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アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、最近行われたと想定されている財務省・日銀のドル円為替介入にコメントしている。 ドル円の為替介入 ドル円相場は160円に到達した後、4月29日と5月2日に日銀の為替介入によって下落したと考えられている。 ドル円の15分足チャートは次のようになっている。 2回の為替介入で160円から153円まで7円分下落したことが分かる。ちなみに最後の小さい下落は雇用統計によるものである。 米国経済は景気後退に近づいた、4月雇用統計解説 為替介入は効果があるのか? 介入は短期的に見れば効いたように見える。ドル円が7円下落したのだから明らかである。 だが長期的な意味という点ではサマーズ氏は懐疑的だ。彼は次のように述べている。 資本市場の巨大さを考えれば、日本がやったような規模であっても為替介入は効かないと考える根拠は明らかだ
アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は米国時間5月1日に金融政策決定会合であるFOMC会合を開き、政策金利を5.25%に維持することを決定した。 インフレと金融政策 アメリカの金融政策は難しい局面に来ている。インフレ率には明らかに減速の兆候がなく、少なくとも今年中に2%に落ち着くということはありそうにない。 3月の米国CPIでインフレ再加速はほぼ確定 前回のFOMC会合では今年3回の利下げを表明していたFedだが、今年6回の利下げを見込んでいた金融市場も降参し、その可能性はもうほとんどなくなった。 米国株下落の理由、市場の年内利下げ織り込みがついに1回に 今回は会合参加者が今後の金利予想をプロットするドットプロットの発表がないため、声明文とパウエル議長の記者会見からFedの意図を読み取ってゆく必要がある。 バランスシート縮小は停止へ 今回の会合のテーマは2つある。1つはインフレと金利で
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が、著書『貨幣理論と景気循環』で、インフレ政策によってデフレを打倒しようとする考えを批判している。 デフレ打倒のためのインフレ政策 日本では今円安が問題となっている。その原因はアベノミクス以来行われてきた金融緩和である。現日銀総裁の植田氏がそれを段階的に終わらせようとしているが、その速度は円安を止めるのに間に合っていないようだ。 日銀の植田総裁が円安を止められない理由 この緩和政策はもともとデフレを打倒するという名目で安倍首相(当時)によって開始された。 しかしその結果のインフレ政策は円安と輸入物価上昇によって見事にインフレをもたらしてしまった。 何故なのか? インフレ政策は何故インフレをもたらしてしまったのか。インフレが起こる前から筆者は「インフレとは物価上昇という意味だ」と何度も繰り返して主張してきたのだが、誰も信じなかった。辞書ぐら
4月29日の為替相場でドル円が一時5円以上も急落した。財務省と日銀による介入と思われるので、過去の為替介入の事例におけるドル円の動きなどを含めて解説してゆきたい。 ドル円急落 以下は4月29日のドル円の3分足チャートである。ドル円は朝10時台に一度160円の壁を突破したが、その後昼過ぎから急速に下落し、夕方には154円台半ばあたりまで下落している。 政府による為替介入の有無は後で公表されるまでは確定しないが、下げ方から言って恐らくは為替介入だろう。 為替介入と為替相場 為替介入だとして、介入が終わったかどうかもまだ定かではないわけだが、一般論として為替介入があった場合、為替相場はどう動くのか。 過去でもっとも最近に為替介入が行われたのは2022年であり、その時に経済学者でありアメリカの財務長官も務めたラリー・サマーズ氏が為替介入の効果について語っている。 サマーズ氏は次のように述べていた。
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。 円安と日銀緩和 円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。 コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。 円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。 日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量
