米連邦準備理事会(FRB)が6月19日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後に公表した声明文の表現を改めたことから、米国では早期利下げの見方が強まっている。中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明する「フォワードガイダンス」は日本を含めた中銀が採用している。だが、ある気鋭の経済学者はその効果に懐疑的である。 「フォワードガイダンスは米国や日本で近年、極めて重要な政策になっている。だが低金利の中でさらに利下げを表明したところで、人々の景気の先行き見通しを変えて消費をこれ以上刺激することは難しい。効果は小さなものにとどまるだろう。低金利下では、長期的には政府負債の増大につながるものの、非伝統的な金融政策とともに財政刺激政策を考慮することが重要」――。こう指摘するのは、金融政策や価格の硬直性などを実証研究する米カリフォルニア大学バークレー校の中村恵美(Emi Nakamura)教授である