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ブックレビュー
tsujimotter.hatenablog.com
先日、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」さん(以下、ヨビノリさん)のYouTubeチャンネルにて、ゲーム理論 に関する動画が公開されました。 www.youtube.com ゲーム理論に関する基本的な用語について、大変わかりやすく紹介されているのでぜひご覧になってください。ゲーム理論において、重要な「解」概念である「ナッシュ均衡点」や「パレート効率」といった概念も紹介されていました。 さて、今回私の記事で紹介したいテーマは 「ナッシュ均衡点の存在性」 についてです。(混合戦略を考えない)純粋戦略のゲームにおいては、ナッシュ均衡点の存在しないゲームが存在します。具体的には、動画にも紹介された「じゃんけんゲーム」などがそうですね。 A\Bグーチョキパー グー チョキ パー 一方で、(これもまた動画内で触れられていますが)混合戦略 という、各プレーヤーが戦略を確率的に選ぶような状況に ゲーム
前回の記事の続きです(前回の記事を読まなくても、今回の内容は読むことができます): tsujimotter.hatenablog.com 前回の内容を簡単に振り返ります。「空間内の与えられた2直線 に対して、その距離を求めることはできるか?」という問題について考えました。 からそれぞれ点 をとったとき、 の距離は2変数の2次関数関数 として求められます。 の最小値を求めれば、 の距離が求まるという話でした。 ここで「2変数の2次関数の最小値はあるのか?」という部分が一つの焦点だったわけですが、 が平行でない場合には最小値が極小値に一致する(最小値は存在する)という結論でした。 上の記事では、 を力技で平方完成して最小値を出していました。ところが、ブログ公開後にTwitter上で @Freufirst さんという方から「2次関数の平方完成は合同変換で出来るよ」という旨のアドバイスをいただきま
高校数学で習う「空間内の2直線間の距離」について考えてみたいと思います。 3次元空間内に2直線 があるとします。 が「ねじれの位置にある」とは、 が交点を持たず、かつ、平行でもないことを言います。このとき、2直線 の距離を考えてみたいと思います。 そもそも2直線の距離とは、というところから考えたいと思います。 の点 および の点 を任意にとったとき、距離 の最小値を2直線 の距離と定義します。 ここで疑問に思うのは、そもそもこの最小値は存在するのか?、という問題です。2直線の位置関係によっては、2直線のそれぞれの点の距離がいつまでも漸近的に小さくなり続けるなんてこともあるかもしれません。この場合、最小値は存在しないことになります。もちろん、直感的にはそんな状況はなさそうに思えますが、証明される必要があると思います。 最小値が存在しなければ、2直線の距離は定義できない場合が存在するということ
一年生の和(freshman sum) というものがあります。 分数の和の計算を計算するときに、通分して計算すべきところを、間違えて のように計算してしまうというアレです。 一般に分数の和の計算は難しいものですが、上の式が成り立てば分数の和の計算が楽になるのにな・・・と思うわけです。もちろん、こんな式は一般に成り立たないわけですが、もしかすると上の式が たまたま成り立ってしまうケース が存在するかもしれません。 そんなケースを探してみようというのが今回の記事です。果たして「正しい一年生の和」は存在するのでしょうか? きっかけ 今回の記事のきっかけは、ポテト一郎さんのこちらの呟きからでした。 togetter.com 面白いですね。上のツイートでは、同様の計算を3つの分数で実行していますが、2つの分数で実行した場合はどうなるかなと思って考えてみたというのが今回の記事になります。 ポテト一郎さ
最近、「リーマン面」の勉強が「微分形式」の章に差し掛かりました。接ベクトル空間という線形空間や、その双対空間が出てきてまさに線形代数になっています。そんなわけで線形代数の復習として、以下の事実を示したいと思います。 斎藤毅先生の「線形代数の世界」の命題2.13から。 命題2.13(斎藤「線形代数の世界」) を -線形空間とする。 を の基底とし、 とする。 このとき、線形写像 で、 を満たすものがただ一つ存在する。 まずは、主張の確認をしていこうと思います。 は線形空間なので、基底というベクトルの組 がとれます。これによって、任意のベクトル は () のように一意的に表せるわけですね。 さて、 から への線形写像というのは、任意の の元 に対してその値 が定められていて、かつ、線形性なる条件を満たしているものです。 線形性とは、任意の と に対して次が成り立つことを指します: というわけで
