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本に関するaxkotomumのブックマーク (117)

  • ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書

    こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:アマル・エル=モータル,マックス・グラッドストン早川書房Amazonこの『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』は、アマル・エル=モータル、マックス・グラッドスト二人の共作による、詩的な時間SFである。英語圏における小説の長さの基準的にはノヴェラ(中編)で、書も240ページほどとコンパクトだ。 エモエモ往復書簡時間SF 作がぱっと見で凄いのは、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞と賞的な評価が異様に高いところにある。賞の評価がどれほど高かろうが作品の中身の質の保証にはならないわけだけれども、それなりに期待して読み始めたら、これがたしかにおもしろかった。あらすじとしては、《エージェンシー》と《ガーデン》という二大勢力が時空の覇権をかけて争う──といった感じで、何の新鮮味もない。 だが、実際には

    ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書
  • ナオミ・ザック『災害の倫理』(勁草書房) - 社会科学読書ブログ

    災害の倫理: 災害時の自助・共助・公助を考える 作者:ザック,ナオミ 発売日: 2020/05/01 メディア: 単行 災害についての応用倫理学を展開している。災害については備えもまた倫理的に重要であり、災害計画における最善の原理は「最善の備えをして助けられる人すべてを公平に救う」という原理である。また、災害時には英雄的な勇気よりも誠実さや勤勉さが要求される。災害は政府の機能を一時的に停止させるため「第二の自然状態」を作り出す。政府は災害による第二の自然状態において市民が生き残るために備える義務がある。なぜなら、災害時においても無実の人の生きる権利や個人の尊厳は停止されないからである。 書は災害という状態においてどのような倫理的な問題が生じどのような倫理的解決が望ましいかについて述べている。その際、帰結主義や義務論、徳倫理学や社会契約論などの倫理学の道具を駆使しながら結論を導いている

    ナオミ・ザック『災害の倫理』(勁草書房) - 社会科学読書ブログ
  • 『ステレオタイプの科学』 色眼鏡で見られると本当にできなくなってしまう - HONZ

    「女性は数字に弱い」「高齢者は記憶力がわるい」「日人はアフリカ系の人に比べて身体能力で劣っている」。わたしたちはしばしば過度の一般化を行い、特定のステレオタイプをとおして周囲の人を眺めてしまう。そして、そうしたステレオタイプがときとして深刻な偏見や差別を生み出してしまうことは、多くの人が知っているとおりである。 だが、ステレオタイプがもたらす悪影響はどうやらそれだけではないようだ。なんと、否定的なステレオタイプをとおして眺められると、眺められたその人は、学業やスポーツ、仕事などで実際にパフォーマンスが落ちてしまうというのだ。 書は、アメリカの著名な社会心理学者クロード・スティールによるものである。スティールを有名にした研究のひとつが、「ステレオタイプ脅威(stereotype threat)」に関するものである。そして、そのステレオタイプ脅威こそが、先に述べたパフォーマンスの低下を引き

    『ステレオタイプの科学』 色眼鏡で見られると本当にできなくなってしまう - HONZ
  • 『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態 - HONZ

    2019年4月、プロゴルファーのタイガー・ウッズがマスターズ・トーナメントで5度目の優勝を飾った。この優勝は、オピオイド(鎮痛薬)依存を克服しての勝利だったため「奇跡の復活」と称賛された。長く腰痛に悩まされ、鎮痛薬が手放せなくなっていたウッズは、17年に「薬物影響下での自動車運転」の容疑で逮捕されている。逮捕時の虚(うつ)ろな目をした写真を覚えている人も多いだろう。 「たかが鎮痛薬」と侮ってはいけない。オピオイドは極めて依存性が高く、ミュージシャンのプリンスや俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンなど、過剰摂取が原因で亡くなった著名人も多い。全米ですでに40万人が命を落とし、400万人もが依存症に苦しんでいるといわれる。しかもこの空前の薬物汚染は、医師の処方した薬をきっかけに引き起こされたのだ。 書は、オピオイド禍の震源となったバージニア州西部のアパラチア地方で何が起きていたのかを、地元紙

