「ウイルス」という言葉を聞いただけで虫唾が走るという人は多いことでしょう。この言葉の汎用性は現代社会で一層拡大し、生き物だけでなく電子装置に攻撃を加えるものとしても人々から恐れられています。病気を引き起こす物質なる今日の意味で virus という言葉が初めて使われたのは、記録上 1728 年のことらしい (ON LINE ETHYMOLOGY DICTIONARY)。動植物などの多細胞生物は、一つ一つの細胞から構築されています。細菌も一つの細胞であり、細胞は自己複製をします。一方で、ウイルスは単純な遺伝情報 (DNA あるいは RNA) とそれを覆うタンパク質からなり、ウイルスは独力では自己複製することができません。感染先の宿主細胞が持つ遺伝情報の複製機能を活用してはじめて、ウイルスは増殖することができるのです。 ウイルスは生物なのかどうか、という点については科学者たちにとっても議論の対象