2021年 に入ってすぐに、とんでもないニュースが飛び込んできました。もちろん、数学のニュースです。 東北大学の研究チームによる論文のプレプリントがarXivで公開されました。タイトルは "Constellations in prime elements of number fields" で、こちらのリンクからアクセスできます: Constellations in prime elements of number fields Wataru Kai, Masato Mimura, Akihiro Munemasa, Shin-ichiro Seki, Kiyoto Yoshino https://arxiv.org/abs/2012.15669 Wataru Kai, Masato Mimura, Akihiro Munemasa, Shin-ichiro Seki, Kiyoto Yo
日曜数学Advent Calendar 2020最終日の記事です。投稿してくださったみなさま、ありがとうございます!!! adventar.org 目次: 1. 今日のテーマ 2. 気合いで全探索する方法(解法1) 3. 矛盾辺に着目した方法(解法2) 4. より洗練された証明(解法3)と17頂点への一般化 5. ラムゼーゲーム(tsujimotterからの出題) 6. まとめ 1. 今日のテーマ 最終日の今日は 「今年一番興奮した話」 を書いてみようと思います。いったいどんな数学に興奮したのか、その背景について説明させてください。 tsujimotterの日曜数学の楽しみ方は、数学の理論を本で勉強して楽しむことです。日曜数学を楽しむ方の中には問題やパズルを解いて楽しむ方もいると思うのですが、私はあまり好きではありませんでした。 好きではないというより、どちらかといえば得意ではないという感
日曜数学 Advent Calendar 2020 の1日目の記事です。 「類体論」という名前を聞いたことがあるでしょうか? 類体論は、高木貞治という日本の数学者が提唱した理論です。実は今年2020年は類体論が提唱されてからちょうど 100周年 だそうです。 『類体論における主要な定理の一つ「高木の存在定理」が発表されたのが1920年の国際数学者会議なのだそうです。 』 と書いていたのですが、同1920年には類体論に関してまとめた論文を、東京大学の理学部紀要にて発表しているそうです。(せきゅーんさんよりご指摘いただきました。) 後者の論文から100周年というのがより適切かもしれません。 整数論に興味がある方は、名前を聞いたことあるかもしれません。一方で、その主張について知っている人はあまり多くないのではと思います。かくいう私も、これまで類体論について勉強を続けてきましたが、いつまでたっても
今日は11/28で日付は 28。28は皆さんご存知の 完全数 ですね。 というわけで、今日は いい完全数の日 です! せっかくなので、完全数にまつわる面白い話をご紹介したいと思います! 未解決問題:奇数の完全数はあるか? 約数すべての和が自分自身の2倍に一致する自然数のことを完全数といいます。完全数としてよく知られているのは、 ですね。小さい方から数えて は2番目の完全数ですね。また、これらの完全数はすべて偶数となっています。 一般に、メルセンヌ素数を としたときに、 という数は完全数になることが比較的簡単な議論で示せます。このような完全数は、もちろん偶数になります。 逆に偶数の完全数が必ずこの形で表せることは、オイラーによって証明されています。たとえば、証明はこの動画でわかりやすく説明されています。 www.nicovideo.jp 実際、先ほどの4つの完全数は というように という形で
楕円曲線 には、有理点が の4点しか存在しないことが知られています。特に、無限位数の点は存在しません。 今日考えたいのは 「無限位数の点が存在しないことを本当に証明できるのか?」 という問題です。実際、それは可能であるというのが、今日伝えたいことです。 2-descent という方法を用いると、無限位数の有理点のランクを決定できます。ランクとは無限位数の点を生成する点(生成点)の個数であり、これが 0 であることが示せれば無限位数の点がないこと意味します。 記事の最後でも触れたいと思いますが、上記の楕円曲線のランクを決定することで、「 は合同数でないこと」や「 のフェルマーの最終定理」を証明することができてしまいます。こんな風に、応用の上でもとても楽しいトピックになっています。よろしければ最後までお付き合いください。 目次: 今日の参考文献 2-descentとは (1):モーデルの定理
