子供に恵まれ幸せな生活を送っていた裕子さんにとって、それは青天の霹靂であり、苦しみの始まりだったという。
ある日、学校から帰ってきた息子が唇を震わせていた。 小学2年になった息子は学校でのことをあまり家で話したがらないが、その日は様子が違ったので「何かあったの?」と聞いてみた。 「仮面ライダー幼児って言われた。仮面ライダーが好きなのは赤ちゃんか幼稚園児だって。」 マジか、そんな超くだらないこと1ミリも気にしなくていいじゃん、と内心思ったが息子はひどく傷ついていた。 「あなたは仮面ライダーが好きなんでしょ。じゃ別にいいじゃない。誰にバカにされようが。そもそも仮面ライダーのストーリーは難しいんだよ。子どもでは本当の仮面ライダーの良さは理解できない。<強さとは何か><力とは何か>を教えているんだ。特にジオウなんて力を持って悪い未来を呼び起こしてしまうことをどう阻止するかをつたえ」と力説している途中で息子が割って入ってきた。 「嫌だ!バカにされるのは嫌だ!僕をバカにしたやつらを見返したい!!」 と。
「国語」と「ママ語」 温 信田先生、今日はお忙しいところ、どうもありがとうございます。私は、先生のお仕事にずっと関心をもってきたのですが、実際にお目にかかるのは今日がはじめてなので、じつはかなり緊張しています。けれど今回、先生の『増補新版 ザ・ママの研究』(以下『ザ・ママの研究』)を拝読して、これはもうぜひいろいろとお話しさせていただきたいと願っておりました。勉強不足の点も多々あるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。 信田 ありがとうございます。私も、この本と同時期に刊行された温さんの『「国語」から旅立って』を読ませていただいて、立ち位置は異なりますが、私の問題意識と重なるところを感じています。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。 温 さっそくですが、私もずっと「ママ」を研究してきたようなところがあるんです。私の場合、三歳になる少し前に、父親の仕事の都合で台湾から日本に
娘は母の愚痴ネイティヴ 温 それにしても、信田先生の「自分の言葉を持ったり使ったりしたら家族は成り立たない」、衝撃的な言葉でしたが、先生のお仕事の中から日々実感されることなのだと思います。 信田 ええ。父親は、企業に入ったら、まず自分の言葉は捨てるでしょう。母親もまた企業の中で捨てるし、家庭の中でも捨てますよね。もしくは捨てたように見えて実はすごい暴虐な言葉を持っているんです。たとえば、「あんたなんか生まなきゃよかった」とか。そういう言葉をたくさん持っている。そして中間がなく、また自分の考えではなく、パパがこう言ってたから、という言い方をしたりする。そしていざとなったら、あんたなんか絶対幸せになれないから、とトドメを刺すわけです。 温 家族の中で言葉が通じない状況というのは、私の場合は本当に具体的で、日本語が達者ではない母親との関係のことなんです。たとえば高校生の頃、友だちと閉店間際までマ
はんどう・かずとし/昭和5(1930)年生まれ。東大文学部を卒業後、文藝春秋入社。専務取締役を経て文筆業に。『日本のいちばん長い日』は終戦の日を描いたベストセラーとなり、映画化もされている。『ノモンハンの夏』『昭和史』『文士の遺言』など著書多数 「昨年、当時の天皇陛下の侍従から、『秋篠宮悠仁(ひさひと)殿下に、太平洋戦争はなぜ起こったのかを、わかりやすく話してください』という依頼があった。ですが、私は最初断ったんです。だって相手は小学校6年生の坊やですよ。そんな幼い子に単純明快に話せるようなことじゃない、無理です、と。だけど何度もお願いされて、じゃあさわりだけでも話しましょう、と出かけていったのが、8月15日でした」 秋篠宮悠仁親王は、まさに次代の天皇家を背負って立つ。その進講役として白羽の矢が立ったのが、昭和史研究家でもある作家・半藤一利氏(89)だ。秋篠宮家の”家庭教師”になったのが「
古代ローマ史には「人類の経験のすべてがつまっている」と言われる。 ではブルマの歴史には何がつまっているだろうか? ブルマを覗くと慣習との戦い方が見えてくる。 束縛するファッション ここしばらく「#KuToo」の記事をよく見た。 スーツも革靴も嫌いな俺としては、この風潮を歓迎する。ハイヒールやパンプスのような非合理的なファッションは、労働の現場から消え去ったほうがいい。そもそも会社の指定した靴により足腰を痛めたならば、それは労災である。労災のリスクが高い服装を強制するのはどう考えてもおかしい。 しかしながら、この時代にまだハイヒールやパンプスを強制してくる会社の意識を変えるのは難しい。合理的な思考をする会社ならば、すでに靴を自由化しているか、逆にかかとの高い靴を禁止しているはずだからだ*1。今も頑なにハイヒールを求めるということは、そこにある種の信仰を見出しているのだろう。 どうしたら非合理
