ポール・ゴールドスタイン『著作権はどこへいく? 活版印刷からクラウドへ』は、著作権をめぐる事業者やクリエイター、国家の行動、裁判や議論の歴史をコンパクトに扱った好著である。なかでも筆者が興味深かったのは、アメリカの著作権条約に対する態度の変遷だ。 一世紀以上にわたる国際的な著作権侵害国―アメリカ アメリカといえば、ディズニーをはじめ、国内外を問わず「著作権侵害に厳しい」というイメージがあると思う。 だがアメリカは、実は長い間、外国作品の保護を拒否していたことが『著作権はどこへいく?』に書かれている。1790年に制定されたアメリカ初の著作権法では、「米国の市民でない者によって書かれ、印刷され、または発行された地図、海図、書籍を米国内に輸入し、販売し、再印刷し、または発行すること」がアメリカ人の権利として(外国の著作者に対する支払いなしでやってよいと)明確に認められていた。 アメリカの著作権を