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  • イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか

    イエローのラブラドール・レトリバー。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK) 1997年、ドイツ、ベルリンの科学捜査官が、ある珍しい事件に関する論文を学術誌「Forensic Science International」に投稿した。事件の夜、31歳の男性が母親の家の裏庭にある、物置を改装した小屋にこもっていた。彼はそこで飼いイヌのジャーマン・シェパードと一緒に暮らしていた。 午後8時15分頃、小屋のほうで銃声が鳴ったのを、近隣の人々が耳にした。 45分後、その男性が拳銃で口を撃ち抜いて死んでいるところを母親と隣人たちが発見した。男性の手にはワルサーの拳銃が、テーブルの上には遺書が置かれていた。つらく悲しい出来事ではあるものの、ここまでは特別に珍しいことでもない。ほかと明らかに違っていたのは亡きがらの状態だ。彼の顔

    イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか
    tsubasanano
    tsubasanano 2024/04/23
    “飼い主と離れることに対して常に不安を感じているような、自信のない臆病なイヌが、パニックに陥って飼い主を舐め、それが齧ったり食べたりといった行動にエスカレートしやすいと考えられるためだ”
  • 1日1万歩でなくても健康に効果、座る時間が長めでもOK、研究

    アイルランド、ケリー州の遊歩道「ディングルウェイ」を歩く人々。最新の研究によれば、1日あたりの歩数が4300歩を超えれば、心血管疾患のリスクは1万歩程度までなら歩くほどに下がっていく。(PHOTOGRAPH BY SHUTTERSTOCK/NAT GEO IMAGE COLLECTION) 1日9000~1万歩歩くことにより、死亡リスクは30%以上減り、心血管疾患のリスクは少なくとも20%減少する。だが、それより少ない歩数でも効果を得られることが、英国の7万2000人以上を対象とした新たな研究により示された。研究結果は3月5日付けで学術誌「British Journal of Sports Medicine」に発表された。 「何らかの活動をすれば必ず有益になります。われわれは、(1万歩程度までなら)1日あたりの歩数が多いほど、死亡リスクと心血管疾患のリスクが低下することを発見しました」とオ

    1日1万歩でなくても健康に効果、座る時間が長めでもOK、研究
  • 謎に包まれたシルクロードの古代王国の街「カロン城」とは

    タジキスタンの山々の間を流れるパンジ川。ここに、古代シルクロードの王国が栄えた。(PHOTOGRAPH BY MARCUS WESTBERG) タジキスタン中央部、パミール高原のふもとに、15ヘクタールほどの長方形の草地が広がっている。一見何の変哲もないただの広場だが、ここはその昔、ヤギの死骸を奪い合う中央アジアのスポーツ「ブズカシ」の競技場だったと考えられている。雄大なパンジ川を見下ろすこの競技場を中心に、かつて広大な集落が存在し、何世紀にもわたって政治と宗教の首都として栄えた。しかし今では、そのすべてが歴史の彼方に消え去ってしまった。(参考記事:「馬に乗って子牛を奪い合う、アフガニスタンの国技「ブズカシ」」) 現在、この草地はタジキスタンで最も重要な考古学的遺跡とされ、断片化された歴史のなかからタジク人の独特なアイデンティティを復活させようという、国を挙げた取り組みの要と位置付けられて

    謎に包まれたシルクロードの古代王国の街「カロン城」とは
  • 欧州貴族の奇妙なかつらの奇天烈な歴史、はじまりは王の薄毛隠し

    ルイ14世(シルバーのかつらをつけた人物)が、頭頂部の盛り上がった長い髪のかつらを愛用するようになると、宮廷の人々も同じようにかつらをつけ始めた。訪問者のザクセン選帝侯(赤い服の人物)までもが、大きなかつらをつけていた。1715年、ルイ・ド・シルベストル作。(BRIDGEMAN/ACI) 「髪を高く盛れば盛るほど神に近づく」と言ったのは、米国の歌手で女優のドリー・パートンだったが、300年前のフランスにも、同じように感じていた人物がいたようだ。派手なファッションスタイルで知られたルイ14世が、流れるような長い巻き毛のかつらをつけ始めると、周辺国の王から平民まで、ヨーロッパ中がこれを真似した。 国王と女王の「薄毛隠し」 かつらの歴史はルイ14世よりもずっと古く、何千年も前からヨーロッパや地中海諸国で愛用されてきた。史上最古のかつらは、古代エジプトのエリート層のものだったという。古代エジプト人

