北海道旭川市を本拠とする歩兵第二八連隊から抽出された一木清直大佐率いる一木支隊は、1931年の満州事変や1939年のノモンハン事件などに出動し、歴戦の精鋭部隊として知られていた。しかし、1942年の8月21日、激戦となったガダルカナル島で916人中777人が戦死するという全滅状態に陥ってしまう。 まさに、その8月21日の夜。部隊が出発した旭川第七師団では、無表情のどす黒い顔をした部隊が帰還する姿を見たという目撃談が相次いでいた――。 ◆◆◆ 「伝統的戦法である白兵威力」に絶大な自信をもっていた一木支隊の“予想できなかった運命” 「一木支隊全滅」によると、幽霊部隊の帰還を否定した留守部隊将校もいた。しかし、師団の兵士たち、宿営していた中学生、さらには兵士の家族たちまでと、怪異譚はかなり広範に広がっている。死者たちはそれほどまでに、この世に強い思いを残していたのだろうか。 確かに、一木支隊の運