世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用しているレイ・ダリオ氏がLinkedInにおける自身のブログで紙幣とゴールドの違いについて語っている。 富の貯蔵手段 誰もが収入を得ており、その一部を貯蓄している。 普段ほとんどの人がそんなことを考えないが、富の貯蔵とはなかなか難しい経済学的テーマである。 ダリオ氏は次のように述べている。 良い貨幣とは世界中で受け入れられる富の交換方法であり、同時に良い富の貯蔵方法にもなるもののことだ。 世界でもっとも認められた貨幣はドルであり、その次はユーロであり、その次は円であり、その次は人民元だ。 こうした貨幣は負債性資産だ。つまり、負債に裏書きされている資産だ。通貨とは負債なのだ。 ほとんどの人は得た収入を何も考えずに銀行口座に放り込んでおく。つまり、日本人ならば円のままにしておく。 一部を株式や不動産に替えることはあっても、現金を持たない人はほ
市場暴落などのテールリスク専門のヘッジファンド、Universa Investmentsを創業したマーク・スピッツナゲル氏のYahoo! Financeによる去年のインタビューから、金融緩和と世界経済の関係を語っている部分を取り上げたい。 中央銀行の起源 どれだけの読者が知っているかは分からないが、世界経済にはもともと中央銀行というものはなかった。 元々市中の銀行はそれぞれ独自に自分の紙幣を発行していたが、イギリス政府がイングランド銀行に債務の肩代わりをさせる代わりに紙幣発行業務を独占させたことが中央銀行の始まりである。 南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る その後、紙幣発行を独占できること、つまり金利を自由に操作できることが政府にとって便利なことだということが判明したので、他の国もそれにならったのである。 中央銀行による金利操作 以来、中央銀行は金利
アメリカやヨーロッパなどでEV(電気自動車)の売れ行きが減速している。それと同時にハイブリッド車の売れ行きが伸びているという。 このEVからハイブリッドへのシフトは自動車メーカーの株価に影響を及ぼすだけでなく、金属市場にも大きな影響を与えると思われる。 EVからハイブリッドへ 欧米諸国でEVが売れなくなっているらしい。理由は簡単である。充電に時間がかかり、補助金がなければ価格も高く、何より大して環境に良いわけでもないからだ。 例えば欧州自動車工業会のデータによれば、去年の新車販売でEVの割合は15%だった一方で、ハイブリッドは34%だった。エンジン車の49%と合わせると8割以上がエンジン搭載車ということになる。 充電場所もほとんどないにもかかわらず早々とEVを買った人々は、脱炭素政策を熱心に支持する政治的にリベラルな人々である。 だがどうも欧米諸国では、そうした宗教的理由によって不便でもE
ここ1ヶ月ほど金相場が高騰しているので、久々にゴールドを話題に取り上げたい。 金価格上昇の原因 金価格が急上昇している。コロナ初期に急騰してから長らく横ばいが続いていたゴールドだが、ようやく再上昇を開始したという感じである。金価格のチャートは次のように推移している。 金相場のバリュエーションを測る伝統的な指標に注目していた投資家にはこの上昇は驚きかもしれない。何故ならば、金価格に影響を与えるはずの金利と期待インフレ率はそれほど動いているわけではないからである。 金相場を動かす指標 金属や農作物などのコモディティ市場では、価格は基本的に需要と供給で決まる。例えばコロナでロックダウンがあった時に原油価格がマイナスまで暴落したのは、経済が動かなくなり原油の需要がなくなったからである。 アイカーン氏: 原油をマイナス30ドルで買った (2022/2/22) だがゴールドには実際の需要はほとんどない
3月19日、日本銀行は17年ぶりの利上げを実行した。日本の政策金利は-0.1%から0.1%となり、マイナス金利は解除された。 マイナス金利解除が決定された日銀の政策決定会合については以下の記事で報じてある。 日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に だから今回論じるのは金融政策よりもむしろ日本の実体経済である。 引き締めを継続するつもりの植田総裁 会合後の記事で報じた通り、日銀の植田総裁は今後も利上げを継続するつもりである。彼は同時に量的緩和の停止にも言及していた。 だが一方で、日本経済は沈みつつある。実質GDP成長率は前期比年率(以下同じ)で次のようになっている。 2023年第1四半期: 4.0% 2023年第2四半期: 4.2% 2023年第3四半期: -3.2% 2023年第4四半期: 0.4% ちなみに減速の理由は消費である。実質個人消費の成長率は以下のように
