東京を離れて久しいので、現在新宿あたりがどのような変貌を遂げているのかはよく知らないが、昔、知り合いの母親が、「新宿の地下街なんて怖ろしくて歩けたものじゃない!」と言っていた。 その理由は土地柄の治安の悪さが云々という話ではなく、幽霊とか化け物とかだらけだからだということだった。 あんなに人であふれていて煌々と電気が点いている場所なのに“怖くて歩けない”ということは、本人にとったら相当恐ろしいんじゃないのかと思う。その知り合いいわく、母親はとんでもなく霊感が強く、見えるとか見えないとかそういうレベルではないらしくて、弱いものなら自分で払えたりするということだった。 さて、今回取り上げるのは、地下道での恐怖を描いた短編作品。 ロシアの監督アルセニー・サイヒン(Арсений Сюхин)による『ПЕРЕХОД』(THE CROSSING)。 image source : ПЕРЕХОД -