    欧州貴族の奇妙なかつらの奇天烈な歴史、はじまりは王の薄毛隠し
    tsubasanano
    tsubasanano 2023/12/13
    イングランドの女王エリザベス1世が歳を重ねて薄くなった髪を隠すためにかつらを集め、フランス国王ルイ14世の父・ルイ13世は病気の治療に使われた水銀のせいで髪が抜けてかつらをかぶるようになったのが転機に。
  • 大型ネコ科のピューマが1km以上も海を遠泳、驚きの報告

    森の小川を跳び越えるピューマ(Felis concolor)。水を避けることもあるが、状況によっては長い距離を泳げる。(PHOTOGRAPH BY JIM AND JAMIE DUTCHER, NATGEO IMAGE COLLECTION) 一般的に、ピューマは泳ぎが得意ではなく、ましてや長い距離は泳げないと考えられている。しかし、少なくともある1頭の冒険好きなピューマにとって、その認識は全くの見当違いだ。 米西部ワシントン州の土からピュージェット湾の無人島まで1.1kmを泳ぐ若いオスのピューマが、新たな研究で記録された。GPSで追跡された「M161」または「ノーラン」と呼ばれるこの個体は、米ワシントン州オリンピア郊外の曲がりくねった道を通り、海岸沿いを進み、海へ出た。論文は2022年11月17日付けで学術誌「Northwestern Naturalist」に掲載された。 もしピューマ

    大型ネコ科のピューマが1km以上も海を遠泳、驚きの報告
  • いつか訪れたい「竜のすみか」伝説をもつ洞窟、スロベニア

    スロベニア随一の観光名所であるポストイナ鍾乳洞は、ホライモリの生息地でもある。かつて地元の人々は、ホライモリは竜の子どもだと信じていた。(PHOTOGRAPH BY ZELJKO STEVANIC, XINHUA / EYEVINE / REDUX) そこに行けば、長い尾を持つ“竜”に出合えるかもしれない。中央ヨーロッパの国スロベニアにあるポストイナ洞窟だ。川が流れるこの洞窟は、世界で最も生物多様性に富んだ洞窟とも言われ、コオロギやヤスデ、甲虫などに交じって、「竜の子」と伝えられてきた半透明の生物も暮らしている。 その竜の子は、正式名称をホライモリ(Proteus anguinus)という。地下世界に適応したこの両生類は、体長30センチまで成長し、手足を再生する能力を持つ。最大100歳まで生き、何もべずに10年以上生きることもある。科学者たちは、ホライモリの再生能力と適応力の過程について

    いつか訪れたい「竜のすみか」伝説をもつ洞窟、スロベニア
  • 「ダークスカイ国」を目指すニュージーランド、その理由は?

    ニュージーランド南島のカイコウラ・ビーチの夜空にかかった天の川。ニュージーランドは「ダークスカイ国」に認定されることを目指している。ニュージーランドほどの規模の国としては画期的な試みだ。(Photograph by Andrew Coleman, Alamy Stock Photo) 晴れた夜、ニュージーランド南島の中心に位置する町レイク・テカポの空には無数の星が輝く。地球の8割に人工の光がもたらす「光害」が広がっている今、こうした満天の星を見る機会は少ないだろう。しかし人口約500万人の島国、ニュージーランドでは決して珍しい光景ではない。(参考記事:「天の川見えない人口、欧州60%、北米80%」) ニュージーランドは今、国際ダークスカイ協会(IDSA)が認定する「ダークスカイ国(暗い夜空の国)」を目指している。ニュージーランドほどの規模の国としては前例のない試みだ。(参考記事:「明かりを