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の動画配信で、失業率の推移をもとにアメリカ経済の景気後退の可能性について語っている。 財政赤字と米国債 最近多くの著名投資家が憂慮しているのがアメリカの巨額の財政赤字である。 ドルを使ったアメリカの経済制裁を避けるためにBRICSや中東の国々がドル資産を避け、量的緩和で米国債を買い入れていたFed(連邦準備制度)でさえインフレで買い入れが出来なくなっている今、アメリカ政府が発行する国債を誰が買うのかという問題が深刻化している。 ガンドラック氏: ドルは基軸通貨の地位を失って暴落する ガンドラック氏は次のように述べている。 財政赤字は拡大している。赤字はGDP比で歴史的に高い水準となっており、これまでの動画配信でも語っている通り、アメリカ経済が景気後退に陥れば財政赤字はGDP比で2ケタになる可能性が非常に高い。 そして金利
前回の記事では、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたスタンレー・ドラッケンミラー氏が、ソロス氏の為替理論を用いてベルリンの壁崩壊後のドイツマルクをトレードした話を紹介した。 ドラッケンミラー氏: 誰もソロス氏の為替理論を理解していない 今回はこのソロス氏の為替理論をコロナ後のドル相場に適用しながら説明してみたい。 ソロス氏が解説するドルの値動き この為替理論は、ヘッジファンドという概念を作ったと言っても良いファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏が、自分の投資理論を解説した著書『ソロスの錬金術』で公開しているものである。 この為替理論では、インフレと財政赤字、そして中央銀行の利上げが組み合わさると、インフレ(つまり紙幣の価値下落)にもかかわらず為替相場では為替レートが上昇するとされている。 ソロス氏はそれを1980年代のドル相場をもとに説明しているが、ポール・ボルカー
引き続き、スタンレー・ドラッケンミラー氏のHow Leaders Leadによるインタビューである。今回はドラッケンミラー氏がかつての上司ジョージ・ソロス氏の為替理論について語っている部分を紹介したい。 ソロスの錬金術 ドラッケンミラー氏はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用し、1992年のポンド危機におけるポンド空売りなど有名なトレードを成し遂げたことで知られるが、前回の記事でドラッケンミラー氏はソロス氏を初めて知った時のことを次のように述べていた。 ドラッケンミラー氏、ソロス氏のクォンタム・ファンドに採用された時のことを語る 彼の本を読んだんだ。誰もこの本を理解していないようだが、この本の中に為替相場に関する章があり、わたしはそれに夢中になった。 彼の本とは、ソロス氏の著書『ソロスの錬金術』のことである。この本はソロス氏が自分の投資理論を自分で詳細に説明したもので、当時の
少し間が空いたが、引き続きLow Leaders Leadによるスタンレー・ドラッケンミラー氏のインタビューである。今回は大学で学ぶ経済学について語っている部分を紹介する。 経済を予想する仕事 以前の記事でドラッケンミラー氏は、経済を予想して利益を上げる投資家の仕事の面白さについて語っていた。彼は次のように述べていた。 ドラッケンミラー氏: 優れた投資家が優れている理由 投資とは常に世界をパズルの集まりだと考えてそれを解くことだ。 ドラッケンミラー氏はこれまで、1992年のポンド危機や2022年の物価高騰など様々な出来事を予想し、平均で年率30%以上の利益を上げている。 ではドラッケンミラー氏はどのようにして経済を予想できるようになったのか。ドラッケンミラー氏はまず大学に入って経済学を学んだのだが、博士課程を中退して金融業界で働き始めている。 経済学者にならなかった理由 今では経済を予想す
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社動画配信である。今回はドル相場について語っている部分を紹介しよう。 インフレか株価暴落か 少し前にポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューを紹介したが、そこではアメリカ経済は高金利を続けて株価暴落を受け入れるか、緩和をしてインフレ再発を受け入れるかどちらかしかないという話がされていた。 チューダー・ジョーンズ氏: 米国は株価暴落か物価高騰のどちらかを選ぶことになる そしてジョーンズ氏はインフレ第2波がメインシナリオだと結論付けていた。 チューダー・ジョーンズ氏: トランプ氏再選ならインフレ再加速、金とビットコインを買え インフレ再発になればゴールドなどインフレ資産が上がるのは当然だが、ジョーンズ氏は米国株にとってもプラスだと語っていた。 だが、この話で考慮されていないことが1つある。米国株はドル建ての資産
