「ほっとけない」天才にジョニー・デップも惚れた 個性的なシンガー・ソングライターにして、アイリッシュ・パンク・バンドであるザ・ポーグスのフロントマン、シェイン・マガウアンの「これまでの全人生」を追ったドキュメンタリー映画が、日本でも公開されている。『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』というタイトルどおり、いかに彼が「愛されキャラ」であるのかが描き出されていく。その意味で、ちょっと特異な一作かもしれない。 たとえば本作は、30年来の友人だというジョニー・デップが製作を担当し、出演もしている。彼はシェインをインタヴューしている——というか、いかにも口が重そうなシェインをなだめすかして、安心させて「いい言葉」をぽろりと吐き出してもらうために、なにやら気を揉んでいる人として、画面に登場してくるのだ。いくらロック好きだといっても、天下のジョニー・デップが!――という点が、シェイン・マガウアンという