    「ダークスカイ国」を目指すニュージーランド、その理由は?
  • 世界最大の活火山マウナロアとは、1843年以降33回の噴火

    米国ハワイ島にあるマウナロア火山の北東の割れ目帯から流れ出す溶岩。(PHOTOGRAPH BY NATALIA DELIGNE, USGS) 11月27日、米国ハワイ島で、世界最大の活火山であるマウナロア火山が噴火を始めた。 現地時間の午後11時30分頃、頂上のカルデラ(噴火によってできた窪地)から溶岩が噴出し、夜空を赤く染めた。夜通し噴出し続けた溶岩は、大部分はカルデラ内にとどまっていた。しかし夜が明けると、火山の北東部がゆっくりと引き裂かれ、新たな亀裂からも溶岩が流れ出ていることがわかった。 マウナロア火山が噴火するのは、38年ぶりのこと。記録史上最も長い休止期間だった。 今のところ近隣の人口密集地からは離れているが、状況は刻々と変化しており予断を許さない。(参考記事:「【動画】ハワイの噴火、なぜ人は火山に住むのか」) 「過去には噴火が1日で止まったこともありましたし、何日も続いたこと

    世界最大の活火山マウナロアとは、1843年以降33回の噴火
  • カタールはどんな国? 男性が女性の3倍もいるのはなぜ?

    2010年にカタールワールドカップの開催国に選ばれてから、ドーハは急激に成長している。象徴的な超高層ビルの多くが、この10年間に建てられたものだ。(PHOTOGRAPH BY DAVID RAMOS, GETTY IMAGES) 中東の小さな国カタールに大量の人々が押し寄せている。目的はただひとつ、FIFAワールドカップだ。 2010年に開催国に選ばれて以来、カタールは多くの物議を醸している。外国人労働者に対する非人道的な労働環境によって、数千人が死亡したと伝えられるほか、同性愛が死刑に処されることすらある国でLGBTQの観客の安全が確保されるのかという疑念も巻き起こっている。(参考記事:「地図で見るLGBT違法の国、合法の国」) しかし、中東初のワールドカップ開催国は、2022年11月20日から12月18日までの大会期間中、世界に最善の姿を見せようとしている。 この記事では、試合を見る

    カタールはどんな国? 男性が女性の3倍もいるのはなぜ?
    tsubasanano
    tsubasanano 2022/11/24
    “カタールでは、女性に対する男性の比率が世界一高く、男性の数が女性のほぼ3倍に上る。1970年代以降、男性の数が急増した理由のひとつは、ほとんどが男性である移民労働者への依存である”
  • オミクロン株の新たな系統が米国で急増、一気に計15%超に

    オミクロン株の亜系統であるBQ.1とBQ.1.1は、今は米国での新規感染例の10%に過ぎないが、今後数週間でBA.5と入れ替わって主流になる可能性がある。(PHOTOGRAPH BY PATRICK T. FALLON, AFP VIA GETTY IMAGES) 米国におけるオミクロン株の亜系統の急増に、科学者たちが警戒感を強めている。米疾病対策センター(CDC)が公表したデータによると、10月の第2週に米国内では、BQ.1とその兄弟株であるBQ.1.1による感染が新規感染者の10%以上を占め、BF.7が5%を占めていた。 「数週間以内に、BA.5の割合を上回るでしょう」と、米カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の感染症およびワクチン学の専門家であるジョン・シュワルツバーグ氏は言う。急増した系統が同じ速さで拡大し続ければ、そのうちのどれか1つ、または3つ全てが現在主流のBA.5と完

    オミクロン株の新たな系統が米国で急増、一気に計15%超に
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    tsubasanano 2022/10/22
    “「今も、ワクチンを打って免疫力を上げておかないと、重症患者が増えてしまうかもしれません」「免疫を維持するには、ワクチンを打つことです。なかでも、今最も期待されているのが2価ワクチンです」”
  • 「好色」英国王ヘンリー8世と、6人の妻たちの物語