    『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態 - HONZ
  • ドイツと日本が世界の覇権を競っている西暦2600年を描き出す、1937年刊行のディストピアSFの古典──『鉤十字の夜』 - 基本読書

    【送料無料】 鉤十字の夜 / キャサリン・バーデキン 【】 価格: 2750 円楽天で詳細を見る『鉤十字の夜』は、キャサリン・バーデキンによって書かれたイギリスのディストピアSFである。刊行年は1937年で、ディストピア系の代表作のひとつオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』が1932年刊行だから、相当(ディストピア物としては)早い時期の作品になる。この、1月に刊行されていて認識はしていたのだけれども、水声社の方針としてAmazonに配しないので、買い忘れたままになっていた。 キャサリン・バーデキンという名前も『鉤十字の夜』も聞いたことがなかったのだけれども、訳者解説によると、どうも英語圏においてさえ著名な作家というわけではないらしい。というのも、もともと作もマリー・コンスタンティンという男性名として発表されたもので、長らくそれがキャサリン・バーデキンの変名であると明かされてい

    ドイツと日本が世界の覇権を競っている西暦2600年を描き出す、1937年刊行のディストピアSFの古典──『鉤十字の夜』 - 基本読書
  • 『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して - HONZ

    今年も3月を迎えた。2011年3月11日から9年が経ち、毎年震災が出版され続けている。私も3月は震災ものを読むことを習慣としてきた。楽しみや興味位からではない。「何も知らなくてごめんなさい。何もできなくてごめんなさい」といつも申し訳なく手に取る。 9年経った今、世の中は変わったのだろうか。現場の第一線で働く人の命と健康を守り、敬意を払う世の中になっているのだろうか。そして、私は震災と正しく向き合えていけているのだろうか。 書は東京新聞で連載されている「ふくしま原発作業員日誌」(2011年8月〜2019年10月)に大幅に加筆を加え書籍化したものである。作業員の人柄や日常の様子が生き生きと伝わるように、「日誌」という形にこだわった。そして、「日誌」と交差するように、廃炉に向けた進捗状況や、政府や東電の発表、働く作業員の労働環境などの背景が詳細に描かれている。「作業員の横顔がわかるように」

    『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して - HONZ
  • 検索する情報と、咀嚼する知識『人文学概論』

    世の中には、情報を得ると、知識を得るがあるが、これは後者だ。 情報と知識って、似たようなものに見えるが? 著者に言わせると、明確に区別する必要があるらしい。 情報は「判断を下したり起こしたりするために必要なもの」に過ぎないが、知識は「学問的な成果であって原理的に組織づけられた判断の体系」だという。情報は自分の外部にあるもので、体得され自己化されると知識になる、という構造だ。 を読むことを「インプットする」と言う人がいるが、喩えるなら、インプットするのが情報で、インストールするのが知識になるとも言える。あるいは、検索するときのキーワードは情報なら、何をキーにするかは知識になる。知識がないと、そもそも何を検索すればよいかすら分からないから。 情報としての「無知の知」 具体例で考えてみる。 たとえば、ソクラテスの「無知の知」について。 検索すればヒットする。ギリシャの哲学者ソクラテスは、知

    検索する情報と、咀嚼する知識『人文学概論』
  • 電子生命の生きる道はどこにあるのか──『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』 - 基本読書

    キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child ? (講談社タイガ) 作者:森 博嗣発売日: 2020/02/21メディア: 文庫講談社タイガで刊行中の、森博嗣によるWWシリーズ『それでもデミアンは一人なのか?』に次ぐ第三巻である。(今作に限らず)独立性の高い作品なので、どこから読み始めても問題はない。このシリーズでは、人工的に作られた有機生命体であるウォーカロンが存在し、人間はいくつかの事情から子供がほぼ生まれなくなった。その一方で寿命はのび、ひどい事故以外では死ななくなった未来の世界を描き出していく。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 世界観とか このシリーズの特徴は、ヴァーチャルの比重が増し、リアルが縮小していく世界を描き出している点にある。現代でも多くの人がVR機器を楽しんでいるが、このW

