南海電鉄には、和歌山市内に全長わずか約2・8キロの短い路線「和歌山港線」がある。実はその大半の約2キロの区間は、南海ではなく和歌山県が所有している。県は他者に使用させるなどの目的で路線を敷設した経緯から「第三種鉄道事業者」に分類されており、知る人ぞ知る「日本一短い鉄道」事業者だ。でもなぜ和歌山県が? その経緯を探った。 (藤崎真生) 和歌山港線は、和歌山市の中心街に近い和歌山市駅と、徳島港へ向かう「南海フェリー」との接続駅・和歌山港駅を結ぶ。途中駅はない。 開業は昭和31年で、当初は途中に久保町、築地橋の2駅があった。終点の和歌山港駅も現在より約0・5キロ手前にあり、全長は約2・3キロだった。 46年には木材運搬を目的に南に延伸。和歌山港駅は約0・5キロ先に移され、さらにそこから約2・6キロ先に新たな終点・水軒駅が置かれた。もともとの和歌山港駅は途中駅として築港町駅と改称された。 しかしこ