    イングランド国王ヘンリー8世と6人の。上から時計回りにアン・オブ・クレーブズ、キャサリン・ハワード、アン・ブーリン、キャサリン・オブ・アラゴン、キャサリン・パー、ジェーン・シーモア。(IMAGE COURTESY OF STEFANO BIANCHETTI / BRIDGEMAN IMAGES) 16世紀のイングランド国王ヘンリー8世は、女性関係では特に評判の悪い王だった。6人の女性と次々に結婚したが、彼女らはそれぞれ、「離婚、斬首、死亡、離婚、斬首、生存」という運命をたどった。 これを題材にしたのが、英国や米国で上演され、話題を集めているミュージカル「SIX(シックス)」だ。6人のたちに順番にスポットライトを当てながら、その運命を女性の視点で伝えている。ここでは、その背景となった歴史を紹介しよう。 離婚:キャサリン・オブ・アラゴン ヘンリー8世は、1509年から1547年までイングラ

    「好色」英国王ヘンリー8世と、6人の妻たちの物語
    tsubasanano
    tsubasanano 2022/08/23
    16世紀のイングランド国王ヘンリー8世は生涯で6人の女性と次々に結婚した。これを題材にしたミュージカル「SIX(シックス)」はこの6人の妻たちのそれぞれの運命を女性の視点で伝えている
  • コロナウイルスのゲノム変異に未知の仕組みか、東北大が発見

    コロナウイルスには、パンデミック(世界的大流行)を引き起こしている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)など、さまざまな種類がある。これらのうちSARS(重症急性呼吸器症候群)関連コロナウイルス同士のゲノム(全遺伝情報)を比べたところ、特定の領域に未知の仕組みによる可能性のある、長い塩基配列の挿入や欠失、入れ替わりが集中して起きていることが分かった。東北大学の研究グループが発表した。さらなる変異への対応や対策を考える手がかりとなる可能性がある。 コロナウイルスには風邪の病原体となるタイプや、重篤な肺炎などを引き起こすタイプがある。後者には2003年に見つかり大流行したSARSコロナウイルス(SARS-CoV)や、2012年に見つかったMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス(MERS-CoV)などがある。新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスの仲間に分類されている。 コロナウイ

    コロナウイルスのゲノム変異に未知の仕組みか、東北大が発見
    tsubasanano
    tsubasanano 2022/08/13
    “比較的長い挿入や欠失が特定のゲノム領域に蓄積し、変異の重要な要素となった可能性がある。変異を引き起こす宿主の要因や未知の仕組みを解明できれば、ウイルスの変異で起こる問題への対処に役立つ期待がある”
  • コロナは感染回数が多いほど死亡率上昇、後遺症にもなりやすい

    新型コロナウイルスのオミクロン株の研究中に個人用防護服を調整する、オーストラリアのシドニーにあるセントビンセント病院応用医学研究センターのウイルス学者(2021年12月8日撮影)。オミクロン株のBA.4とBA.5系統は、依然として再感染を起こす主要な原因となっている。(PHOTOGRAPH BY KATE GERAGHTY, THE SYDNEY MORNING HERALD/GETTY IMAGES) 新型コロナウイルスの変異株のなかでも感染力の強いオミクロン株の出現により、再感染率が上昇している。米国では3度目、4度目の感染をする人さえいる。また、オミクロン株の亜系統はこれまでに獲得された免疫を回避する能力が高いことも研究で判明している。(参考記事:「オミクロン株のBA.4とBA.5系統が米国で急拡大、気になる特徴とは」) こうした疫学データは新型コロナが何度も再感染しうることを示して

    コロナは感染回数が多いほど死亡率上昇、後遺症にもなりやすい
    tsubasanano
    tsubasanano 2022/08/08
    “「配偶者に『火の消し方が分かったから、もう一度家に火をつけよう』とは言いませんよね。もしかしたら、再感染しても免疫系は対処できるかもしれません。ですが、そもそも感染しないほうがいいのです」”
  • アラスカの凍土に眠る血みどろの歴史、貴重な遺物に消失の危機

    危機に瀕した歴史 ヌナレク遺跡から出土した遺物の多くは、動物の角や木、セイウチの牙で作られている。ツンドラの下で保存されてきたこれらの有機物は、露出するとすぐに腐敗してしまう。(KIERAN DODDS/NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION) 米アラスカ州南西部沿岸にあるヌナレク遺跡の凍土には、ある運命の瞬間がそのままの姿で埋もれている。約400年前に、先住民ユピックが何者かに襲われたときの品々だ。 考古学の世界ではよくあることだが、遠い過去の悲劇は現代の科学に恩恵をもたらす。ヌナレクでは、日常使いの器から、木製の儀式用仮面、セイウチの牙でできた入れ墨用の針、精巧に作られた小舟の破片、カリブーの歯でできたベルトなど、10万点もの遺物が発見されている。その量や種類の多さもさることながら、1660年頃から地中で凍結していたため、保存状態は驚くほど良好だ。

