ウクライナ危機下のインフレが続く中、国際社会の分断が長引けば、世界経済を一段と悪化させるだけだ。 にもかかわらず、主要20カ国・地域(G20)の財務相らが開いた会議は、協調して対策を打ち出すことができなかった。 米欧は大幅な利上げを急ピッチで進め、物価の伸びは鈍りつつある。だが景気への悪影響はこれから本格的に表れる恐れがある。 中国経済は消費低迷など回復の遅れが鮮明になっている。新型コロナウイルス対策として厳格な行動制限を課した「ゼロコロナ政策」の弊害も尾を引いている。 大国が厳しい状況に陥れば、各国に波及する。G20が「世界経済はさらに減速しかねない」との認識を共有したのは当然だ。 だが共同声明は今回も見送った。日米欧などがウクライナ侵攻への非難を盛り込むよう求めたが、ロシアが反対し、中国も同調した。機能不全が続く深刻な事態だ。 問われるのはロシアの責任である。穀倉地帯であるウクライナか