戦後70年、女の時代を牽引してきた「力のある広告」を選りすぐり、100点以上の広告を紹介する新刊『広告は、社会を揺さぶった ボーヴォワールの娘たち』が宣伝会議から発売された。それを記念し、著者の脇田直枝氏に世紀を超える広告の条件について語ってもらった。 洗濯機に新しい価値をつけた「社会観」 仕事の成否は、オリエンテーションの受け取り方にあることは百もご承知だと思う。オリエンテーションに忠実で「こんな企画を待っていた」と喜ばれることもあるが、オリエンテーションに「+サムシング」をすると、プレゼンが際立って有利になることがある。そのいい例が、日立家電の洗濯機「静御前」であった。 理由は、働く主婦が3人に2人という時代になっていて、帰宅後洗濯する主婦が増えてきているという洗濯実態の変化を、身をもって知っていた。また、集合住宅に住んでいれば夜の洗濯機のモーター音、排水音を気にしながら洗濯するという