    電子生命の生きる道はどこにあるのか──『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』 - 基本読書
  • 皮肉が分かる人・分からない人『アイロニーはなぜ伝わるのか?』

    せっかくの休日。ゆっくりしたいのに、「ほら、お出かけ日和だよ!」と友人にピクニックに連れ出される。みるみるうちに曇ってきて、どしゃ降りになる。びしょ濡れでになりながら友人に、「ほんと、お出かけ日和だね!」と叫ぶ。 晴天を期待してピクニックに行ったのに、どしゃ降りの大雨という現実に見舞われる。この期待と現実の違いを際立たせるために、「お出かけ日和」なんて逆を言う。これがアイロニーだ。 アイロニーとは何か この「期待」と「現実」を巧みに対比させ、あてこする構造から、アイロニーを解き明かしたのが『アイロニーはなぜ伝わるのか?』だ。 紹介される豊富な例を聞いていると、語られている言葉とは違う意味(意図)が飛び交っていることが分かる。「お出かけ日和」は分かりやすいが、小説やシナリオでは、かなり高度な「意図のやりとり」をしている。 これ、流行の機械学習では解析できないだろう。自然言語を形式的に解析して

    皮肉が分かる人・分からない人『アイロニーはなぜ伝わるのか?』
  • 年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 - 基本読書

    幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか 作者:ダニエル ネトル出版社/メーカー: きずな出版発売日: 2020/01/28メディア: 単行(ソフトカバー)幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は不幸になる権利が欲しいです」という『すばらしい新世界』的な人もいなくはないだろうが、少なくとも僕は幸福でありたいと思う。自分の幸福ももちろんだが、近くにいる手の届く人たちも幸福でいてくれたらそれ以上はいうことはない。 だが、そもそも幸福とは何なのだろうか。ほしかったものを手に入れた時、おいしいものをべた時、僕は幸福を感じるが、どれほどの幸せでもすぐに慣れてしまうのはなぜなのか。年収の高い人は低い人よりも幸せなのか。幸福感と生活の質はどの程度関係しているのか、自分の幸せを維持するために、何をどうしたらいいのだろう。 書は、そうした数々の疑問につい

    年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 - 基本読書
  • 自由は国家の成立過程の中で、どのように獲得されるのか──『自由の命運:国家、社会、そして狭い回廊』 - 基本読書

    自由の命運 上: 国家、社会、そして狭い回廊 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,Daron Acemoglu,James A. Robinson出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2020/01/23メディア: 単行自由の命運 下: 国家、社会、そして狭い回廊 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,Daron Acemoglu,James A. Robinson出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2020/01/23メディア: 単行この『自由の命運 : 国家、社会、そして狭い回廊』は、『国家はなぜ衰退するのか』で、豊かな国と貧しい国の分かれ目となるのは、国の中にある政治・経済上の「制度」なのだ、と膨大な国の歴史・発展過程を計量的な実証研究を通して導き出していったダロン・アセモグルアンドジェイムズ・A・ロビンソンによる最新作である。 作においてテ

    自由は国家の成立過程の中で、どのように獲得されるのか──『自由の命運:国家、社会、そして狭い回廊』 - 基本読書
  • 戦争が子どもを怪物に変える『ペインティッド・バード』

    戦争が子どもに襲いかかり、子どもが怪物に変わっていく話。人間が、いかに残酷になれるかを、嫌というほど教えてくれる。 あまりのグロさに「劇薬小説」として認定した『ペインテッド・バード』が映画になった。 ©2019 ALL RIGHTS RESERVED SILVER SCREEN ČESKÁ TELEVIZE EDUARD & MILADA KUCERA DIRECTORY FILMS ROZHLAS A TELEVÍZIA SLOVENSKA CERTICON GROUP INNOGY PUBRES RICHARD KAUCKÝ 小説は、エグいのに目が離せない、手が離れない、強い吸引力をもつ。TIMES誌の「英語で書かれた小説ベスト100」に選ばれている。 読む地獄 戦争は大衆を襲う狂気だ。身寄りを失った10歳の男の子が向かう疎開先の人々は皆、能に忠実だ。むきだしの情欲や嗜虐性が、目を逸