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の動画配信で馬鹿げた政治を嘆いている。 政府債務の問題 今年、アメリカのヘッジファンドマネージャーたちが話している第一の話題は財政赤字と政府債務だ。何故ならば、インフレのために中央銀行が国債の買い入れを出来なくなった状態で国債を大量発行しなければならなくなりそうだからである。 チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性 政府にお金がなくなった理由の1つは、実質的にネズミ講であるところの年金制度のせいである。しかも自分が払った年金を自分で受け取る制度であれば何の問題もなかったものを、今の高齢世代が現役時代に支払ったお金は何処かに消えてなくなっている。 それは過去の高齢世代のために支払ったからである。そしてその世代はそれよりも更に前の世代のために支払ったわけだが、では最初の世代が支払った年金は何処に消
引き続き、Palm Beach Civic Associationによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。 アメリカの財政赤字 これまでの記事では、ジョーンズ氏はまず米国株の長期的上昇が財政赤字の際限なき上昇に依存していることを指摘していた。そしてそれが長期的には続かないということを主張していた。 チューダー・ジョーンズ氏: 米国株の長期的な株価上昇は止まる 何故ならば、財政赤字を垂れ流すためには国債を大量に発行しなければならないからである。 これまでは政府が発行した国債を中央銀行が量的緩和によって買い上げてきた。だがインフレが起こってしまった今、アメリカは量的緩和を停止している。 だから国債を買ってくれる中央銀行はもういない。その状態で国債を大量発行すればどうなるかと言えば、国債価格が下落し金利が上昇するのである。 チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利
引き続き、Palm Beach Civic Associationによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。 財政赤字の問題 前回の記事では、ジョーンズ氏が米国株の長期上昇が続かないと語っていた部分を紹介した。 チューダー・ジョーンズ氏: 米国株の長期的な株価上昇は止まる その理由は、米国株の長期的上昇は財政赤字の持続的増加に支えられており、それがそれほど長くは続かないという見通しである。 前回の記事で書いた通り財政赤字はGDPの3%でも多いのだが、今のアメリカの財政赤字は7.5%であり、それはいずれ10%まで拡大される見通しとなっている。(ちなみにこれは米国政府の見通しであり、実際には景気後退を経てより悪化すると筆者は見ている。) ジョーンズ氏は財政赤字に頼った米国株の上昇が続かないと見ている。だがジョーンズ氏は次のように言う。 問題は、それがいつ金融市場で表面化するか
1987年のブラックマンデーにおける大暴落を予想したことで有名なファンドマネージャーのポール・チューダー・ジョーンズ氏が、Palm Beach Civic Associationの会議で米国の株式市場の見通しについて語っている。 米国株上昇の理由 米国株は引き続き上昇している。株価はこれからどうなってゆくだろうか。ジョーンズ氏は次のように説明している。 今後1、2年で株式市場がどうなるかは、次の大統領が誰かは分からないが、次の大統領が現在のアメリカの財務状況にどう対応するかにかなりの程度かかっている。 アメリカの財務状況がなぜ株価にとって重要なのか。彼は次のように述べている。 何故米国株がこれほど上がっているのか? 何故ドルがこれほど強いのか? 米国には他の国に比べてとんでもない大きさの財政赤字があり、それを行なう政治家がいるからだ。 筆者のようにマクロ(経済全体)を見渡す投資家であれば、
ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用し、1992年のポンド危機でポンドの空売りで巨額の利益を上げたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がHow Leaders Leadのインタビューに答え、投資の仕事について語っている。 ドラッケンミラー氏にとっての投資 ドラッケンミラー氏は何十年ものキャリアの中で年率30%以上のリターンを上げ、しかも1年たりとも損益がマイナスになったことがない優れたヘッジファンドマネージャーである。 そのドラッケンミラー氏は投資という仕事をどのように考えているのか。彼は次のように語っている。 投資とは常に世界をパズルの集まりだと考えてそれを解くことだ。 世界のすべての出来事が別の何処かの利害関係に影響している。だから投資家は世界で起きていることに常に気を配り、パズルを問いて未来を予想する。今どうなっていて、次にどうなるかだ。 資産運用とは未来を予想する仕
アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューに答え、先日発表されたCPI(消費者物価指数)統計についてコメントしている。 1月米国CPI統計 先日発表された1月のCPI統計ではインフレが加速している様子が表され、投資家にとってショッキングだった。筆者はインフレ再燃の可能性を年始から指摘し続けてきたので、ここの読者にはそれほどショッキングではなかったかもしれないが。 インフレ再加速で利下げどころか利上げ再開か、1月の米国CPI そのインフレ統計を見てサマーズ氏は次のように述べている。 ミニ・パラダイムシフトの可能性を認識しなければならないだろう。 今回のデータによって、アメリカ経済が穏やかで健全に推移する中でインフレ率が2%まで下がるというソフトランディングのパラダイムには間違いなく疑問符が付いた。 インフレ低下とソフトランディング 去年の終盤から金融
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回は株式市場について語っている部分を紹介する。 インフレと金利上昇 コロナ後の過剰な現金給付によってインフレが起こり、金利は上昇した。ガンドラック氏はそれが金融市場全体に大きな影響を及ぼすと考えている。 ガンドラック氏は次のように述べている。 金利上昇の環境下では、金利低下の環境下よりも経済は脆弱になる。 (訳注:金利低下の環境下では金利が徐々に低くなるので)企業は借り換えを行なうことによって借金の利払いを減らすことができる。それが倒産を防ぐ。それがリスク資産の価格を支える。 だが金利が上昇していればギリギリの会社は倒産しなければならなくなる。 アメリカでは1980年をピークとして、その後40年間金利は低下してきた。ここでは何度も説明しているが、それが過去40年間の米国株が上昇し
さて、金融市場の誰もが待っていた最新のアメリカCPI(消費者物価指数)が公表された。 いつものように内容を解説してゆくわけだが、今回は本当に面白いデータとなっている。それで株価が急落したわけである。 インフレ率は横ばいを継続 まずは全体の数字からである。1月のアメリカのインフレ率は前年同月比で3.1%となり、前月の3.3%から減速した。グラフは次のようになっている。 これは市場の事前予想より高かった。インフレ率は3%台まで下がった後、そこからなかなか下には行けないでいる。筆者が年始から主張している通り、2%台への壁がそう簡単には破れないことが再び示されたことになる。 だが今回のCPI統計で重要だったのはこの全体の数字ではない。CPIはやはり内訳を見て行かなければトレンドが分からないのである。 エネルギー ということで、まずはエネルギーのインフレ率がどうなったかを見てゆく。ここからは直近の動
引き続き、元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏によるロシアのウラジミール・プーチン大統領のインタビューである。今回はロシア・ウクライナ戦争について語っている部分を取り上げる。 2022年ロシアのウクライナ侵攻 2022年2月末、ロシアはウクライナに侵攻した。当時からここではウクライナ情勢については報じ続けており、西側のメディアでも繰り返しニュースになっているが、このインタビューでは何故この戦争が起こったのかをプーチン氏がロシアの立場から説明している。 状況がややこしくなっているのは、西側メディアでは2022年以前のウクライナ情勢についてほとんど報じられていないことである。誰もがウクライナ情勢について意見を持っているが、誰もウクライナの歴史を知らない。それどころかウクライナという国について大半の日本人はほとんど何も知らないのである。 だからウクライナ情勢について話すためには、話を少
