石井 健一(生物科学専攻 助教) 朝比奈 健太(米国ソーク研究所 准教授) 発表のポイント ショウジョウバエという小昆虫を用いた研究により、攻撃性を抑える「ブレーキ」として働く遺伝子と脳神経系が特定されました。 今回発見された「ブレーキ」システムは、集団生活を経たハエ個体の攻撃性を抑える働きを担うことがわかりました。社会経験と攻撃抑制を結ぶしくみの実体を掴んだ研究はどの動物でも前例がなく、本研究が初めてです。 本研究には、ヒトにおける暴力衝動や、社会経験を通じた情動・行動発達の理解に貢献するという、医学的・社会的な意義も期待されます。 発表概要 火事と喧嘩は江戸の花――喧嘩はヒト社会でも日常的に起こりますが、時には暴力事件(攻撃行動)へと発展し社会問題となります。東京大学大学院理学系研究科の石井健一助教と米国ソーク研究所の朝比奈健太准教授らは、ショウジョウバエ(注1)の喧嘩の様子を観察し、