2020年度、教育現場には「新学習指導要領」が導入され、新たな「大学入学共通テスト」の実施が始まる。AI時代を生き抜ける人材を育成するため――ともいわれるが、本当にそんな能力をつけてくれるのか。はなはだ心もとない。 自ら教壇に立ち、教育問題を取材し続ける池上彰氏と、「主体的な学び」を体現する佐藤優氏が、日本の教育の問題点と新たな教育改革の意味を解き明かし、「学生時代には、こんなことをしておけ」と具体的に提言する。 前回記事:「池上彰×佐藤優「2020年教育改革で起きること」 ■企業にOJTの余裕がなくなった 池上彰(以下、池上):今回の教育改革では、大学の問題は強く意識されていますよね。教育再生実行会議の「第四次提言」では、大学教育のあり方について、次のように指摘しています。 第三次提言で述べたように、知識・情報・技術が社会のあらゆる領域で活動の基盤となる知識基盤社会にあっては、大学が担う