    戦争が子どもを怪物に変える『ペインティッド・バード』
  • 政策立案は生物学の一分野である──『社会はどう進化するのか:進化生物学が拓く新しい世界観』 - 基本読書

    社会はどう進化するのか——進化生物学が拓く新しい世界観 作者:デイヴィッド・スローン・ウィルソン出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2020/01/24メディア: 単行人間個人も、人間社会も、進化による大きな影響を受けている。ゆえに、現代の諸問題を解決し、政策を立案するにあたっては進化論を前提とした確かな知識が必要とされる。単純化してしまえば、それがこの『社会はどう進化するのか』の主張である。 進化の仕組みが我々を現状の機能と特徴を持つ個体にしたのはそうだろうけど、現代の問題を解決するためにその知識が必要だというのはなんか違くない? と思うかもしれない。が、実はそこには深い繋がりがあり、進化論を無視して問題を解決しようとしてもうまくいかないのだ──ということが一冊かけて訴えかけられていくのだ。 書の課題は、政策立案が生物学の一分野であることを示す点にある。政策の標準的な定義は、「政府

    政策立案は生物学の一分野である──『社会はどう進化するのか:進化生物学が拓く新しい世界観』 - 基本読書
  • 『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する - HONZ

    地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日人には比較的身近な見方でもある。 書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどのように現在に至ったかを克明に論じる。副題に「人類を決定づけた地球の歴史」とあるように、地質学・地理学・地球物理学を駆使して人類の進化をもたらした原因を探る。 具体的には、地球内部の構造、プレート(岩板)の運動、海洋の大循環、気候変動、鉱産資源の形成など、最先端の地球科学を解説しながら独自の文明論が展開される。確かに、日のようにプレートがぶつかる境界で育まれた文明の多くは、地震や噴火の激甚災害と切り離せない運命を持っている。 著者は新進気鋭の宇宙生物学者で、科学を分かりやすく伝える稀有の文才を併せ持つ。前著『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた

    『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する - HONZ
  • 年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 - HONZ

    年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は幸福なんかどうでもいいですね。不幸になる権利が欲しいんです」という『すばらしい新世界』的な人もいなくはないだろうが、少なくとも僕は幸福でありたいと思う。自分の幸福ももちろんだが、近くにいる手の届く人たちも幸福でいてくれたらそれ以上はいうことはない。 だが、そもそも幸福とは何なのだろうか。ほしかったものを手に入れた時、おいしいものをべた時、僕は幸福を感じるが、どれほどの幸せでもすぐに慣れてしまうのはなぜなのか。年収の高い人は低い人よりも幸せなのか。幸福感と生活の質はどの程度関係しているのか、我々は自分の幸せを維持するために、何をどうしたらいいのだろうか。書は、そうした数々の疑問について研究データを元に幸福の実態

    年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 - HONZ
  • 『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 - HONZ

    『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 告白しよう。評者はずっと、なるべく他人と関わりたくないと祈りながら生きてきた。楽しいことも悲しいことも何も経験したいと思わない。誰かと揉めたり争ったりするなどもってのほかだ。人生の糧になる? 知るか。全部ストレスだ。願いは一つ、社会的接点を一切放棄して、永遠に寝床で布団にくるまっていたい……。 こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同が得られるわけでもなし、むしろメソメソうるさい奴だ、望みどおり早く消えればと思われておしまいだ。だから書を読んだとき、やっとこの始末に負えない思いを打ち明けられる、と晴れやかな気分になった。助かった。自分の抱えてきた屈はすべて思想家エミール・シオランが書いてくれていた。書は、彼の人生とそのペシミズム

    『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 - HONZ
  • 『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書

    荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日でも刊行された現代中国SFアンソロジーである『折りたたみ北京』にも短篇「鼠年」が載っている。 この「鼠年」は、中国で遺伝子改造されたラットの逃亡と、その駆除隊に入った底辺層の駆除隊の青年を通して中国社会の苦境と世界を支配するゲーム・ルールを描き出していく、ローカル性とグローバル性が適度にブレンドされ、そこからさらにSFならではの情景に繋がっていく圧巻の短篇で、アンソロジー全体の中でも群を抜いておもしろかった。また、この『荒潮』は英語や、原語で読んだ人の評判もずば抜けて高く、最初から期待していたのだが──、実際読んでみたらこれがもうめちゃくちゃおもしろい! 久し

    『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書
    axkotomum
    axkotomum 2020/02/01
    三体もまだ読んでないのに…
  • 存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』 - 基本読書

    完全な真空 (河出文庫) 作者:スタニスワフ・レム出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/07メディア: 文庫この『完全な真空』は『ソラリス』のスタニスワフ・レムの代表作のひとつにして、存在しない書物についての書評集である。もともと単行として国書刊行会から1989年に出ていたのだが、今回それがはじめて(河出から)文庫化とあいなった。 僕は数あるレムの著作の中でも書と、存在しない書物への序文だけで構成されている『虚数』を最も愛している。だから、今回『完全な真空』が文庫になったと知った時は大変に嬉しかったものだ。もちろんすでに単行で読んでいるが、この広大な想像力を一冊の中に閉じ込めた、人生の中でも特別な位置を占めるこのような傑作が文庫の形で棚に鎮座している事実は、ひっそりと僕に勇気を与えてくれる。 レムの作品をたとえひとつも読んだことがなかったとしても、このを読めば

    存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』 - 基本読書
  • フェイク歴史を言ったもの勝ちになるいま、『なぜ歴史を学ぶのか』

    フェイクニュースがまかり通り、「真実」が希釈化されるいま、歴史学は何ができるのか? この疑問に答える手がかりは、アメリカ歴史学者リン・ハントが著した書にある。 著者はまず、歴史政治化という問題について、具体的に説き起こす。 ホロコーストを否認するメリット たとえば、ホロコーストの否認だ。ナチス・ドイツが組織的に行った大量虐殺を「なかった」ことにする。それも、SNSや思想団体というレベルではなく、政府高官レベルでホロコーストを否認するところもあるという。 2005年12月、イランのアフマディネジャド大統領は、ホロコーストを「創り出された神話」だと発言した(※1)。ただし、核計画に対する国連の制裁を懸念し、イラン公式の報道機関は、この発言が最初からなかったかのように録画から取り除いている。 一つの歴史的事実について、なぜこのように発言するか。 それは、反イスラエル政策の一環として有効だと

    フェイク歴史を言ったもの勝ちになるいま、『なぜ歴史を学ぶのか』
  • 『地形の思想史』岬、峠、島、麓、湾、台、半島、地形が生んだ多様な日本 - HONZ

    高畠通敏の『地方の王国』といえば、地方政治研究の重要古典である。高畠は政治学者でありながらジャーナリストのように地方に足を運び、戦後の保守政治を支えた日各地の保守王国の実態に迫るルポルタージュを書き上げた。 なぜ田中角栄は旧新潟3区で圧倒的な強さを誇ったのか。高畠はその要因の1つに「豪雪」を挙げる。日海から吹く湿気を含んだ季節風は、三国山脈を越える前に3~6メートルにも達する雪を落とし、人々を孤立した空間に閉じ込める。長年にわたる雪国の生活の中で培われた忍耐と恨みの感情、そして連帯意識が、有権者のエートス(生活感情)になっていると高畠は書いた。 日は多種多様な地形からなる国家である。山々には無数の峠があり、山から駆け下りる急流は河岸段丘や扇状地をつくる。入り組んだ海岸線は世界で6番目に長く、島の数は世界で3番目に多い。このようなバラエティーに富んだ地形は、その土地に暮らす人々の思想に

    『地形の思想史』岬、峠、島、麓、湾、台、半島、地形が生んだ多様な日本 - HONZ