今日考えたいのは、 や というタイプの積分です。 いわゆる無理関数の積分と呼ばれるもので、大学受験でも難関大学の問題として登場するみたいですね。 今回の記事のきっかけとなったのは、清さんによる以下のツイートです: 【清史弘からの提案 7 】 教育系YouTuber の人に向けて、このような動画はどうですか? という内容です。もちろん、YouTuber でない方もご参加ください。 私の考え方は24時間以内にあげようと思っています。 これは、唯一の正解というよりは、いろいろとあってよいと思います。#清史弘からの提案 pic.twitter.com/UokREtslQt— 清 史弘 (@f_sei) 2020年9月13日 上のツイートによると、今回の積分は という変数変換がキーになるようですが、いったいどこからこの式が現れたのか説明せよ、というのが問題です。 清さんのツイートの引用リツイートに、
ミレニアム問題 という言葉を聞いたことがあるでしょうか? アメリカのクレイ研究所という数学の研究所によって2000年に発表された、数学における7つの未解決問題のことです。21世紀に解かれるべき重要な問題がリストアップされており、それぞれに 100万ドルの懸賞金 が掛けられたことで知られています。 有名なものだと リーマン予想 や ポアンカレ予想 があります。ポアンカレ予想だけは2003年に解決されていて、解決の際に大変話題になったのを覚えている人も多いかと思います。 ミレニアム問題の一覧をリストアップしてみましょう: ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題 リーマン予想 P≠NP予想 ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ- ホッジ予想 ポアンカレ予想 バーチ-スウィンナートン・ダイアー予想 今回紹介したいのは、リストの最後に挙げた バーチ-スウィンナートン・ダイアー予想 です。 バー
Twitterって本当に面白いなと思うのですが、人々のいろんな発見が流れてくるのです。 私が最近面白いと思ったのは次のツイートです。 「2、5を除く全ての素数は11、111、1111、…の素因数として“周期的に”現れる」ってことに気が付いて、証明できた気がするんだけど、これって素数の研究に役立ったりしないかな。おれが気付ける程度のことだから既に知られているとは思うけど。— Yukinari (@yukinarioshiro) 2020年8月27日 レピュニットについてはこれまでも何度か記事にまとめてきましたが、このツイートに書かれているような事実は知りませんでした。とても面白いと思いましたので、ぜひ紹介させてください。 レピュニット関連の記事はこちらから: tsujimotter.hatenablog.com 今回の話はレピュニットだけでなく、「循環小数」や「ダイヤル数」という面白いテーマ
今日のテーマは 「リーマンの再配列定理」 です。「条件収束する実数列の級数は、再配列によって任意の実数に収束させることができる」という主張です。何を言っているかわからないという方にも、これから詳しくは説明していきますのでご安心ください。 無限級数 が絶対収束するとは、各数列に絶対値をつけた が収束するということです。名前の通りですね。 対する条件収束とは、無限級数が絶対収束はしないが収束はすることを言います。 たとえば、平方数の逆数の和 は絶対収束しますが、自然数の逆数を足し引きする級数(交代級数) は条件収束します。後者が条件収束であることは、たとえばこちらの記事の最後に紹介されています: mathtrain.jp 「なぜ絶対収束か条件収束を気にするのか」と疑問に思った方もいるかもしれませんが、それにはワケがあります。 絶対収束する級数は、足し合わせる順番に関わらず同じ値に収束します。つ
