去る3月22日、福岡高裁は熊本県内で生活保護を受給する70代の夫婦に対し、保護を打ち切った熊本県の処分を適法とする判決を言い渡した。 夫婦には同居する孫がいたが、看護の専門学校に進学していたことで、保護の対象から外す「世帯分離」の扱いを受けていた。しかし、2017年2月に、孫が准看護師の資格を取り、病院で働くことで大幅に増収していているとして、福祉事務所が世帯分離を解除。増えた収入を夫婦世帯のものと認定し、保護基準を上回るとして保護を打ち切ったのである。この時はまだ、孫は看護師資格取得のために専門学校に在学中であった。 保護が廃止されたのは2017年2月で、夫が上記の処分に対する熊本県への審査請求(不服申し立て)、厚労省への再審査請求を行ったが、いずれも棄却され、2020年6月に熊本県を被告とした処分取消しの行政訴訟を提起した。同年10月には熊本地裁で原告が勝訴したが、熊本県が控訴し、今回