うつになった夫と、障害者だった父の話。夫婦はいつだってお互い様。 #老いの準備#親とのコミュニケーション#夫婦 公開日 | 2019/06/11 更新日 | 2022/03/14 城伊景季 こんにちは、城伊景季(シロイ・ケイキ)と申します。 努力、根性、がんばるといった言葉からなるべく距離をおいて生きる、のんべんだらりとした人間です。自己紹介しようと思ったらこんな言葉しか浮かばない、どうしようもなさを許してください。 さて、そんな低め安定、ぬるま湯人生を志してきた人間にも、やはり人生がそれなりにしんどく感じられた時代はありまして。今回はそんな頃を振り返りながら、私たち夫婦、そして家族のこれからについて思うことを、話したいと思います。 突然、恋人が「うつ」になった 私の人生で自他ともに認める大変さだったのは、10年ほど前のこと。当時付き合っていた彼氏のセキゼキさん(現在は夫)が「うつ」になっ
夫のセキゼキさん(仮名)に以前、こんなことを言われました。 「シロイって決断力があるのに判断力がない、珍しいタイプだよな。フツー判断力がない人間は失敗を繰り返すとどんどん自信を失って、決断自体できなくなっていくもんなんだぜ。それだけ判断ミス繰り返してるのに『えいやっ』と思い切って決断できちゃうの?」 とっさに反論しようとして私が思いとどまったのには、理由があります。 私が以前務めていた職場では「シロイさんの傘占い」というイベントがありました。 降水確率が30~50%くらいの朝に出勤しますと、皆が殺到して 「シロイさん、傘持ってきました?」 と、私の傘の有無を確認するのです。 「はい、天気予報で降るかもという話だったので」 あるいは 「いえ、今日は大丈夫そうかなと思って」 などと答える私。 するとみんながその答えを聞いてなぜか一喜一憂します。 「よかったー、シロイさんが傘持ってきたってことは
あなたは、今年の東大入学式での祝辞について、どう思いましたか? 日本における女性学の第一人者・上野千鶴子先生によって、東京医科大の不正入試問題など女子学生が直面する性差別の指摘から始まり、「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」と語られた祝辞は、 入学式や東大学内を超えて大きな反響を呼びました。(こちらから全文が読めます) 「頑張っても公正に報われない社会が待っている。頑張ったら報われると思えることが、恵まれた環境のおかげだったことを忘れないでほしい」 上野千鶴子さん、今朝行われた東大来賓祝辞。素直に耳を傾けたいお話です。全文が、早く読みたい。https://t.co/Snu8lmmp5L — ロバート キャンベル (@rcampbelltokyo) April 12, 2019 祝辞の内容に賛同・感動する人が多くいた一方で、「祝辞で言う内容ではない」と
文 吉玉サキ 会社員経験と10年間にわたる山小屋勤めを経て、ライターになった吉玉サキさん。ライターという職業には憧れていたけれど、フリーランスの道を選んだのは「消去法」だったといいます。「会社員になりたくてもなれなかった」という吉玉さんに、自身の働き方への思いを寄稿いただきました。 * * * 会社員ができないから、消去法でフリーランスになった 私は駆け出しのフリーライターだ。34歳でライターに転身し、もうすぐ1年がたとうとしている。ライターになる前の10年間は山小屋で働いていた。 ライターとして企業に属したことはなく、最初からフリーランスだ。業務委託という形で、いくつかのWebメディアで記事を書いている。職場は自宅で、働く時間も自分次第。 ……というと、「時間や組織に縛られるのが嫌なんですか?」と言われるのだけど、そんなことはない。私はフリーランスになりたくてなったのではなく、それしか選
とりあえずAmazonで5個買っちゃうPhoto: Kenya Chiba堀:『勝間式超コントロール思考』ではApple Watchを勧めてましたが、今日は勝間さん、Apple Watchしてないんですね。 それ…Huaweiですか? 勝間:そうそう。Apple WatchアプリのAutoSleepを使ってたんです。 睡眠をちゃんととることは、ビジネスパーソンもアスリートも成績が上がるという有名な研究結果があるんですけど、ちゃんと睡眠について考えている人は少ないなと。 それで私もApple Watchを使い出して、「何時間寝たのか」はわかるんですけれど、睡眠の質までは管理できないんですよね。しかも、毎日のように電池がなくなっちゃう…。 私がスマートウォッチでやりたいことは、基本的に体調と時間のマネジメントです。 そうしたら、ちょうど2018年12月に、Huaweiがオートスリープのような機
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頑張る理由もない、褒められる必要もない。ただ「好き」に没頭して生きる――福森伸さんに聞く「しょうぶ学園」の障害のある人たちの姿 どうして頑張らなきゃいけないんですか。 たとえば、算数の宿題が嫌で嫌でしょうがない小学4年生に。たとえば、「やりたいことなんてないよ」と進路指導中にふてくされた中2の教え子に。たとえば、終わりのないノルマに追われ、入社当時の目の輝きを失いかけた新卒の後輩に。 そう問われたあなたは、人生のセンパイとしてなんと答えるか。 今はわからなくても、いつか役に立つことがあってね…。今はやりたいことがなくても、ここで頑張ると将来の選択肢も広がるから…。今は辛いかもしれないけど、乗り越えた先にチャンスがきっと来るから…。 嘘を言っているわけではないけれど、どこか誤魔化している感じがする。そんな後ろめたさを覚えたことがある人もいるかもしれない。 「頑張る理由」は、そうやって”未来”