Twitterで数学に関するこんな話が話題になっていました。 √-2×√-8計算する時に√16にしたらいけんのなんで?— 愛華 (@sakubunkake) 2020年7月9日 もう少しツイートの内容を補足してみましょう。 というのは、虚数単位 を用いて として定義されます。よって を用いて が成り立ちます。 一方、 には積に関して なる法則が成り立つはずです。 ところが、この法則を適用すると となってしまいます。 すなわち、計算方法によって結果が になったり になったり、異なってしまっています。これは何かがおかしい。一体、どこがおかしいのだ? というのが、上のツイートが問題にしている点です。 私はこのツイートを見て、これは モノドロミー の問題だ! と直感しました。これは面白そうだと。 そこで、以前書いたこの記事 tsujimotter.hatenablog.com を思い出しながら、自
こんにちは! 日曜数学者のtsujimotterです! 今日は 分数の足し算 について考えたいと思います。 きっかけは学生のプログラミング課題でした。 tsujimotterは大学でPythonとC言語を教えているのですが、ある日の課題で「分数の足し算を計算する関数を作れ」というものがありました。時間差はありましたが、PythonとC言語の両方で似たような課題が出たのです。 実際、分数の足し算を一般に計算してみると なので、あとは結果として得られた分数を約分してあげればよいわけです。 無事、関数を作ることはできたのですが、問題なのはその関数のテストです。関数がうまく動作することをテストするためには、分数の結果が約分されるような例を作らなければなりません。 ところがです。適当なテストケースを考えたのですが、どのケースもなぜか約分されない。。。tsujimotterはこの手の計算が大の苦手で、
望月新一先生の「宇宙際タイヒミュラー理論」に関する論文が、論文誌に採録されることが決まったというニュースが飛び込んできました。 mainichi.jp 論文の原稿は8年も前から発表されており、その内容の壮大さから、数学好きの間で度々話題になっていました。特に、この理論の系として「ABC予想」と呼ばれる未解決問題が導かれるということが、数学好きとは限らない数多くの人の興味を引きました。 論文の主張が正しいかどうかは、結果的には論文を読んで自分で確かめる他ありません。 (論文誌に掲載されたということは、関連分野の専門家に査読されたということを意味しますが、これは主張の正しさが証明されたことを意味しないからです。) しかしながら、一数学ファンとしては、論文誌に掲載されるというニュースを聞いて、純粋に嬉しい気持ちになりました。 一つの節目として、せっかくなので、自分の中の理解の確認のためにも、AB
一昨日にこんなツイートをしてみたら、思った以上に多くの方に面白がってもらえました。せっかくなので、この記事を通して「種明かし(?)」をしたいと思います。 √pの作り方 pic.twitter.com/qy2gzay6EW— tsujimotter (@tsujimotter) 2020年3月31日 今回は3日連続で投稿する「ガウス和シリーズ」の第1回の記事となっています。よかったら続きもぜひご覧になってください: tsujimotter.hatenablog.com 平方剰余/平方非剰余 今回の記事全体を通して、 を奇数の素数とします。 で割り切れない整数 に対して、次のような合同式を考えます: 解 が整数の範囲に存在するとき、 は の平方剰余といいます。逆に、そうでないとき は の平方非剰余といいます。 このことを記号であらわすために、 は の平方剰余のとき は の平方非剰余のとき と表
今日は 3/14 、すなわち 「円周率の日」 ということで、円周率の一風変わった近似式を紹介したいと思います。 今回紹介したい式はこちらです: ここで、 は自然対数です。 「なんじゃこりゃ」というような式ですが、実際に計算してみるとその精度の高さに驚きます。 Google電卓を使うと、簡単に計算できるのでやってみましょう。Googleの検索窓に数式を入れると、電卓としてその計算を実行してくれます。 以下の式を検索窓に打ち込んでみてください。 ln(640320^3+744)/sqrt(163)この "ln" というのは自然対数を表す記号で、"sqrt" はルートの記号ですね。 それでは実行してみましょう。 計算結果は 3.14159265359です!! なんと、小数点以下10桁 まで一致しています。10桁というのはGoogle電卓の限界によるもので、実際はもっと先の桁まで一致します。 すご
