ブックマーク / www.sakuranbo.co.jp (5)

  • 柔道王の名誉回復と男の星座「KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」 深町秋生のコミックストリート

    『シャトゥーン ヒグマの森』で第5回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞した増田俊也氏と会った。当時、氏は中日スポーツの記者でもあったが、印象的だったのは、やけにガッチリとした岩のような体格の持ち主であり、柔道や格闘技に異様に精通していたことだった。酒席の場で格闘ロマンあふれる話を披露してくれたのを覚えている。「やっぱ、スポーツ紙の記者だけあって、よく知っているなあ」と感心した。それ以来、会う機会もなかったので、私にとって増田氏は「格闘技に無茶苦茶詳しいブンヤの同業者」という認識しかなかった。 彼が2012年に『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社 大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞した)を発表したときはひたすらたまげた。木村政彦という稀代の柔道家への敬慕の念と情熱、圧倒的な情報収集力、執筆に18年もの月日を費やしたという恐るべき執念に、激しい嫉

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  • 明るく楽しく暗部に迫る悲痛なコメディ「ちーちゃんはちょっと足りない」深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 読んでいて窒息しそうな一冊だった。  鬼才・阿部共実の新刊『ちーちゃんはちょっと足りない』だ。魔球のような短編で読者を翻弄しまくった『空が灰色だから』を手がけた作者の初の長編作品だ。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2012/06/post-49.html(先の読めないキュートな不気味「空が灰色だから」)  「空が~」はコメディのようでいて、人間の狂気にひたひたと迫る、シュールかつ不気味な快作だった。ざらっとする読後感を与える強烈(悲痛ともいえる)な作品だったが、今回の『ちー

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  • コミック界の新たな至宝。小林まこと『瞼の母』と「長谷川伸シリーズ四部作」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 小林まことの「劇画・長谷川伸シリーズ」は、コミック界の新たな至宝となるだろう。四部作のラスト『瞼の母』(講談社)を読んで思った。  ……のっけから、ずいぶんと大きく出たが、話を盛りすぎているとは思わない。この21世紀に、どのメディアでもほとんど死滅していた“股旅もの”というジャンルを復活させ、「どこの読者がいるんだ」と言われつつも、作者は次々と名作を発表してきた。  原作は大衆文学の父・長谷川伸……といっても、今さら知っているのはシニア層か熱心な映画ファンくらいではないか、ということは、前作『一刀土俵入』(講談社)

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  • アダルティなマンガ家が描く、至高の愛の物語「四谷区花園町」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「表現する喜び、信念をつらぬく厳しさ。誰かとめぐり逢う奇跡、愛しぬくことの尊さ。これは魂の物語です。」(こうの史代) 「素晴らしい 青春漫画の王道だ! “エロ”はどんな時代にも生きる勇気を与えてくれる。映画にしたいと思った」(行定勲)  個人的な話だが、一度だけファンレターを書いたことがある。  正確に言うなら、サイトの掲示板に「感動しました」といった内容を書きこんだというべきか。管理人は高浜寛。オトナでエロティックな恋愛物語の優れた描き手で、ヨーロッパなどで高い評価を得ているマンガ家だ。“乱闘、銃撃、爆破”と、偏差値低めなアクション小説を書いている私にとっては、登場人物のリアリティ、会話のうまさ、官能的な味わいは衝撃的ですらあった。鼻水たらしたボン

    アダルティなマンガ家が描く、至高の愛の物語「四谷区花園町」 深町秋生のコミックストリート
  • 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミック をセレクト! さて、あなたはおしぼりのビニール袋をどうしているだろうか。 居酒屋なんかで出てくる業務用のおしぼり。叩くとポンと音がするアレである。あのビニール袋はけっこうわせものだ。単にテーブルへ置いたままにしておくと、空調の風にあおられてツツーっと滑っていき、そのうち隣のテーブルにまで飛んでいったりするちょっと目障りな存在だ。 目障りといってもあくまでちょっとだけだから、クシャクシャに丸めて灰皿なんかに放りこんでおく。もしくはおしぼりの下に敷く。見た目は美しくないものの、そのうちビールや突き出しなんかが運ばれてきて、グビグビやっているうちにどうでもよくなってくる・・・・・・。あまりにささやかな問題だから、いつも気になりながらもすぐに忘れてしまう。 今回はそん

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