近年はほとんど作られなくなった「干ダコのしょうゆ漬け」=岡山県倉敷市で2018年3月3日、高橋祐貴撮影 瀬戸内海有数のタコの漁場・岡山県倉敷市下津井付近で、地元の人から「幻のタコ」と呼ばれている漁師飯がある。「干(ひ)ダコのしょうゆ漬け」だ。仕込みに手間ひまが掛かることもあり、最近は地元の漁師ら数人しか作っていないという。記者はひょんなことからその味を知り、魅力に引きつけられた。【高橋祐貴】 今月、地元の漁師が作った干ダコのしょうゆ漬けをごちそうになる機会があった。一切れ食べると弾力があり、うまみがなかなか消えない。飲み込むタイミングが分からず、食べきると口の中が妙にさみしくなる。「あと一切れだけ」と思っても、その後もついつい手が伸びてしまう。日本酒が恋しくなる味だ。 干ダコのしょうゆ漬けは、魚の水揚げ量が少ない時期の保存食として地域に伝わってきた。基本的な作り方は、1杯2キロ前後のタコを