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円安とは
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要旨 オルタナティブデータを用いて、足元の都道府県別募集賃金の上昇率を確認したところ、九州地方・東北地方の伸びが目立っている。外資の進出や半導体投資の活況が地方の賃金上昇を促しているようだ。一方で、円安や半導体ブームに一服感が生じれば国内賃金にも影響する可能性が高い。2024年度の春闘賃上げ率は歴史的な高さとなりそうだが、そのすべてを中長期のトレンドと見做すのは時期尚早と考える。 目次 賃金は「どこで」上がっているのか? 外資進出・半導体投資の活況が地方の賃金上昇を支えている模様 賃金は「どこで」上がっているのか? 来年度の更なる賃金上昇に向けた期待が高まっている。2023年度の春闘から、国内の賃金上昇率のトレンドには明確に変化がみられるようになってきている一方で、地域別の賃金状況の分析は多くはない。この背景の一つはデータの制約にあると考えられる。政府の賃金統計である厚生労働省公表の毎月勤
要旨 日独GDPの逆転が確定した。これは大幅な円安進行とドイツの高インフレによるもので、実質成長率に大きな違いはない。非価格競争力の高さ、中小企業の国際展開、産官学連携など、日本がドイツから学ぶべき点はあるが、単一通貨圏の恩恵や地理的優位性は真似できない。日本としては、変化の胎動もみられるデフレからの脱却を確実なものにすることが望まれる。 日本の2023年の名目国内総生産(GDP)は591.5兆円となり、ドルベースに換算するとドイツに抜かれ、世界第四位に転落した(図表1・2)。2023年の日本の名目GDP成長率は物価上昇の影響もあり、前年の+1.3%→+5.7%に上昇率が加速(実質でも+0.9%→+1.9%に加速)、ドル建てGDPの落ち込み(▲15.0%→▲1.6%)は大幅な円安進行に伴うものだ(図表3)。ドイツは逆にユーロ高がドル建てGDPを押し上げた(図表4)。2020年以降の3年間の
要旨 海外において経済政策の新た理論として台頭しているのが「財政赤字の適温理論」であり、財政には政府債務と財政赤字の望ましい組み合わせを示す「適温領域」が存在することを示す。 2019年時点の日本は、財政赤字を減らすとむしろ債務が増加する状況にあり、財政赤字を増やすことで政府債務が減少する状況が、財政赤字/GDPが3%弱に達するまで続く。その後は反転して財政赤字拡大とともに政府債務も増加するようになり、政府債務残高/GDPが223%になる時点で財政赤字/GDPは3.5%で最大域に達し、その点よりも債務を増やすと持続可能な財政赤字は減少し、最終的に財政赤字をゼロにしなければならない金利>名目成長率の状況に到達する政府債務残高/GDPは446%になる。 国債は日本国内に居住する民間部門の資産になるため、納税者が償還財源を負担すべき債務として国債が将来世代に引き継がれるということは、民間が保有す
目次 1.人助けに関する調査で日本はまたもや最下位に 2.本当は席を譲ってほしいし荷物を持ってほしい 3.必要な手助けはおこなわれているのか 4.最下位を脱出し「おもてなし」あふれる国へ 1.人助けに関する調査で日本はまたもや最下位に 過去1か月間に「助けを必要としている見知らぬ人を助けた」かどうかに関する調査が、イギリスの団体によって世界各国で毎年実施されている。この調査については以前にも取り上げ、日本は2009~2018年の平均でも、2020年単年でも、全世界の中で最下位だったという結果を紹介した(注1)。その後の2021年の調査でも、日本は最下位から2番目にとどまっている(図表1)。 先ごろ公表された最新版の調査報告(2022年に調査、2023年に公表)によると、日本は142か国の中でまたもや最下位(21%)であり、全世界の平均(60%)を大幅に下回っている。日本は見知らぬ人を助ける