最新1月のアメリカ雇用統計が発表された。市場では予想外に強い数字だということで騒いでいるが、筆者の分析ではそれだけでは済まないデータとなっている。アメリカ経済はかなり悪い状況にある。 雇用統計とインフレ 雇用統計は元々重要な経済指標だが、最近は特に注目されている。株式市場が利下げ期待を根拠に株高を続けているが、利下げが行われるかどうかはインフレ率が下がるかどうかにかかっており、インフレ率が下がるかどうかは多くの産業で少なくないコストとなっている賃金が低下するかどうかにかかっているからである。 特にサービス業では賃金は主なコストであるため、賃金インフレはサービス価格のインフレを呼ぶ。 だからインフレが引き起こされた後は中央銀行は金融引き締めによってある程度の失業と賃金低下を引き起こすしかなくなる。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が著書『貨幣論集』で説明していることである。
米国時間1月31日、米国の中央銀行Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を開き、政策金利を5.25%に維持した。 今年のアメリカ利下げ 金利の維持自体は事前の予想通りであり、いつもの様に問題は政策金利の今後についてFedがどう語ったかである。 前回のおさらいをしておこう。前回のFOMC会合では、Fedは2024年内に3回の利下げを行なうことを示唆した。 12月FOMC会合結果でドル円が急落した理由 (2023/12/14) それを引き継ぎ、今回パウエル議長は会合後の記者会見で次のように言っている。 政策金利はこの引き締めサイクルにおいてピークにある可能性が近いと考えている。また、経済がおおむね予想通りに進行すれば、今年の何処かのタイミングで引き締めの巻き戻しを開始することが適切となる可能性が高いだろう。 コロナ後の現金給付によって引き起こされたインフレと、その後の大幅利
引き続き、ジェフリー・ガンドラック氏のDoubleLine Capitalの座談会から、Rosenberg Researchのデイビッド・ローゼンバーグ氏の相場観を紹介したい。今回は株式の銘柄推奨の部分である。 市場全体が期待できないとき 前回の記事ではローゼンバーグ氏が米国株のバリュエーションの高さについて警告していた部分を紹介した。 ローゼンバーグ氏: 今のソフトランディング期待はリーマンショック前のソフトランディング期待と同じ 米国株についてはガンドラック氏など他の投資家も高い長期リターンを望めない資産クラスとして避けているが、彼ら著名投資家が株式市場で代わりに何をしているかと言えば、選択肢は大きく分けて2つあるだろう。 まず1つ目は米国株よりも有望な他の国の株式市場を探すことである。例えばガンドラック氏やレイ・ダリオ氏がインド、ジョン・ポールソン氏がギリシャを絶賛している。 ガンド
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。 米国株の長期上昇トレンド 米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。 その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。 その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。 このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。 そのような状況にある米国
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が世界経済フォーラム(通称ダボス会議)においてCGTNのインタビューに答えている。 外交で大切なこと インタビューのテーマは主に米中関係だが、ダリオ氏はこのインタビューで政治全般において大切なことについて次のように語っている。 相手の立場から物事を見ること。バイアスのかかっている可能性のある自分の目だけから見ることがないようにすること。そうすれば起きてはならない大惨事が起きないように相手と同意することができる。 これは外交だけではなく、人間関係においても同じことが言えるだろう。 だがダリオ氏のこの言葉をどれだけの人が理解するだろうか。多くの人は自分の目からしか物事を見ない。その上に彼らが自分の目だと思っているものは、多くの場合メディアや政治家が彼らに与えた他人からの完全な借りものなのである。 ダリオ氏の政治観 ダリオ氏が多
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