今日は数論の話をしましょう。 今回の主役は フェルマー数 です。フェルマー数とは、0以上の整数 に対して の形をした数のことです。 が自然に現れる問題としては 正多角形の作図 がよく知られています。 を素数として、正 角形が作図可能である必要十分条件が知られています。その条件は「素数 がフェルマー数であること」です。フェルマー数の形をした素数をフェルマー素数といいます。 宣伝です!! フェルマー素数と作図の関係についての解説は、tsujimotterのノートブックの過去の記事でも紹介しています: tsujimotter.hatenablog.com また、私の執筆した数理科学の記事(2017年12月号)でも、丁寧に紹介しています。よろしければご覧ください。 数理科学 2017年 12 月号 [雑誌] 発売日: 2017/11/20メディア: 雑誌 最初の5つのフェルマー数 を観察すると、こ
ゼータ Advent Calendar 2019 の5日目の記事です。 世の中には、色々なゼータ関数があります。 ・リーマンゼータ関数 ・ディリクレゼータ関数 ・ハッセ・ヴェイユゼータ関数 ・アルティンゼータ関数 ・合同ゼータ関数 ・セルバーグゼータ関数 tsujimotterのノートブックでもこれまでいくつかのゼータ関数を取り扱ってきました。その中の多くは、実は「ガロア表現」と呼ばれるものから作ることができます。そういうお話をしたいと思います。今日の記事では、上のリストのうち、上から4つが登場します。 今回の記事は以前から温めていた内容なのですが、マスパーティというイベントの「ロマンティック数学ナイトプライム@ゼータ」という企画で、ゼータ熱が再燃しました。その後、ゼータアドベントカレンダーが企画されたことで「このタイミングで公開しないでいつ公開するんだ」と思い公開に至ったという経緯です。
みなさん、 がどんな値になるか考えたことはありますか? 「複素数のべき乗ってなんだよ」と思う方もいるかもしれません。素朴に「 を 回かける」なんて考えたら、意味がわからないですよね。 この問題について一度考えたことがある方の中には「 だよ」と答える方もいるかもしれません。たしかに、 としては を取ることもあります。しかしながら、本当に だと言い切ってしまってよいでしょうか? 一般に、一つの に対して が複数の値をとるような関数のことを 多価関数 といいます。 複素数を変数に持つような関数を考えるにあたっては、このような性質を慎重に検討する必要があります。実際、 を議論する際は、こうした多価関数の値として考える必要があり、単純に だとは言い切れなくなってしまうのです。 最近tsujimotterは、こうした多価関数の基本的な性質について勉強していまして、そのノートを以下に公開していました。本
こんにちは。本日、東京にて 日曜数学会 というイベントが開催されますね。 日曜数学会は毎年1月・6月・10月の3回開催されていますから、実に5ヶ月ぶりとなります。 5ヶ月も経つと「発表したいネタ」が溜まるようで、毎年この時期は発表者がたくさん集まります。私も今回の開催に合わせて、とっておきのネタを準備していました。 それが 「1729とK3曲面」 のお話です。 "The 1729 K3 Surface" というタイトルの論文が、2015年にエモリー大学のKen OnoとSarah Trebat-Lederによって発表されています(以下、Onoの論文)。今回はその論文の内容を中心に紹介する予定です。Onoの論文は、arXivに上がっていて、誰でも閲覧することができます。 [1510.00735] The 1729 K3 Surface タイトルからして心惹かれる論文ですね。 この論文を読んで
2019年10月1日に消費税が8%から 10% に引き上げとなりました。正確にいうと、軽減税率というシステムが導入されるようなので、8%と10%が混在することになるみたいです。 本記事のタイトルは「増税問題」です。ここでは、消費税増税について一言申し上げたい・・・というわけではなく、増税に伴って生じる 数学の問題 について考えたいと思います。 平成25年から商品価格には総額表示が義務付けられ、街中で見かける価格は基本的に消費税込みの金額になりました。 数が大好きなtsujimotterの興味としては、消費税10%のときには、総額表示の金額としてどんな数が現れるのか、ということが気になります。 ここで考えなければならないのが、端数の処理についてです。国税庁によると、四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法でもよいとのことです。 なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の