要旨 岸田首相は、所得税などを定額で4万円減税し、非課税世帯には7万円程度を給付することで、総額5兆円規模の還元案などを検討しているとしている。 背景には、特に世界経済が40年ぶりのインフレに直面する中で、政府が税収を民間部門から徴収しすぎているという見方がある。政府部門は、コストプッシュとはいえ物価が上がっていることを背景に消費税収や所得税収が増えやすくなっており、結果として国民経済が苦しい割には税収が増えやすくなっている。円安が進展することで、短期的に家計の負担感が強まる一方で、グローバル企業の法人税収増加や物価上昇に伴う消費・所得税収の増加を通じて税収の過剰徴収につながりやすいこともある。 一般的に給付金や所得減税分の一部は貯蓄に回ることから、我が国では所得減税よりも消費減税の乗数の方が高い。事実、内閣府の短期日本経済マクロ計量モデル(2022年版)の乗数をもとに、所得減税と消費減税
要旨 IMF(国際通貨基金)の2023年10月の予測データでは、日本が経済規模を縮小させている。主因は円安傾向が続くことだ。2019~2023年の期間では、米国、EU、インド、中国などが軒並み経済規模を膨らませ、日本だけが極端に規模を縮小させている。日本と海外の成長格差がこれだけ大きいと、日本企業の投資資金は日本から海外へと逃げていく。 目次 追い付かれ、追い抜かれ 対米規模の格差 中国、EUにも離される 外に逃げていく企業の投資資金 追い付かれ、追い抜かれ 日本の経済規模は、ドル表示で計算すると驚くほどに下がっている。昨今、日本ではインバウンドが都市に溢れ、彼らは活発に買い物している。その旺盛な購買力をみるにつけ、強烈な内外格差が生じていることを感じる。ドルで円建ての商品・サービスを購入すると、物価が極端に下がっているということだろう。 この構図を1国全体でみるとどうなるだろうか。日本全
要旨 10月6日に発表された8月の毎月勤労統計は、現金給与総額が前年比1.1%と鈍かった。ほとんど報道では、名目賃金のプラスよりも実質賃金のマイナスが強調される。政府や日銀は、どうしていずれ実質賃金のマイナスがプラスに転化していくものだと説明しないのか。その辺りの真意を考えてみた。 目次 いつも酷評される実質賃金 いずれ実質賃金はプラスになる 実質賃金が伸び悩む理由 日銀の要因 やはり2%目標は高すぎる いつも酷評される実質賃金 筆者の好きな本に「残念な生き物」の図鑑がある。生き物の中には、とても好ましい特徴があるのに、それが上手に役立てられていない者がいる。それが「残念だ」と言われる。同様に、経済統計の中にも、とても「残念な統計」がある。厚生労働省「毎月勤労統計」である。 2023年8月の現金給与総額は前年比1.1%とプラスの伸びであった。時系列の推移は、2%台から1%台へと鈍化してきて
要旨 長期的な為替レートの水準として参照される「購買力平価(PPP)」と比べると、足下の市場実勢レートは3割強円安方向で推移している。 新興国通貨の市場実勢レートはPPP対比で割安な水準にあり、日本円が先進国通貨としての位置づけを保てない場合、足下のドル円水準が中長期的にも維持されるリスクがある。 一方、主要先進国通貨における市場実勢レートとPPPの大幅な乖離は2~3年しか持続しない傾向にある。先進国通貨としての日本円のポジションが不変である場合、ドル円レートは2024~2025年にかけて120円近辺まで円高が進行する可能性が示唆される。 為替レートは金利差、貿易・経常収支、潜在的な経済力などの多様な要因によって変動するが、長期的な為替レートの水準を考える際には「購買力平価(PPP: Purchasing Power Parity)」を参照することが一般的だ。PPPとは「為替レートは異なる