本日2月24日に『むしろウツなので結婚かと』の第7話が更新されました。 comic-days.com スーパーラッキーで合う薬がスピーディーに見つかったセキゼキさん(仮名)。じゃあコレで何もかもオッケーで心安らかに過ごせるようになったかというとちょっと違ったんだよね、というのが今回の話です。 薬の力でセキゼキさんの生活は、何とか落ち着きました。 夜はそれなりに眠れるようになり、昼もそこそこ落ち着いて過ごせるようになりました。 この頃セキゼキさんが自分の症状について語った言葉を、私は今でも覚えています。 「毎日ずっと苦しい。腹の中で真っ赤に焼けた鉄のイバラがのたうち回っているみたいなんだ。薬はすごい。効き始めると鉄のイバラがすーっと冷えて、静かになる」 この言葉で印象深いのは、鉄のイバラとやらが消えていないという点です。 セキゼキさん以外の人たちがどんなふうに感じているのかはわかりませんが、
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑) 写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真) 鴻上尚史の人生相談。「4歳の娘が可愛くない、キレそう。いつか手をあげてしまうのでは」と自分を不安がる相談者。苦しむ母親に、鴻上尚史が教える「理屈が通じない理不尽」の経験とは? 【相談19】4歳の娘の我がままに、爆発してキレそうです(41歳 女性 ごんつく) 4歳の娘がいます。最近、娘が可愛くないのです。というのも、娘が自分勝手で我がままだからです。例えば、お昼はパンが食べたいというからパン
子どもの頃から痴漢に遭ってきたこと。大学時代、同級生の男にブスだのデブだの罵られたこと。バイト先の先輩に胸を触られたこと。 会社員時代、取引先のオッサンにキスされたこと。仕事で終電になった帰り道に痴漢に遭ったこと。それで警察に行ったら「こんな時間に夜道を歩いてるから」と警官に言われたこと。 そんな数えきれないほどの傷がまだ癒えていないのだ。
文 あかしゆか 会社員として働きながらフリーの編集・ライターとしても活動するあかしゆかさん。社会人2年目の頃に感じた「悩み」から解放されたきっかけの言葉と、大切にするようになった「文章を書く行為」についての思いを寄稿いただきました。 社会人2年目も半ばを過ぎた頃のこと。私は、「自分にしかできない仕事なんてないのでは」と悩んでいた。 周りのデキる先輩の存在や、いつまでたってもなくならない自分のミス……。特に目立ったスキルもなく、成長している実感も全然わかなかった私は、「ちゃんとチームに貢献できているのだろうか?」と、ネガティブな気持ちになっていた。チームメンバーは皆優しく、とてもいい環境だったが、当初の「やったるぞ」という自信ややる気は、時間が経過した風船のように、しぼみかけていた。 そんなふうに思っていた私だが、“ある言葉”に出会ったことで、少しずつ変わっていったように思う。本当に少しずつ
気づいたんだけど、良いところを褒められるよりも、ダメなところを受け入れてもらう経験が重要なんだ。 自信のなさや挑戦への不安は、それが上手くできなかったときに起きることへの恐怖心だ。 恋愛や人間関係に踏み込むのが怖いのも、ダメな部分を知られたら嫌われると思うからだ。 だから頑張って成果を出したり、良いところを褒められても、卑屈さは治らない。 失敗を許されたり、ダメな部分を含めて愛されたりする経験があって、初めて自分自身への不安は解消されるんだ。 でも大人になってしまうと改めてそれを得るのは中々むずかしい。
ちょっとしたことなんですが、「そういえばそうかもなー」と思ったので書いてみます。 先日、会社同僚の親御さんとお話していて、「子どもを寝付かせる手間と時間」について話題に挙がりました。 その人が感じている問題点として、「子どもの就寝がちゃんとした習慣にならない」というものがあるそうでして。 8歳と5歳のお子さんがいるらしいんですが、 「夜になればなるほどテンションが上がる」 「お風呂から上がると遊びだす」 「遊びを中断させようとするとギャン泣きする」 「で、幾ら言っても全然寝ない」といったお話を聞いたんです。 睡眠時間、大事ですよね。子どもの睡眠時間確保についても、親としては色々と考えるところでして、私はどちらかというと「勉強時間なんぞより睡眠時間の方が遥かに大事」と考える方なので、子どもの寝せ方、就寝サイクルについては昔からあれこれ工夫していました。 しんざき家は、夕飯後、寝るまでの時間と
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