今夏、福島県南相馬市で、野馬追いのハイライト 神旗争奪戦を観戦した。ご一緒したのは、加藤茂明・元東大分子細胞生物学研究所教授だ。 先日、加藤元教授の研究室の不正行為に関し、東大が行った予備調査の結果が明らかとなった。マスコミが大きく取り上げたため、ご存じのかたも多いだろう。 報道によれば、加藤研が発表した165報の論文中、53報で問題が指摘され、そのうち43報で不正が確認されたという。日本を代表する研究室が、大量の論文を捏造していたことになる。今回の事件は、論文捏造の実態を考える上で、示唆に富む。私は、この件について、加藤元教授から相談を受けていた。そして、予備調査報告書を実際に見せて貰ったことがある。そこには、論文の不正箇所、不正を働いた研究者の名前が明記されていた。 驚いたのは、不正の構図が複雑であることだ。加藤元教授の指示のもと、研究室をあげてデータを捏造した、という単純な話ではない