安藤裕子が通算9枚目となるニューアルバム『頂き物』をリリースした。彼女と交流のある10人のアーティストからの提供曲で構成された本作で、安藤裕子は唄い手に専念している。1枚のアルバムでは同居しえないようなアーティストたちが織りなす多様な世界で、時に軽やかに、時に切なく、実に多彩に染まってみせている。しかし、シンガーソングライターである前に、ものづくりが大好きだった彼女がなぜ、「曲を頂いて歌う」ことにしたのだろうか? ここ数年、彼女は何度も終わりという流れに飲み込まれそうになりながらも、なんとか立ち向かい、押しとどめ、前へと進み続けてきた。そんな彼女が辿ってきたここまでの道のりと心の流れを改めて辿ってみたいと思う。 EMTG:まず、本作を制作にするに至った経緯からお伺いしたいと思います。 安藤:もともとはディレクター発信の企画だったんですよね。13年やってきた道のりの中で、私がだんだん私小説の