要旨 内閣府が公表するGDPギャップがプラスに転じたとしても、真の意味での需要不足は解消されたとはいえない。実際に2007年度や2017年度にGDPギャップが+2%近くまで到達したが、当時に供給力の天井を上回るほど経済が過熱していたとは考えにくい。 内閣府もGDPギャップの推計に当たっては、潜在GDPを「経済の過去のトレンドからみて平均的な水準で生産要素を投入した時に実現可能なGDP」と定義しており、供給力の天井からの乖離を示したものではない。 日本のインフレ率とGDPギャップの関係を見ると、GDPギャップに2四半期遅れてインフレ率が連動する。そして、日本のコアCPIインフレ率とGDPギャップの関係をより詳細に見ると、CPIコアインフレ率+2%に対応する内閣府GDPギャップは+4%程度になる。 すでに足元のコアインフレ率は+3%前後の水準にある。しかし、そのうち+2%ポイント程度は国内需給
要旨 円安がじわじわと進んでいく。いずれ1ドル150円のラインに達するだろう。目先の為替介入の警戒感があるが、米長期金利が上昇している。そのため、今回は投機的円安とみなして断固たる措置は実行しにくい。また、介入でも円安の歯止めは一時的という可能性もある。そのときは、「次は日銀」という議論になるだろう。 目次 再びの円安 驚きの米長期金利上昇 日銀も頭痛の種 再びの円安 ドル円レートは、1ドル150円にじわじわと接近しつつある(図表1)。2022年10月21日には1ドル151.94円の円安水準を付けた。日本政府は、そうした中、どこかで為替介入を強く示唆して、実際に動いてくる可能性もある。すると、円安ペースは一時足止めを食らうだろう。 岸田政権は、まずは9月中旬に内閣改造を実施して、その後で「秋」のうちに衆議院の解散という見方もある。ならば、これ以上の物価高騰で、国民の不満を助長する訳にはいか
要旨 英国ではサッチャー時代に民営化された大手水道会社が経営難に陥っている。巨額の投資負担や利払い負担の増加に苦しんでおり、既存株主に追加増資を求めたが、資金調達が難航している。事業再建を進めてきた最高経営責任者の突然の辞任と、政府と監督機関が国有化の可能性を検討していることが明るみに出て、関連資産の売りが加速した。再国有化の阻止を目指す既存株主が追加支援の方針を発表、追加の財政支援に否定的な政府も税金投入による水道会社の救済には慎重とならざるを得ない。来年の総選挙で政権奪取が確実視される労働党は、前回の総選挙で前党首が掲げた鉄道や公益企業の国有化の公約を撤回したが、今回の問題発覚を受けて何らかの公的関与の強化を検討する公算が大きい。サッチャー時代以来の英国の民営化モデルが軌道修正される可能性がある。 「小さな政府」による英国経済の活性化を目指したサッチャー元首相は、1970~80年代にか
要旨 5月15日の経済財政諮問会議では、清滝信宏プリンストン教授が、岸田首相や植田総裁が出席する中で、金融政策に対して非常に示唆的な発言をしていた。清滝教授は、まだ日本人が誰も受賞したことがないノーベル経済学賞で、存命中の学者の中で最も近いところに居る候補者とされる。世界レベルの知性としても知られるだけに、筆者はその人物が公式の場で何を語ったかに注目している。 目次 刺激的な発言 清滝教授の発言内容 経済成長についての苦言 (※)本稿は、ロイター通信に寄稿したものを、加筆・修正した内容である。 刺激的な発言 5月15日の経済財政諮問会議では、清滝教授が、「インフレ率が1~2%程度に定着すれば、量的・質的緩和は解除するのが望ましい」と語った。この発言は、同席している植田総裁に向けられたものである。日銀は安定的に2%と宣言しており、実質的には2%を割り込まないインフレ率を目指しているから、清滝
目次 1.ビジネスに活用されるマインドマップ 2.マインドマップAIの実態 3.マインドマップAIのメリットとデメリット 4.マインドマップAI,の可能性と展望 1.ビジネスに活用されるマインドマップ マインドマップは、情報を視覚化し自分の思考を整理するための手法で、1つのアイデアや概念から多くの異なるアイデアや概念へと思考を広げていくという「放射思考」につながるものである。これにより、テーマに関する情報を放射線状に分類し、項目やジャンルごとに思考を進めていくことができる。その用途はアイデアの生成、問題解決、戦略策定、事業企画など多岐にわたり、ビジネスにおける重要なツールの1つとなっている。 マインドマップの視覚的な形式は、脳の自然な思考プロセスに適合しており、脳内のイメージを直接的に図化することで、より効果的な情報の理解、組織化、記憶を可能にする。それらによって自身の思考を整理することが
