一読してなんだこれはと本をたたきつけたくなった。こんなものは『資本論』でも何でもない、ただのお話ではないか、と。 資本論 (まんがで読破) 作者:マルクス,バラエティ・アートワークス Teamバンミカス Amazon 『蟹工船』などで有名になったイースト・プレスの「まんがで読破」シリーズについに『資本論』が入ったと聞いて、発売されるやいなや買ってみたのだが、読むなり呆れたのである。 しかし。 しかし、もう一度冷静になって読み直してみると、どうもそうとだけはいえない、と思い直すようになった。現時点でのぼくのこの本への評価は、一言でいうなら「微妙」というものである。 まず、この本の積極的な価値から考えてみよう。 『資本論』のコミカライズとくれば、誰もが「学習漫画」形式の解説漫画を発想するところだ。ところがである。本書は全編これ物語なのだ。いわば「お話」によって『資本論』を理解させようという試み