ICOM(国際博物館会議)の博物館の定義★1にも「アクセシブル」や「インクルーシブ」という言葉が含まれ、多様性への認識は業界のなかでもますます高まっているように感じられる。しかし、その「多様性」にどこまでの人たちが含まれているかは、その言葉を使う人、受け取る人の想像力にしばしば委ねられる。それによって、これまで周縁に置かれてきた人たちのなかでも、その多様性のなかに含まれやすい人と、そうでない人が分かれるという現実がある。アクセシビリティは情報保障と混同されることが多いが、情報保障はその一部に過ぎない。本稿が、アクセシビリティが進むなかでも、現状の施策ではカバーされておらず、未だに美術館から遠くにいる人たちについて考えるきっかけになればと思う。 現在東京都現代美術館で開催中の「あ、共感とかじゃなくて。」展に出品されている渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)《ここに居ない人の灯り(「同じ月を見た