日産自動車の代表取締役会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が逮捕された事件では、自らへの報酬を実際よりも約50億円も少なく有価証券報告書に記載した疑いが持たれている。 当然のことながら、この有価証券報告書には、財務諸表が財政状態や経営成績を「適正に表示」しているという監査法人の意見がついている。日産の監査を担当したのはEY新日本監査法人。同社は、粉飾決算が問題化した東芝やオリンパスの監査を担当していたことでも知られている。今回も、なぜ不正を見抜くことができなかったのか。 売上11兆円の会社で10億円の不正を見抜くのは... 企業会計に詳しい専門家によると、一般的な監査の手順からすると、有価証券報告書に報酬額として記載されている金額については、監査法人が資金の移動のプロセスまで確認している可能性が高い。だが、問題なのは、それ以外のルートでも「報酬」がゴーン氏に渡っていた可能性だ。一例が、取引