    アラスカの凍土に眠る血みどろの歴史、貴重な遺物に消失の危機
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    tsubasanano 2022/07/06
    過去半世紀で平均気温が2度上昇し、ツンドラの凍土の融解が進むことで凍土の中で眠っていた貴重な遺物が、危機にされされている。さらに海面上昇で沿岸の遺跡が消えてしまうかもしれない
  • 別府湾も候補、「人新世」の区切りの基準となる地層、選定始まる

    カナダのオンタリオ州南部にあるクロフォード湖の堆積物。地質学者たちはこの中に、原爆の放射性降下物など、人新世の始まりを示す指標を探している。(PHOTOGRAPH BY TIM PATTERSON) 2022年5月のある晩、国際層序委員会(ICS)の人新世作業部会(AWG)の会合がドイツのベルリンで開かれていた。ICSは地球の地質年代の認定を行う学術団体だ。ステージに上がった英レスター大学の古気候学者イェンス・ツィンケ氏が、透明なプラスチック製の容器から白い厚板を取り出した。 鉛筆ほどの太さの溝が1刻まれたその板は、一見すると発泡スチロールのようだが、実際には岩のように硬い。これはサンゴのかけらなのだ。オーストラリアの東海岸から約250キロも離れたサンゴ礁フリンダース・リーフから切り出されたものだ。 この付近では「観光、農業排水、産業汚染といった通常の人間活動による直接的な影響はありませ

    別府湾も候補、「人新世」の区切りの基準となる地層、選定始まる
  • 瀬戸際の「世界最大の木」を守れるか、北米の巨大ヤマナラシ

    米国ユタ州フィッシュレイク国有林のアメリカヤマナラシは世界最大の木だが、シカやウシが新芽をべるため、存続が脅かされている。(PHOTOGRAPH BY DIANE COOK AND LEN JENSHEL, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 木は時として、ただの木ではない。春は緑、秋には黄、オレンジ、ピンク、赤色の葉をつけるアメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)は、北米で最も広く分布する木の1つで、しばしば自身のクローンをつくって繁殖する。1ずつ独立した木に見えても、実際には1つの巨大な根から生える幹の集合体。つまり、1つの群落が1つの生きものだ。 多くの場合、アメリカヤマナラシの群落は1エーカー(約0.4ヘクタール)足らずだが、もっと大きい場合もある。1の木が森を形成していることさえある。 米国ユタ州中南部、コロラド高原の標高2700

    瀬戸際の「世界最大の木」を守れるか、北米の巨大ヤマナラシ
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    tsubasanano 2022/05/16
    “「人口5万人、全員が85歳の町を想像してください。それがパンドの問題です」森は老いていく。だが、次の世代は生き残らない。「しかも、それが目の前で起きているのです」”
  • ゾウに乗って戦ったベトナムの伝説的ヒロイン、徴姉妹とは

    ベトナムで、通りや寺の名になっている「ハイバチュン」。実はある姉妹を指している。ベトナムの民族的英雄である徴姉妹(チュン姉妹)だ。 ベトナムは紀元前111年から939年まで中国の支配下にあった。そのさなかである西暦40年、徴側(チュン・チャク)と徴弍(チュン・ニ)の姉妹は、後漢に対する反乱を指揮して独立を勝ち取った。反乱はわずか3年で鎮圧されてしまったが、ベトナム人は昔から徴姉妹のために供物を捧げ、ゾウに乗って戦に向かう姉妹をカラフルな山車や物のゾウを使って再現し、勇敢な姉妹を讃えてきた。

    ゾウに乗って戦ったベトナムの伝説的ヒロイン、徴姉妹とは
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    tsubasanano 2022/05/02
    “北の隣国との長く複雑な関係、外国からの介入、家族を分断して世界中に離散させた苦しい内戦、そして母系社会の伝統が、2000年も前に生きた2人の女性への畏敬の念を抱かせているのだ”
  • 100年前にもあった「スペインかぜ疲れ」とその教訓