要旨 国の一般会計税収が大幅に増加している。足元の月次税収の趨勢を踏まえ、2022年度は72兆円程度への着地を予想。22年度税収は当初予算時点で65.2兆円のところ、昨年11月の補正予算時点で68.4兆円と上方修正がなされたが、ここから更なる上振れ着地が予想される。 背景にはインフレ・円安、賃金・雇用の回復などがある。足元で特徴的なのが景気の振幅に影響されにくい消費税が大きく伸びている点。およそ40年ぶりの物価急上昇は、税収にもこれまでにない変化をもたらしている。 22年度税収は大幅増加へ 税収の増加が続いている。財務省が3日に公表した「租税及び印紙収入、収入額調」によれば、2022年度分の一般会計税収額の累計値(2023年2月まで)は51.2兆円と、過去最高税収となった21年度(同時期の累計値:46.8兆円)を大きく上回っている。税収は2021年度に20年度から+6.2兆円の大幅な増加を
目次 1.表計算ソフトのスキル習得のわずらわしさ 2.表計算AIとは 3.表計算AIがもたらす生産性革命 1.表計算ソフトのスキル習得のわずらわしさ ビジネスにおいては、さまざまな局面でエクセルなどの表計算ソフトを活用しデータを加工する機会があるだろう。表計算の関数やプログラミングなどのスキルが必要なこともあるため、多くの人は参考図書を購読したり、講座を受講しながら1歩1歩それらのスキルを習得している。中には途中であきらめて、必要以上に時間をかけて作業したり、データ加工が得意な同僚や部下にデータ加工を頼んでしまっている人もいるのではないだろうか。 そのような中、近年のAIの急激な進化に伴い、表計算ソフトの関数やプログラミングを学ぶことなく、データ加工を行える技術が登場している。最近注目を集めているChatGPTは、チャットボットや検索エンジン、翻訳システムなどに利用されるAIだが、表計算A
要旨 都道府県、政令指定都市のデータを使って、独自に少子化指標をつくると、地域間で2倍近い大きな格差が確認された。東京都区部や政令指定都市は、少子化が進んでいる。九州は少子化が相対的に進んでいない。親元を離れた地域に住んでいる若い夫婦は、潜在的な子育てコストが高くなるようだ。 目次 大きい地域格差 子供が多い九州 北海道の謎 大都市の少子化 少子化対策を考え直す 大きい地域格差 いよいよ政府が少子化問題に本腰を入れていきそうだ。もはや旧聞に属するが、「異次元の少子化対策」と呼んでいる「異次元」の部分には、岸田首相の意気込みを感じる。名前負けしないくらいに良いアイデアを出して欲しいものだ。 本稿では、少子化問題を考えるときに、地域間格差という視点でみてみたい。厚生労働省「人口動態統計」の2022年速報では、都道府県別の出生数と婚姻数が発表されている。少子化の代理指標として、独自の尺度「出生数
要旨 ドル建ての経済規模は、IMF予測でドイツの名目GDPが2022年に日本に迫っている。あと1.067倍以上に増えれば、日本を抜く。コロナ禍の3年間ではその差が急速に縮まった。インフレと円安の要因が大きかった。日本が抜かれないためには、もっと1人当たり生産性を高める努力が必要だ。危機感をバネにして、政策的に生産性上昇のための課題に取り組むのだ。 目次 まさかの急接近 コロナ禍で起きた変化 日本はドイツと似ている? 生産性こそが重要だ まさかの急接近 2023年のびっくり予想である。ドイツの経済規模が、世界3位の日本を抜く可能性がある。日本は、世界4位に転落する。1968年に日本は、当時の西ドイツを抜いて世界2位に躍り出た。それが2010年に中国に抜かれて、世界3位になる。これは、人口の多い中国が高成長するのだから仕方がないと、諦められる。しかし、ドイツは日本よりも人口が少ない。G7の中で