今日の話題は、数学のお兄さんこと横山明日希さんによるこちらのツイートから。 3辺の長さが整数723、724、725で構成される正三角形に近い三角形の面積は、なんと整数226974になる pic.twitter.com/tOy63OJZ6h— 横山 明日希 (@asunokibou) 2019年8月22日 辺の長さが整数723、724、725で構成される正三角形に近い三角形の面積は、なんと整数226974になる 三角形の3辺 723, 724, 725はすべて整数で、かつ、面積も整数です。 「こんな三角形どうやって見つけるの?」 というのが今日のテーマです。 実は、連分数 を使うと見つけることができます。これが今日一番の面白ポイントです。 tsujimotterはちょうど最近、連分数にはまっていまして、その意味でもグッドなタイミングでこのお話を知ることができました。 よろしければお付き合いく
最近、スキームの話をきっかけに、tsujimotterのノートブックにも「層」という概念が登場するようになりました。 ところが、これまでのブログ記事では、層の定義は頑なに避けられてきました。その理由は、私自身が理解できていなかったからです。 今回は、いよいよ層の定義をしてみたいと思います。今日のポイントは、具体例の計算です。具体例を通して、層の理解を目指しましょう。 目次: 前層(復習) 前層の例 層の定義(2つの公理) 例1:共通部分を持たない開被覆 公理1:既約性条件 公理2:閉条件 例1のまとめ 例2:共通部分を持つ開被覆 公理1:既約性条件 公理2:閉条件 例2 まとめ 完全列を用いた層の定義の言い換え まとめ 補足1:U = ∅ の場合 補足2:解析接続と閉条件 参考文献 前層(復習) 層は、後で述べる「ある特別な性質」を持った前層です。まずは前層の定義を丁寧に復習しましょう。
今回のテーマは 33 という整数についてです。今朝、アフィンスキームについての重い記事を投稿したばかりですが、この記事では軽い感じでいきましょう。 を固定した自然数として、 なる方程式の整数解を考えたいと思います。 今回の内容を紹介する動画ができました! よろしければこちらもご覧になってください! www.youtube.com たとえば、 の場合は という自明な解があります。ほかにも という解もあります。これはまさにラマヌジャンの見つけたタクシー数 のケースですね。 の場合は となります。整数解なので、マイナスでもいいわけですね。 のときは と表せます。 このように、さまざまな が3つの三乗数の和や差によって表せます。 上記のケースでは解が比較的簡単に求まりましたが、 がもっと大きな値になることもあります。 の組み合わせが見つかっていないような も存在します。 今回の主題は、 のケース、
数論の勉強をしていく中で、スキーム理論の言葉で書かれた文章をたびたび見かけるようになり、スキームの基礎的な事項について理解したいと思うようになりました。 代数幾何学の標準的な(?)教科書であるハーツホーン [文献1] などの本を読んで、基本的な部分についてはある程度理解してきた気がしているのですが、やはり自分の文章でまとめてみないとわかった気がしません。そこで、今まで理解した部分をブログでまとめてみようと思いました。 そこで今日は、スキーム理論の基本である「アフィンスキーム」について、解説を試みたいと思います。私の理解向上のためというのが目的なので、あくまで自分のために文章化し、それを人にも見てもらえるような場所に置いておくという程度のスタンスで書いています。「みんなにスキームについてわかりやすく教えてやるぜ」というつもりはまったくありません。勘違いしている記述もあると思っています。おかし
今日は が主役です。 は定義から ですが、ここから を除いた を考えてみましょう。 のように置き換えると とできて、これは そのものです。したがって、表題の が成り立ちます。 これだけでも十分面白いのですが、実は という関係式には、こんな面白い特徴があるというのです。 This is the only known solution to n! = a!b! apart from the general pattern, (n!)! = n!(n! - 1)! pic.twitter.com/SPenjs4kQU— Fermat's Library (@fermatslibrary) 2019年4月20日 上記のツイートは、@apu_yokai さんという方の以下のツイートによって知りました。 n! = a!b! と表すことができる組み合わせのうち、自明な組み合わせ (n!)! = n!(n
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