2名),小千谷市,三条市,田上町,只見町の各市町村に渡っています. 年齢は67,63,25,64,63
7月8日の時点で,東日本大震災の死者・行方不明者数が,明治三陸津波の犠牲者(21959人)を確実に下回りました.石巻市の行方不明者が1700名以上減ったことが主な原因です.河北新報→ http://t.co/EYNJacT 警察庁webを見ると,7/8現在の値として死者15539名,行方不明者5200名,計20739名と発表されました.約1ヶ月前の6/6は23670人でしたから,ここからみると約3千人減少です.死者数の増加より,行方不明者数の減少ペースが高く,死者・行方不明者数の合計値はまだ少しずつ減り続けています.少しでも多くの方の安否が早く判明することを祈ります. 無論,死者・行方不明者が2万人以上というのは現代日本の災害としてはとてつもない被害です.しかし,これだけの津波を受けて,明治三陸の犠牲者よりは少ないようだということに,東北沿岸部の長年の積み重ねの重さを感じます. なお,明治
今回の津波による犠牲者はあまりに膨大で,そのことに圧倒されてしまいますが,なにか今後につながる傾向が見いだせないかと考えています.市町村別犠牲者の傾向については先に, 岩手,宮城,福島の犠牲者について http://goo.gl/50GXB としてまとめましたが,もう少し細かい検討をしてみました. 警察庁から,身元が確認された犠牲者の住所が,おおむね大字くらいの単位で公表されています.5/6現在の警察庁資料「今回の災害でお亡くなりになり身元が確認された方々の一覧表」に示された住所をもとに,地区別の死者数を集計しました.ここで示されているのは犠牲者自身の住所であり,遭難場所とは限らない事に注意が必要です.また,行方不明者については同様な資料はありませんので,集計対象外です. 岩手県陸前高田市における集計結果を分布図として示します. http://twitpic.com/4w6t6a 本図に示
陸前高田市中心部付近の津波到達時刻の推定 http://goo.gl/HNVxu と同じ資料,手法で,岩手県陸前高田市の津波到達直前の防災無線の内容を文章化し,その放送時刻を推定しました. 陸前高田では,防潮堤に設けられた陸閘のところなどにカメラが設置されており,この映像を市役所等で遠隔で見ることができるようになっていたはずです(ただしこれを示す資料が手元に無い).したがって,防潮堤付近に津波が達していれば,現場からの報告や,目視をしていなくても津波到達を確認できていたと思われます.3/28読売新聞に,下記記事があります. --------------------------- 市消防署に駆けつけた市消防団長の佐藤勝さん(58)は、防潮堤を映す三つのモニター画面を祈るような思いで見つめていた。まもなく、防潮堤の鉄門がすべて閉められたのが確認できた。ところが、モニター画面は間もなく、津波が防
「津波の前必ず引き潮」 誤信が悲劇招く 岩手・大槌 (河北新報) http://bit.ly/lkPMAh この話,私は直接聞いていませんが,非常にまずい話だと思います.ただ,私の過去の調査では,津波の前に潮が引く現象が必ずあると考えている人は多数派とまでは言えません.聞き方によってだいぶ回答傾向が変わります.聞き方の難しい設問になります. 2003年5月26日「三陸南地震」時の住民と防災情報 PDF→ http://goo.gl/KYw6k の4ページ. 「大きな津波が来るときは必ず海の水位が下がる」が正しいと思う人は6~8割. 岩手県陸前高田市気仙町地区における防災意識に関する調査 PDF→ http://goo.gl/QQqEC 15ページ. 「海の水が引かなければ津波は来ない」が正しいと思う人は3割 2010年2月28日のチリ地震津波に関するアンケート 概要PDF→ http://
3/29-4/1の三陸現地踏査の写真を整理し始めました.すべて位置情報付き.右下に撮影位置図がついています.地図をクリックすると地図が拡大.一部地域では,被災前の写真が地図からリンクされています.まず,陸前高田市高田町付近 http://goo.gl/pASCF 今回,田老,山田,大槌,釜石,陸前高田を主に見ましたが,高田の状況がいろいろな意味で圧倒的です.他の地区は「がれき」があるのですが,高田の一部地区は,建物があったはずなのにがれきすらない.「砂漠」のようでした.陸前高田駅付近→ http://goo.gl/dorwi 宮古市田老地区.二重の防潮堤のうち一列目(海側)がほぼ全壊しています.二列目防潮堤の内側も大きな被害を受けていますが,外側はさらに激しい状況です. http://goo.gl/BH4e2 山田町中心部付近.個人的感情としては,陸中山田駅が正視できなかったです. htt
釜石市内で小中学生のほぼ全員が避難して無事だった事が早くから報道されていました. 釜石市内の小中学生の避難率100%近く ほぼ全員が無事 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110316-00000681-san-soci その後も,大船渡小学校や越喜来小学校での迅速な避難の話題など,岩手県内では児童・生徒が避難行動によって難を逃れた話がいくつか報じられています.一方,宮城県では石巻大川小学校での集団的な遭難が報じられるなど,「なにか」が違う感じがします. 少し前の数字ですが,3月27日付読売新聞によると,岩手県内の児童生徒の死者は37名,行方不明が68名,宮城県は同140名,832名とのことです.4月6日時点の警察庁資料によると,死者・行方不明者は岩手県8145名,宮城県13912名とのことですから,この数値を用いると,児童生徒の占める割合は岩手が1.
(2021年04月01日付静岡新聞への寄稿記事) 気象庁「防災気象情報の伝え方に関する検討会」で、「線状降水帯」に関する気象情報の新設が提案されている。同会資料によれば「顕著な大雨に関する気象情報」を新設し、「○○地方では、線状降水帯が発生した可能性があり」といった文言で伝えることが考えられている。 線状降水帯とは、気象庁の予報用語では「次々と発生する発達した雨雲が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる(一部略)強い降水をともなう雨域」とされている。近年では、2020年7月の熊本県南部、2018年7月の広島県などの豪雨災害時にみられている。 同会で気象庁が示したアンケート結果では、「線状降水帯を観測した場合に気象庁が情報提供することについてどう思いますか」の質問に対し、「情報を提供して欲しい」が92%だった。
ここ2週間ほど,東日本から北日本を中心に高温状態が続いていますが,本日8月16日は各地でかなり高い気温が記録されました.気象庁HPの「今日の全国観測値ランキング(8月16日) 15時30分現在」をみますと, 埼玉県 熊谷 40.9℃ 14:42 岐阜県 多治見 40.9℃ 14:20 という記録が見られます.この記録を元に,「国内最高気温が更新された」という報道が一斉に為されました. <国内最高気温>40.9度 岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市(毎日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000044-mai-soci 埼玉・熊谷も40・9度 日本最高に並ぶ(産経) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000925-san-soci 多治見と熊谷で40・9度…74年ぶり国内最高気温(読売
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