要旨 12月の政策決定会合では、長期金利の変動幅の上限を0.50%にする決定を行った。サプライズである。市場機能の低下を是正すると、日銀は説明するが、次期総裁に交代するに当たっての地均しの意味もあると考えられる。これまでの黒田総裁の説明とは食い違いがあるが、その柔軟性は歓迎できる。 目次 突然の修正 為替相場への影響 指値オペの弊害 今後の物価動向 突然の修正 12月19・20日の政策決定会合を踏まえて、長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%から0.50%へと引き上げた。これはあまりに突然の変更であった。最近の債券市場では、長期金利のレートが取引不成立によって値が付かない日が多くみられていた。日本相互証券株式会社の発表する日次の国債利回りのデータでは、このところ取引不成立で空白になっている営業日が目立っている。 それに対して日銀は、今回の発表文で「市場機能が低下している」と指摘し、「
要旨 「防衛費・GDP比2%」の「2%」は言うまでもなく、100分の2、つまりGDPに対する「比率」、別の言葉でいえばGDPに掛ける「係数」である。 「GDP比2%」の意味は「即応性のための軍備の増強」とともに、より直接的には国内外に「政治的意思」を示すことにある。 NATOでは経済力に対する応分の貢献、「GDP比2%」をガイドラインとしている。特に米国一強の下で安定した国際秩序を享受していた2000年代と異なり、中国の台頭によるパワー・バランスの変化、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、米国以外のNATO加盟各国、あるいは日米同盟に関わる日本において、国内外から応分の貢献を求める圧力が高まっているのが現状と言えよう。 中国と日本における防衛費の「比率」と「実額」の推移を比較すると、両国の防衛費の差に関し、経済成長の差が決定的に重要な役割を果たしている。仮に「2%」について国民の理解ととも
要旨 先月、英国ではトラス新政権誕生に伴い、大規模な財政出動方針が打ち出されたことをきっかけに、金利上昇(国債価格下落)、通貨安、株安のトリプル安が同時に進行するいわゆる英国売りにより金融市場が混乱した。これによって、日本も大規模な財政出動を打ち出せば、トリプル安を招く懸念があると一部の識者の間で指摘されている。 欧米ではインフレ率が既に+8~+10%台に到達しているため、現在の欧米のように、需給ひっ迫によりインフレ率が目標の+2%を大きく超えてしまっている国は、財政出動が限界にきている。しかし、日本の場合はコストプッシュ型のインフレであるため持続性は低い。 IMFのGDPギャップで比較すると、米国では2021年時点、英国でも2022年時点で需要超過になっており、需要超過によりインフレ率が加速している一方、日本では2022年時点でも大幅な需要不足が続いている。特に日本の場合、90年代後半以
要旨 日本経済はアベノミクス始動以降、景気が好転したといわれている。しかし、その間の実質賃金は大きく低下している。アベノミクス時の回復局面では、過去2回と比べて常用雇用者数と名目賃金の増加が著しい一方で、消費者物価の上昇により実質賃金の改善が弱い。 実質賃金は従業員の景気実感を判断する指標とする向きもある。しかし、この統計の元になる名目賃金は労働時間が短く平均賃金より低い雇用者数が増加すると、既に働いている人の賃金が下がらなくても低下してしまう。このため、最低賃金や米国の単位当たり賃金データは時間当たり賃金で測られるのが一般的。 従来の一人当たり実質賃金指数では、2012年度から2021年度にかけて▲4.9%下がっている。しかし、一人当たり実質賃金指数を一人当たり平均総労働時間指数で割った時間当たり実質賃金指数を試算すると、2012年度から2021年度にかけて+2.0%も上昇している。背景
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