    1918年、米国でスペインかぜの感染を防ぐためにマスクを着用した赤十字のスタッフ。(PHOTOGRAPH BY PAUL THOMPSON, HULTON ARCHIVE/GETTY IMAGES) 1918年に始まった「スペインかぜ」と呼ばれるインフルエンザのパンデミック(世界的大流行)は、米国でも猛威を振るった。それから20年後の1939年、作家のキャサリン・アン・ポーターは、自らの辛い体験を「Pale Horse, Pale Rider(邦題「蒼ざめた馬、蒼ざめた騎手」)」という短編小説にまとめた。この時期を描いた著作として広く知られている作品だ。 この物語では、破壊的な威力を持つウイルスと第一次世界大戦という二重の重荷に苦しむ多くの若者の心情が描かれている。 歴史家の話では、スペインかぜが実際に終息した時期は曖昧なままだ。その一因は、米国民が「スペインかぜ疲れ」に陥っていたせいだと

    100年前にもあった「スペインかぜ疲れ」とその教訓
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    tsubasanano 2022/03/14
    “歴史家の話では、スペインかぜが実際に終息した時期は曖昧なままだ。その一因は、米国民が「スペインかぜ疲れ」に陥っていたせいだという。”
  • トンガ火山噴火、何が起きたのか、1秒間に100回の雷

    2022年1月15日、トンガ王国の海底火山が恐ろしいほどの大噴火を起こした。日の気象衛星が撮影したこの画像の右手に噴火の様子が確認できる。(PHOTOGRAPH BY JAPAN METEOROLOGY AGENCY VIA AP) 2021年末、南太平洋の島国トンガで、海面から顔を出していたある火山島フンガトンガ・フンガハアパイが噴火を始めた。当初は灰色の噴煙と控えめな爆発が起こる程度のもので、トンガの住民以外に気付く人もほとんどいなかった。 年明け早々にいったん活動が穏やかになったが、その後一転して激しくなり、高く上がった火山灰の柱は、記録的な量の雷を発生させた。「1分間に5000〜6000回、つまり1秒間に100回の雷が発生するようになったのです。信じがたい量です」。気象測定を行うフィンランドの企業ヴァイサラ社のクリス・バガスキー氏はそう述べている。 そして1月15日、火山は凄まじ

    トンガ火山噴火、何が起きたのか、1秒間に100回の雷
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    tsubasanano 2022/01/19
    “トンガにとって「これは壊滅的な打撃になる可能性があります」と語るのは、米スミソニアン協会の火山学者ジャニーン・クリプナー氏だ。「現時点では、わかっていることよりも疑問の方がはるかに多い状態です」”
  • 新たな変異株の抑制、最も強力な武器はワクチンの世界的な普及

    メキシコ政府はアストラゼネカ製新型コロナウイルス用ワクチンを15万回分、グアテマラに寄付した。写真は2021年7月24日、グアテマラシティの空軍基地に到着したワクチン。(PHOTOGRAPH BY JOHAN ORDONEZ, AFP VIA GETTY IMAGES) 南アフリカの医師アンジェリク・クツェー氏は困惑していた。氏がそれまで診てきた新型コロナ感染症の患者では、症状の大半は喉の痛みと熱だった。ところが11月18日、氏が診察した29歳の男性は、極度の疲労感と激しい頭痛を訴えた。これは新型コロナ感染症というよりも熱中症に近い症状だ。クツェー氏はその日のうちに、これと同じような患者を7、8人診ることになった。 「まるでわけがわかりませんでした」と、南アフリカ医師会の会長であるクツェー氏は言う。 研究者らはそれから1週間のうちに、この患者が今では「オミクロン株」と呼ばれている新たな変異

    新たな変異株の抑制、最も強力な武器はワクチンの世界的な普及
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    tsubasanano 2022/01/06
    新たな変異株を登場させない最善の方法はウイルスが拡散・複製する余地を与えないこと。そしてもっとも強力な武器は広くワクチン接種を行うことだ。ワクチンの公平性が鍵になっている